TESLA MODEL S P85D
 初めて テスラ モデルS を見たのは2012年6月、カリフォルニアにあるラグナ・セカ レースウェイだった。そこで行われるEVレースにプリプロダクトモデルのモデルSが5-7台ほど参加していただろうか。直線の加速感のみならずコーナリングの速さに「本当にこれがEVで、市販車として発売されるモデルなの?」と衝撃的かつ懐疑的になるほどだった。

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 ラグナ・セカで抱いた衝撃は事実だった。まるでオーディオのボリュームダイヤルをまわすようにアクセルを踏み込めば、思う通りにトルクやスピードを発揮するテスラ モデルS P85D。それは大音響までイッキにしかもキレイに音の出せる高級オーディオシステムのよう。本当のこと言えば、実はこのモデルはAWD(4WD)であり2WDモデルと比べれば車重は730㎏くらいも重いのだけれど、そんなことを少しも感じさせぬ加速感に加え、わずかなモーター音とロードノイズだけが聞こえてくる透明感に近い空気感=ムードすら漂うフィーリングに先ずは「あらら・・・、へぇ~」と感心せずにはいられなかった。

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ご存知の方もいらっしゃると思うが、テスラ モデルS は電気自動車だ。アメリカのシリコンバレーに拠点を構えるテスラモーターズがロードスターという2シーターの電気スポーツモデルを日本に導入したのが2012年。2014年に4ドアモデルのモデルSの日本導入が始まっている。P85Dは2015年追加投入された最もハイパフォーマンスモデルである。ベース価格は1,369万円也。

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 0-100km/h加速はわずか3.3秒。これはV10 5.2Lエンジンを搭載するランボルギーニ・ガヤルドLP570-4の3.4秒よりも少し速く、V8 6.2Lスーパーチャージャーエンジンを搭載するコルベットZ06の3.2秒より少し遅いだけ。ホントにどんだけ速いんだ、この電気自動車は...と驚き感心して当たり前だ。
P85Dはフロントに193KW/330Nm、リヤに375kw/330Nmを発揮する電気モーターをそれぞれに搭載するデュアルモーター駆動のAWD(4WD)。カタログ上の航続可能距離は491kmとなっているが、PRの方が走りまわった印象では340km台くらいが平均距離だという。東京~新潟を往復(500km強)した経験もあるワタクシの経験では、往復で計4回ほど20-30分ほどの充電を行いながら走行をしたのだが、結果、モニターに表示される航続距離が100kmを切ることはなかった。実に安心感があったのだ。アルミ製ボディの床下には85kwのバッテリーを敷いて搭載している。ちなみに日産リーフは30kw/280kmである。

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モデルS P85Dの特長をご紹介したい。新しい乗り物に出会った新鮮さと驚きも大きいのだ。
まずドアノブが突出していないコチラは、キーを持っていればドアノブに手を近づけるだけでノブが出てくる。

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そしてクルマに乗り込みステアリング脇のシフトレバーを"D"に入れるだけで走行が可能となる。
そう、乗り込んだ瞬間にスイッチ オンとなり、降車の際もシフトを"P"に入れ、ドアを閉めるだけ。

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インテリアはレザーやウッド、つや消しのアルミ材などを採用し素材が生む質感は高い、が、決して華美な印象ではなくシンプル&クール。そしてとにかくセンターコンソールに収まる17インチのタッチスクリーンがモデルSの象徴的な装備と言えるだろう。

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様々な設定やコントロールのほとんどはセンターコンソールに収まるこの17インチのタッチスクリーンで行う。Bluetoothやインターネットも繋がるメディア関係やオーディオ操作、Googleマップを採用するナビ設定、ドライビングパーソナライゼーションやエアコンの温度設定、サンルーフの開閉、それにライトの操作もココで行う。

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通話やスケジュール管理もAppleやAndroidと同期させて行うことも可能だ。航続距離予測やリアルタイムのエネルギー消費上も瞬時にチェックできる(メーター上にも表示される)。
さらにシステムのアップデートもまるでスマホやPCで行うようにお知らせが来て、承認すれば完了。メニューのタブや操作内容を把握してしまえば、階層も決して複雑なことはなく、「タッチしてポン!」とシンプルなセッティング変更が可能だった。

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全長4,970㎜×全幅1,950㎜×全高1,440㎜、ホイールベース2,960㎜のボディサイズはアウディA7に近く、室内はゆったりとしている。

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また後席はパワートレーンが通っていないフロアがフラットで3人の大人がちゃんと座れるスペースがあった。さらにモデルSはラゲッジに収納された2人用シートもある。後ろ向きに座る極めて簡易タイプのシートで子供向だが、これによりモデルSの乗車定員は7人。
しかしこのハイパワー&高価EVにあえてこのエキストラシートが要るのだろうか? 実はほとんどのコントロールがデジタル化されているなかにあるこのアナログなカラクリ系シート。「めったに使わないでしょうけどね、クスッ(苦笑)」と、本国アメリカでもワイフをその気にさせるアプローチアイテムになっているのではないかと思うと、親近感を抱く筆者だった。

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ドライビングはやはり独特の静粛さと加速感を味わいつつ、状況や気分に応じて回生ブレーキやステアリング操舵フィールを変えて走る感覚が楽しい。

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タッチパネル上でステアリングトルクを"コンフォート"、"スダンダード"、"スポーツ"のなかから選ぶ。
コンフォートはよりハンドル操作に対して緩やかにクルマが動く。スタンダードはより重たくなる。少ない操作量でキビキビと走らせることも可能だ。スポーツは重い。まるでグリップの良い太いタイヤを履いているかのような手応え。
電子デバイスのチューニングもいい。そして蛇行してると路肩の線を逸脱しているとブルブルという振動で教えてくれる。車線逸脱防止システムが働くのだ。モデルSには前車追従式のアダプティブクルーズコントロールも採用されている。

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 私はモデルSで新潟にも行ったが、P85Dとのファースト・ドライブは軽井沢周辺だった。最も印象的だったシーンは北軽井沢から国道に向かうワインディング。ステアリングはスタンダードの手応えがちょうどよく、操舵に対しクルマがちゃんとついてくる。安定感も十分でボディ剛性も高く、コーナリング中のボディは重たさこそ感じられるけれど、リヤタイヤも駆動するのでもたつくことはまったくない。ハンドルをスポーツに切り替えればタイヤをちゃんと使ってコーナリングしている感覚が強まる。コンフォートはスイスイな感じ。このダイレクトな変化がとっても、面白い。それぞれのモードに特長がしっかりとありチューニングも絶妙だ。

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それにモーター加速の途切れないトルクの滑らかさや強さに魅力を感じる。加速も減速もダイレクトだから、本当に面白い。その印象をますます強めたのが回生ブレーキの存在だった。"スタンダード"と"ロー"があり、ここでは"スタンダード"を選んだ。ちなみに"ロー"の方が回生量も回生力も弱い。パネルには「スタンダードはより航続距離とブレーキの寿命を延ばします」とのメッセージが。ブレーキペダルを踏む頻度が減り、回生エネルギーが航続距離を延ばすという説明だ。

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下り坂でアクセルペダルを緩めると同時に回生ブレーキが始まる。古典的な5速で例えれば、2速と3速の間くらいのエンジンブレーキが効く感覚が得られるのだ。モデルSは状況に応じてブレーキペダルの操作もするが、とにかくアクセルペダルを緩める量で減速し再びアクセルペダルを踏み込めば加速する、コーナー手前で再びアクセルを緩めれば回生ブレーキが効く...という具合に1ペダル、右足だけで操作できる楽しくおそらく多くの方にとっては新鮮だろう。ただ、優秀な回生ブレーキが装備されているためか、フットブレーキの減速感のチューニングだけがやや気になった。実際、ほとんどの減速は回生で行えてしまうが、よりハイスピードでいくつものコーナリングを続けるような場面では、もう少ししっかりと制動感が得られるほうがより頼もしく、望ましい。

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国道では赤信号で停まる際、停まる直前に最後にブレーキペダルを踏んで完全停止。ときには車間を保ちながらわずかにアクセルを踏み込んで調節するくらい、回生は強いのだ。街中では回生はローでもよいかもしれない。また、前方のカメラ使って、「車間と近いよ」と表示されることもあった。後方もモニターされる。

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サンルーフから陽射しがこぼれ、アルカンターラのダークグレーがしっとりと光っている。このモデルはパネルがカーボンだ(選べる)。サンルーフの開閉率はパーセンテージで表示される。エアコン操作もパネルで調整してみた。イオン発生機をオン、スマートコンディショニングもオン。取説を見るのが面倒な人も多いはずで、タッチパネルで選ぶとそのほとんどの説明を文字情報で確認できるので、取説を見るより理解度は深まりそうだ。

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インターネットラジオも聴いてみた。ジャンルは80年代アメリカを選択。雨音はショパンの調べが流れていた。個人的にはこういう音楽を簡単に選べるのも嬉しい。

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テスラモータースというベンチャー企業が送りだした2台目のモデル、モデルS。
もちろんロードスターとは性質の違う上質なサールン感が味わえる。ただ、私自身もそうだったけれど、テスラのモデルはハンドルを握るまではおそらく「海のモノとも山のモノとも...」と懐疑的な印象を抱く方もいるはず。
エクステリアデザインは元北米マツダのデザイナーが手掛け、エンジニアリングに関してはマセラティなどで経験を積んだエンジニアが指揮を執ったそうだ。それ以外にも自動車メーカーからのヘッドハンティングも積極的に行っていると聞く。だからというワケではないが、納得のいくモデルに仕上がっていると思う。単にEVというだけでなく、IT化の進む今の時代を走るクルマとしての新しさが楽しめるはずだ。

■テスラターズジャパン 公式サイト
https://www.teslamotors.com/jp/​