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C」というのだから、たしかにボディサイズはコンパクトである。車格でいえば、いわばメルセデスのエントリーモデル。だが、そこに「AMGの名が加わり、「63」と呼ばれ、さらには「S」という物騒な欧文が加わると、こいつはその比較的小柄なサイズからは想像の及ばない、超ド級の武闘派マシンに変貌するのだから恐ろしい。




そもそもたたずまいからして、不敵なオーラを発散している。フロントフェンダーは、ベーシックなC180より片側で15mmのブリスター形状となっている。左右で30mmワイドであり、車高も15mmダウン。そのフェンダーに窮屈そうにファットなタイヤが押し込まれている。ボンネットにも膨らみがあり、それらが、このクルマが秘めている性格がただものではないことを語っているのだ。



搭載するエンジンはV型8気筒4リッター・ツインターボ。「S」がなければ476psですむのに(いやそれ自体がすでに強烈なのだ が・・)、「S」が加わると最高出力は510ps/5500〜6250rpm、最大トルクは71.4km-g/1750〜4500rpmに達する。車両重 量は、わずか1760kgだ。となれば、その加速力が桁外れなことは容易に想像がつくのである。



エンジンスターターを押し、「バフッ」といった 不気味な音とともにエンジンに火が入るとすでに、胃袋の裏側に響くような不敵なバイブレーションと,その直後の怒濤の加速を予感させる図太いサウンドが響 く。加速すればそれは荒々しいサウンドが背中を押す。これはもう、コンパクトな「C」の世界ではないのである。

ターボチャージャーでありながら、レスポンス遅れはわずかである。二基のタービンがそれぞれパワーとレスポンスを両立させているのだ。



もっとも、神経を研ぎすませてみれば、ほんのわずかに加速の「間」がある。それがむしろ、C63Sを獰猛なマシンに仕立てていた。アクセルを踏み込む。その瞬間に、わずかなタメがある。それがカタパルトで弾き出される直前の戦闘機のようなタメとなり、その後の加速を、思いのほか刺激的なものにしているのだ。

回転計の針の上昇に比例してパワーがかさ上げされていくような印象も強い。ターボチャージャーの助けを借りるとはいえ、フラットトルク型ではなく、回転と躍動感がシンクロしている。あまりの加速の凄まじさに、アクセルペダルを踏み込む右足の力が緩むのはしかたない。そのまま踏みつづけていたとしたら数秒後にはとんでもない世界に放り込まれるのである。




ミッションはトルコンでももちろんなく、AMGスピードシフトMCT。シフトショックは巧みに抑えられているが、電光石火のシフトワークを見舞う。

足回りは当然のように硬い。ファットなタイヤはこのボディにはちょっと過剰だったようで,腰下の重さを意識させられる。荒れた路面を駆け抜けると、脳天に響く突き上げもたしかにある。エンジンは獰猛であり、足回りも激しい。こいつはまったくの硬派なマシンなのである。



もっとも、サーフェスの安定したワインディンクでは、ご機嫌なフットワークを披露するのには驚かされた。あくまで弱アンダーステアのセッティングのようで、強引にスロットルを開けたとしても、スリリングな状況にはならない。ややリアタイヤがスライドしたとしても、安定性は保たれている。獰猛でありじゃじゃ馬の性格を秘めてはいるものの、それはドライバーを楽しませるためのAMG流の哲学であり、ドライバーを見放すことはないように思えた。



サスペンションはフロント4リンク、リアは5リンク。電子制御LSDは、トラクションと安定性をコントロールしている。タイヤはフロント245/35R19であり、リアはさらに太い265/35R19を履く。




ライバルは? 
ずばりBMWM3だろう。「C」のボディを被っているものの、皮を剥げば、野獣のように獰猛な性格が隠れているのだ。


メルセデスAMG C 63 S
エンジン:V型8気筒直噴DOHCツインターボチャージャー付
総排気量:3,982cc
ボア×ストローク:83.0mm × 92.0mm
最高出力:510ps/5,500~6,250rpm
最大トルク:71.4kgm/1,750~4,500rpm
トランスミッション:電子制御7速A/T
駆動方式:後輪駆動(FR)
燃料消費率 JC08モード走行(国土交通省審査値):9.5km/L
全長:4,755mm
全幅:1,840mm
全高:1,430mm
ホイールベース:2,840mm
最小回転半径:5.4m
タイヤサイズ:前245/35R19 後265/35R19
車両価格:1,325万円

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