希少なランチア「デルタ HF インテグラーレ」の限定モデルがオークションに登場
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オークションにはたくさんの魅力的なクルマが登場するが、このお正月に我々が本当に欲しいと思ったのは、上の画像のランチアだけだ。これはランチア デルタ「インテグラーレ」だが、普通のインテグラーレではない。伝説的ラリーカーが成し遂げた偉業を記念してごく少数が作られた特別仕様限定モデル「エボリューション マルティニ6」の1台だ。

モータースポーツ・ファンならご存じのように、ラリーではある時期に渡って1つのマニファクチャラーがチャンピオンを独占することが多い。最近ではフォルクスワーゲンが王座に就いており、2013年から2015年にかけてWRC(世界ラリー選手権)を3連覇している。その前は、シトロエンが長きに渡ってチャンピオンに君臨していた。しかし、1980年代後半から1990年代初めは、デルタをベースとする一連の進化モデルで参戦していたランチアが席巻した時代であった。1987年から1992年の間に、ランチアは4回のドライバーズ・タイトルと、6年連続のマニファクチャラーズ・タイトルを獲得している。6回目のチャンピオンに輝いた1992年には、これを祝って台数限定の特別仕様車を発表。既に傑出した「デルタ HF インテグラーレ エヴォルツィオーネ」を、「マルティニ6」エディションとしてさらに魅力的なモデルに仕上げた。

この限定車のメカニカル面は、当時のクラス最高峰モデルであるエヴォルツィオーネとまったく同じで、最高出力210psを発生する2.0リッター直列4気筒ターボ・エンジンに5速マニュアル・トランスミッションを組み合わせた4輪駆動だ。現代の高性能ハッチバックと比較すると、それ程パワフルではないと思われるかもしれないが、当時のポルシェ「911ターボ」は最高出力320hpと現行モデルの50%程だった。そういう意味では、エヴォルツィオーネは相対的に新型フォード「フォーカスRS」より強力なモデルだったと言うこともできる。

性能面でのアップグレードが不要だったマルティニ6は、内外装に特別なカラーリングが施された。真っ白なボディには、あの特徴的な赤と水色と紺のストライプが入れられ、インテリアは青緑色のアルカンタラに赤いステッチが映える。各部に象をモチーフにした「HF」のデカールが貼られ、特別なルーフ・スポイラーには"MARTINI RACING"の文字、そして6度連続のワールド・チャンピオンシップ獲得を自慢するように、"WORLD RALLY CHAMPION"の文字がボディの両サイドとフロントバンパーに描かれている。なかなか大胆ではあるが、勝利の日々を強く象徴づける装飾だ。

ランチアは、マルティニ6のインテグラ―レを310台しか製造していない。今回ご紹介する1台は、北イタリア在住の顧客に新車として納車されて以降、ずっと同じ人物が所有していたワン・オーナーもので、走行距離計は2万8,000km以下。2月にパリで開催されるRMサザビーズのオークションに出品される予定だ。オークションハウスでは、落札予想価格を12万から15万ユーロ(約1,570万から1,970万円)と見込んでいる。『Sports Car Market』を見ると、数年前に2台の「マルティニ5」が、それぞれ13万8,000ドル(約1,660万円)と12万5,000ドル(約1,500万円)の値を付けたこともあるから、妥当な予想金額と言えるだろう。それではこの辺りで失礼して、我々は銀行の支店長に電話してから、シャルル・ド・ゴール空港までの航空券の予約をしようと思う。


By Noah Joseph
翻訳:日本映像翻訳アカデミー