Mercedes-Maybach S600
 はたして僕に、このクルマの試乗記を書く資格があるのかは,はなはだ疑問である。自動車の世界におけるマイバッハは、孤高の存在であり世界でごく一握りの成功者のための移動手段である。
 自動車というよりも、快適移動手段という性格が強い。ステアリングを握ってインプレッションを語ることより、後席にくつろぐことの重要度が高い。そんなモデルに、僕が触れることになった。つまりこのインプレッションは僕の妄想の世界の報告記事なのだ。

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 もっとも、超高級車の伝統を守りつづけてきたマイバッハも今年、その立ち位置をわずかにかえることになった。

Maybach Landaulet 240 2007
<マイバッハ ランドレー>
 2002年に誕生したマイバッハ「57」と「62」は、最低価格4850万円からであり、最高グレードは1億4350万円に達した。およそ庶民が夢見ることすら許されない次元に存在していたものの、今回の試乗車である「メルセデス・マイバッハS600」は2600万円までプライスダウンされたのである。夢見だけは許されるだろう。

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 といっても、超高級車であるにはかわりない。ベースはメルセデスS600である。(それによってリーズナブルになったのだ・・)。
さらにホイールベースを200mmストレッチしたのが特徴だ。そのうちの160mmを後席の余裕に振り分けられている。

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 それにより、後席は国際エアラインのビジネスクラス並みの空間を得ていながら、ファーストクラス級のもてなしでセレブを迎えるのである。その高級感たるや、ちょっと過剰ではないかと思うほどの煌びやかである。

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Mercedes-Maybach S600
 まずは写真をご覧いただきたい。後席はふっくらと乗員を包み込む肉厚のシートが装着されている。それは最大43.5度傾斜する。

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 オットマンも迫り出すし、マッサージ機能も組み込まれている。シートヒーターやベンチレーターといった機能は説明するまでもないだろう。

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 オプションのファーストクラスバッケージを選択すれば、格納式テーブルが迫り出すし、二脚のシャンパングラスも用意される。アームレストと後端には冷蔵庫も組み込まれるという至れり尽くせりの別世界なのである。

Mercedes-Maybach S600
 フルリクライニングすれば、たとえば平均的な身長の女性ならば、足を組んで伸ばせるほどの前後の空間がある。幅が窮屈であるわけもない。寝返りだってうてるほどだ。

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 搭載するエンジンは、高級車の証であるV型12気筒6リッター。ツインターボで武装することで、最高出力530ps/4900rpm〜5300rpm、最大トルクは830Nm/1900rpm〜4000rpmを誇る。車両重量は2.3トンに及ぶものの,動力性能に不満はない。スロットルを床まで踏み込めば、旅客機が離陸するような力強さで加速するから驚きだ。

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 ただし、感心するのはその動力性能ではなく、静粛性にある。V型12気筒のメリットは、その粒の揃った回転フィールにある。バイブレーションらしい不快感はまったくなく、振動と呼べるものはない。静粛性も極めつけで、エアコンの吹き出し音が耳に意識できるほどに,静寂なのである。 

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 メルセデスの伝家の宝刀マジックボディコントロールが利いているから,乗り心地も空飛ぶジュータンのように滑らかだ。路面からも浮き上がり、外界からも遮断されているように錯覚するほどである。
 日本が誇る、政官庁御用達、あるいは皇族の足として君臨するトヨタ・センチュリーは、けして華美ではなく、生真面目な雰囲気が漂うるそれとは対象的に、マイバッハはバブルの香りを残す。

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 センチュリーが皇族ならば、マイバッハはヒルズ族が好みそうな華やかさが特徴である。いつかこの後席に収まってサーキットの往復をしたいものだ。見果てぬ夢である。

■メルセデス・ベンツ 公式サイト
http://www.mercedes-benz.co.jp/