MINI CLUBMAN
 7年ぶりのフルモデルチェンジを受けた新型ミニ クラブマンは、名前こそ受け継ぎながらもその位置付けをこれまでとは大きく違えたモデルとなった。謳われているのは「プレミアム・コンパクトセグメントへの参入」だ。

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 何をもってそう括るのかと言えば、要するに従来のミニ クラブマン、あるいはミニ全体よりもひとつ上のサイズ、そして価格帯への移行ということになる。何しろこのセグメントは世界で目下、年4%の伸びを見せているというのだから、BMWグループとしては見逃す手は無いということなのだろう。ミニは2020年までに5つのモデルを投入することで、この新しい市場での地固めをしたいとしている。

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 そんな意気込みは、見た目からして明らか。まずは単純にサイズが大きい。すでに国内で発表済みの数値で見ると、スリーサイズは全長4270mm×全幅1800mm×全高1470mmと、たとえば全長は実に290mmも伸びている。このサイズ、ほぼVWゴルフと一緒というわけで、アウディA3やメルセデス・ベンツAクラス、あるいは身内であるBMW1シリーズまでその射程に捉えているわけだ。

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 それでいながら類型的には見えず、ちゃんとミニ クラブマンっぽいシューティングブレークのフォルムに見えるのは、いかにもミニなフロントセクション、角度の起こされた各ピラーにロングルーフといった個性が踏襲されているおかげだろう。

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尚、従来は右側だけに用意されていた後席エントリー用のクラブドアは廃され、ドアはオーソドックスに左右2枚ずつのヒンジドアが備わる。スプリッドドアと呼ばれる観音開きのリアゲートは踏襲され、そこには賛否両論ありそうな横長のテールランプが組み付けられている。個人的にも、慣れたと言えば慣れたけれど、全体のコンセプトを一新したなら、こういう所は伝統に忠実で良かったんじゃない? とは思ったりした。

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 室内に乗り込むと、円形のセンターディスプレイを中心に据えたインストゥルメンツパネル、ハッチバックより3mm高いだけというシートポジションの低さ、そして切り立ったAピラー越しの独特の視界によって、紛うかたなきミニという雰囲気を感じることができる。

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異なるのは、その仕立ての上質さ。樹脂のしっとりとした素材感、トリムの繊細な入れ方も、他のミニを更に凌ぐプレミアムカーらしさを演出する要素となっている。これを見た後だと、デザインのまとまりもクオリティも、ハッチバックは中途半端に見えてしまうほどだ。

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 特に気に入ったのはインディゴブルーのレザーチェスターシート。ピュアバーガンディのボディカラーとこの内装色の組み合わせは、溜息が出るほど英国っぽく、ひと目惚れしてしまった。

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 尚、機能面ではパーキングブレーキが電動式とされたのが小さなトピック。これはミニ初のことである。

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 当然ながらリアシートには十分な余裕があり、今度は大人3人がちゃんと座れるようになっている。そして荷室は通常時360ℓ、3分割式のリアシートバックを倒せば最大1250ℓという余裕の容量。前述した絞り込みの少ないボディ形状も、室内容積を稼ぐのに大いに貢献しているに違いない。

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 尚、リアのスプリットドアは、リモコンキーのボタンを1度押すと右、もう1度押すと左側が開く。更に足のジェスチャーでも開けることが可能。大きな荷物を両手に抱えていても困らずに済む。

サイズは大きくなったが "ミニらしい走り"は絶対に譲れない要素だったと、開発を指揮したプロジェクトダイレクターのDr.エルンスト・フリッケは言う。ミニを名乗る以上、退屈であることは許されない、と。

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 そのため走りには力が入れられ、車体の基本骨格はハッチバックとは完全に別物、新設計だと言う。まあ実際には同じグループのBMW2シリーズ アクティブツアラーと非常に近いもののようだが、つまりは中身もしっかりひとクラス上ということ。しかもストラット周辺、そして荷室フロア下などに念入りな補強が入れられて、前後の位相ズレを極力排する高剛性ボディがつくられている。サスペンションは前マクファーソンストラット、後マルチリンク。減衰力可変ダンパーも備わる。

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 今回試乗できたのは、ラインナップ最上級のクーパーS。エンジンはお馴染み直列4気筒2ℓターボだが、組み合わされるATはミニ初の8速となった。他に直列3気筒1.5ℓのクーパーも設定されるが、日本仕様では残念ながら、いずれもMTを選ぶことはできない。

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 走り出してすぐに感じたのは、これは確かに従来のミニの延長線上では語れないクルマかもしれないということだ。ボディがこれでもかというほどガッチリしているのは一緒だが、サスペンションはいやな硬さを意識させることなくよく動き、それでいて姿勢はピタッとフラットに保たれる。静粛性も際立って高く、いかにも良いクルマに乗っているなという感じ、ひしひしと味わわせてくれるのだ。
 
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 直進性の良さもハッチバックとは違ったところ。特に5ドアで感じる神経質さは微塵もなく、高速巡航も余裕でこなせる。

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 ステアリングは操舵力やや重めながらダイレクト感たっぷりで、切った分だけリニアにノーズをインに引き込む。リアのしっかりとした接地感のおかげで、それでも安心感は抜群。ゴーカートという言葉を過剰に意識したヘンな演出の無い、非常に良く出来たFF車の模範的な走りだ。と言っても面白くないわけじゃない。どこまでも思いのままになるという意味である。

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 動力性能には予想通り不満ナシ。8速ATの恩恵は大きく、普段はサクサクとシフトアップしていって低回転域を使いスーッと軽やかに走る一方で、いざ踏み込めば即座のシフトダウンで元気に飛び出すことも可能。ヤンチャさは濃くはないが、こちらも質の高い速さを楽しめる。ハッチバックでの経験からすれば、おそらくクーパーでも不足は無いはず。一方、彼の地では用意されるディーゼルについては、取り敢えず日本導入予定は無いそうだ。

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 外装は割とすぐに見慣れ、インテリアは最初からとても好印象。それらのトータルコーディネートの上手さには、さすがミニだと唸らされ、そして何より走りの質の高さに驚かされたミニ クラブマン。
どんどん大きくなるボディ、質は高くとも特徴の薄まる走りにミニの本質は何だったっけなと考えさせられ、先代のパッケージングを気に入っていた人は置き去りという事実に呆気に取られてしまうのは事実だが、プレミアム・コンパクトカーとして完成度が非常に高いことは間違いない。

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 こんなのが出てしまうと、中途半端に大きく、走りの味では及ばない5ドアの存在価値が...と思ってしまうが、一方でミニ クラブマンはお値段もかさむ。クーパー クラブマンの344万円は、クーパー 5ドアの46万円高。しかし、これをどっちがいいかと悩ませるのだから、すでにその時点でミニの術中にハマッているのかもしれない。

■MINI Japan 公式サイト
http://www.mini.jp