「昔のクルマの方が良かった」と思う5つの特徴
自動車メーカーは自社の最新機能を画期的であると宣伝したがるが、現実的には大量生産される自動車の変化というものは、急激にではなく徐々に移行していくことが多い。そしてこれらの移行期には、最新で優れた機能を充実させることでユーザーの注意を逸らし、一方でこれまで馴染んできた特定の機能が失われたり、好ましくないデザインに微修正されていたりすることを隠している場合もある。

クルマが進化し、変化が重なるにつれて、現代のテクノロジーが昔のクルマの特性の代わりとして必ずしも適切とは言えないことが明らかになってきている。そこで、昔の方が良かったと思う自動車の特徴をいくつか挙げてみた。


Aピラー周りの視界

衝突安全に対する義務は、この数年で厳しくなり、それらの基準はクルマのデザインにも大きな影響を与えてきた。しかし、その中で必ずしも改善されたといえないものが、運転席からの視界だ。クルマのベルトラインが高くなり、周囲が見難くなった。ついでに言うと、窓に肘を掛けることもやりづらくなってしまった。そしてルーフ強度の厳しい基準が、Aピラー、Bピラー、Cピラーを太くしてしまった。

ピラーの太さがどれだけ大きな影響を持っていたかを実感するのは、ドライバーが前方の視界を確認する際だ。数十年前は車内でちょっと見回せば済んだのに、現代では巨大なAピラーの影にすっぽりと隠れた大型のトナカイをはねようとしていないか、首を伸ばしてAピラー周辺を確認しなければならない。確かに、これらの頑丈なピラーのおかげで現代のクルマは横転時の安全性が向上した。しかし、最も効果的な安全性とは、事故を防止することではないだろうか?


クルマの発進と発進準備

少し前のクルマを運転する際は、基本的にキーを回せば発進できる。一方、最近のクルマでは、日常的な買い物に出掛けるというよりも、小型飛行機の飛行前点検を行うのに近い感覚だ。

多くのクルマは、再始動時に各設定がデフォルトに戻るようプログラムされているため、発進前にいくつもの儀式を行う必要がある。電動シートを調節したり、ドライブモードを切り替えたり、その他の機能のオン/オフを設定したり、そしてスマートフォンと車載インフォテインメントシステムを、途中で思わぬ障害が起きないよう無意識に願いながら、Bluetooth接続(ペアリング)し、ようやく発進の準備が整うことになる。


突発的に起こる馬鹿げた楽しみ

前述したクルマの始動時における手順の複雑さにイライラを感じることに加え、横滑り防止装置がデフォルトで効くようになっている昨今のクルマでは、期せずして生じる馬鹿げた楽しみがすっかり消えてなくなってしまった。

もちろん論理的には筋が通っている。ドライバーが突発的に起こる馬鹿げた楽しみを求めない方が、衝突事故が起きる可能性が少なくなるからだ。しかし、それはつまり、ワルさを楽しむためには、意識的に、前もって準備をしなければならなくなるということでもある。なぜなら、大半の横滑り防止装置のシステムは、単純にボタンを押すだけでは完全に解除できないからだ。電子制御を止めたい時には毎回、ボタンを何秒間か長押しする必要がある。つまり、気まぐれにドーナツ・ターンをして遊ぶことができのたは、過去の話になってしまったのだ。


クロム

鏡面仕上げの装飾はこの数年で過去のものになりつつある。スタイルのトレンドが変わったというだけではなく、クロムメッキ加工には環境への懸念があるからだ。

だからといって、その存在が消えゆくことを悲しまないわけではない。1959年式キャデラック「クーペ・ドゥビル」を一目見れば、クルマのデザイン面でこの輝きに価値があるということは一目瞭然なのである。


マニュアル・ステアリング(重ステ)

エンジニアは文字通り何十年もかけてステアリング・アシスト(パワー・ステアリング)の開発に取り組み、マニュアル・ステアリング・ラック並みの操舵フィーリングの実現を目指してきた。しかし、その努力の結果も、真のマニュアル・ステアリングと比べると色あせてしまう。特に最近では電動アシスト・ラックが増えていることから、状況がそれほど良くなっているように思えないことも問題だ。

熱狂的なドライブ好きであれば、アルファ ロメオ「4C」に少し乗るだけで、マニュアル・ラックの操舵フィーリングの良さに納得するだろう。しかし最近は、アルファ ロメオ以外にマニュアル・ステアリングを装備しているのは一握りのクルマしかない。駐車時の速度でステアリングが問題なく回せるほど軽量な新車がほとんどないという事実が、その1つの理由だ。

ここまで全部で5つの点を挙げてみたが、皆さんにも他に思い浮かぶものがあれば、是非ともコメントをお寄せいただきたい。




By Bradley Iger
翻訳:日本映像翻訳アカデミー