メルセデスがフェラーリ移籍前のF1エンジニアを機密情報の持ち出しで訴訟
メルセデスが、機密データを競合チームに渡そうとしたとして、F1エンジニアの1人、ベンジャミン・ホイルに対して訴訟を起こしていることが分かった。

ホイルは、プロドライブコスワースでの経験を持つベテランのパワートレイン・エンジニアで、2012年にメルセデスAMG・ハイパフォーマンス・パワートレインズに加入した。同社に4人いるチームリーダーの1人として、パフォーマンス・アプリケーション部門を率いていた。しかし、彼は今年末に終了する雇用契約を更新しないとメルセデスに告知。ホイルがフェラーリに移籍することを知ったメルセデス上層部は、ホイルをF1とは関係のない部署に配属したが、ホイルがレース報告書や同チームのエンジン性能に関する他の重要なデータへアクセスしたことが分かったと伝えられている。

これを受けて、メルセデスはホイルを相手取り、彼と「潜在的にはフェラーリが非合法的な利益を得た」として訴えを起こした。メルセデスは、すべての書類の返却と裁判の費用に加えて、2016年シーズンが終了するまでホイルが他のF1チームへ加入しないよう措置を求めている。

メルセデスAMG・ハイパフォーマンス・パワートレインズは、英国ブリックスワースを拠点とするダイムラーのF1エンジン部門。1983年にイルモアとして誕生し、その後メルセデスにより買収された。自社のワークス・チーム以外にも、今シーズンはウィリアムズロータスフォース・インディアにエンジンを提供し、かつてはマクラーレンザウバーにも提供していた。

F1界で発生した産業スパイ疑惑はこれが初めてではない。2007年にはフェラーリのエンジニアだったナイジェル・ステップニーとマクラーレンのデザイナーだったマイク・コフランが同様の論争を巻き起こしたことがある。フェラーリの機密文書がマクラーレンに渡ったとされるこの事件は、"スパイゲート"事件や"ステップニーゲート"事件として大きく報道された。


By Noah Joseph
翻訳:日本映像翻訳アカデミー