レッドブル、来季はタグ・ホイヤーの名前が付けられたルノー製エンジンを搭載
エンジン・サプライヤー変更の交渉が難航していたレッドブル・レーシングだが、来季は引き続きルノー製エンジンでF1に参戦することが決まった。ただしそのパワーユニットにルノーのバッジは付かず、ネーミング・ライツ(命名権)を取得することになったタグ・ホイヤーのブランド名が与えられるという。また、新マシンの名称は「Red Bull Racing-TAG Heuer RB12」になると発表された。

タグ・ホイヤーといえばマクラーレンのスポンサーではないのかと思う人もいるかもしれないが、それはつい先日までの話だ。マクラーレンの長年のパートナーだったスイスの高級腕時計メーカーは、カシオに代わって表向きはレッドブルチームのオフィシャル・タイムキーパーとなる。

だが、ここでちょっと複雑な背景がある。マンスール・オジェ氏と、彼が代表を務める持ち株会社テクニーク・ダバンギャルド(TAG)はマクラーレンの大株主だが、TAGは1985年から1999年までタグ・ホイヤーを傘下に収めていた。そのタグ・ホイヤーが今、マクラーレンからレッドブルにパートナーを変えようとしているのだ。

TAGの名前が別のF1チームへ移ったり、大手自動車メーカー製F1エンジンのロゴが付け替えられたりするのは、今回が初めてではない。ロン・デニス氏がマクラーレンを引き継ぎ、オジェ氏をマクラーレンの共同オーナーに迎え入れる以前、TAGはウィリアムズとパートナーを組んでいた。1983年にポルシェが開発した1.5リッター・ターボ・エンジンにはTAGの名前が付けられ、これを搭載したマクラーレンはニキ・ラウダとアラン・プロストによって3度のドライバーズ・チャンピオン、2度のコンストラクターズ・タイトル、そして25回のGP優勝を成し遂げた。

また、今回のようなネーミング・ライツの契約は、一般的ではないものの前例がないわけではない。マクラーレン-TAG-ポルシェの提携以外にも、ザウバーがかつてフェラーリ製エンジンをスポンサーであるペトロナス(メルセデスに転じてから久しい)のバッジ・ネームで使用していたことがある。他にも、1998年にはベネトンがルノー製エンジンにプレイライフの名前を付けて使用し、ウィリアムズはルノーからエンジン製造を受け継いだフランスのメーカーで、その頃からF1に力を注ぎ始めたメカクロームのバッジ・ネームを使って参戦していた。

今回の発表では、レッドブルとタグ・ホイヤーの間で交わされた「パフォーマンス・パートナー」契約が、2016年から複数年に及ぶことも明らかにされた。つまり、2017年以降もレッドブルは、ルノー(またはその他のサプライヤー)が製造した"タグ・ホイヤー"ブランドのエンジンで走り続ける可能性が高い。また、そのルノー製パワーユニットの開発には(2014年から言われていた通りに)英国のイルモア・エンジニアリングが協力することも正式に明らかにされた。なお、これまで過去に何年もの間、ルノーと関係が深いインフィニティがレッドブル・チームのスポンサーを務めてきたが、このパートナーシップは2015年末で終了となることが最近発表されている。


By Noah Joseph
翻訳:日本映像翻訳アカデミー