【レポート】経営破綻寸前のカパロ、最高経営責任者が自殺か
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もし、"公道を走行できるF1マシン"と呼ばれたカパロ「T1」の復活を待ち望んでいるのなら、残念ながらその夢は諦めた方がいい。今や会社が経営破綻寸前である上に、その最高経営責任者が自殺を図ったらしいというのだ。

もともと「フリーストリーム T1」という名前だったカパロ T1は、おそらくどのスーパーカーよりもF1レーシングカーに近いマシンだった。元マクラーレンのエンジニアたちによって開発されたその幅が狭い車体は、フォーミュラーカーのようなアウトボード・ホイールとセンター・コックピットを採用。車両重量は450kgほどで、その約2倍のダウンフォースを発生し、高回転型3.5リッターV8エンジンを搭載していた。だがこのT1は、少しF1マシンに近づき過ぎてしまったようだ。ひどく神経質な挙動が判明し、F1のピットクルーが直すようなメカニカル・トラブルが頻発したのだ。ロードカーとしてはそう簡単に許容されるものではなかった。

このクルマの製造元であるカパロ・ヴィークル・テクノロジーズ社は、様々な分野の事業を展開する巨大な企業グループの一部だ。親会社のカパロ・グループは主に鉄鋼を取り扱っており、それ以外にもホテルや金融など手広く展開している。その会社が最近経営危機に陥り、破産財産管理が行われて、何百人もの従業員が解雇された。そんな苦況の中、11月8日に同社の最高経営責任者であるアンガッド・ポール氏が、ロンドンにある最上階の自宅マンションから飛び降り、その場で死亡が確認された。45歳の若さだった。

カパロはアンガッド・ポール氏の父、スワラジ・ポール卿が1968年に設立。アンガッド・ポール氏は1996年に経営を引き継ぎ、ガイ・リッチーが監督した映画『スナッチ』や『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』などの資金提供にも携わった。2006年のフリーストリーム社のスーパーカー・プロジェクトを買収し、エンジニアの優れた能力を生かすために同車をショーケースとして活用する計画だった。T1に関しては1年以上前に「T1エボリューション」という改良モデルが発表されたが、それ以降、進展の話が聞こえてこなかった。残念ながら、誰かがカパロを買収しない限り、これがT1に関する最後のニュースとなるだろう。


By Noah Joseph
翻訳:日本映像翻訳アカデミー