ピニンファリーナがデザインした素敵なトラクター!
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Autoblogでトラクターを取り上げることは少ないが、ヨーロッパの自動車メーカーには、農業機械を製造してきた長く輝かしい歴史を持つ会社もある。そしてこの度、イタリアのピニンファリーナが、写真のトラクターで農業機械の分野に参入することになった。

この新しいZETOR社のトラクターは、ドイツのハノーバーで先ごろ開催された国際農業機械展「アグリテクニカ 2015」で発表されたもので、有名なイタリアのデザイン・スタジオ、ピニンファリーナがデザインを手掛けている。これがそのまま製品化されるというよりも、チェコの農業機械メーカーであるZETOR TRACTORS a.s.が創業70周年を記念し、モジュール化されたプラットフォームを用いて将来目指すデザインの方向性を示したモデルという意味合いが強い。"きわめて官能的であり、ダイナミックでモダン"と表現されるデザインは、従来の多くのトラクターよりも(ポルシェランボルギーニのトラクターよりも)、洗練された印象を与えている。もちろん、トラクターの外観は主に機能性によって決まるため、スーパーカーのようなエクステリアとはいかないが、トラクターとしては非常に美しいデザインだ。数年前にトラクターの免許を取った筆者の言葉を信じてほしいのだが、このトラクターは見た目以上に農業に適している。

これまでの歴史の中で、実に多くの優美なクルマを生み出してきたピニンファリーナが、なぜ今トラクターを手がけるのかと疑問に思うかもしれない。しかし、これには特にイタリアにおける自動車製造業界の事情がある。かつてカロッツェリアが得意としてきたデザインや少量生産を、現在は自動車メーカーが主に社内で行うようになったのだ。ベルトーネが倒産に追い込まれ、イタルデザイン・ジウジアーロフォルクスワーゲン・グループの傘下に入る一方で、ピニンファリーナのようなカロッツェリアは生き残りをかけて、新たな顧客を獲得しようと必死だ。長年にわたって同社と取引のあったフェラーリでさえ、今はほとんどのデザインプロセスをイタリアのマラネッロにある本社の工場内で行っている。だから、ピニンファリーナが新しい分野を開拓しようとしても驚くには当たらない。だが、このデザインを見たところによると、農業界にとっては明るい話となりそうだ。


By Noah Joseph
翻訳:日本映像翻訳アカデミー