VOLVO S60 D4 Polestar
コレが本当にまだ熟成の終わっていない、つくりたてのエンジンなのかとその出自を疑ってしまって本当にごめんなさい。反省します。
手放しでアタマ下げちゃうくらい文句無しに気持ちいいのは、その押し出し感ある加速とあらゆる領域で発揮されるきめ細やかなトルクのふくらみを感じたからだ。新顔と思えない風格は、走るのが好きな人ならきっと誰もがはっとするに違いない。
ボルボが今年の7月に導入してきたD4と呼ばれる新型のクリーンディーゼルエンジンは、まさにそんな感じ。とにかく完成度が高く、とにかくエエ塩梅なんである。

VOLVO S60 D4 Polestar VOLVO S60 D4 Polestar
日本にはなんと実に32年ぶりにディーゼルエンジンを導入したボルボ。
踏めば踏んだだけズバっと風を切り拓いて行く感覚は、確かにガソリンエンジンのソレとはまた別物の快感だ。一回このフィールに取り憑かれてしまったら、きっと車外からアイドリングを聴いたときの、思ったよりもガラガラと周囲に響く盛大なディーゼルサウンドにだって、目をつむりたくなるに違いない。
そう、お世辞にも車外騒音という部分において、D4エンジンが静かとは言えないのはごまかしようのない事実。

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だけど、だけどです。そんなちいさいことこだわってんじゃねーよ!みたいな気分になるくらい(暴言御免、えへへ)、音だけで判断するのはホント勘弁してください。だってほんとマジでコレ、食わず嫌いはもったいないのである。
日本がディーゼルエンジン鎖国をする前にディーゼル車と親しくしていた人ならば、このサウンドを一抹の懐かしさとともに回顧することもあるかもしれない。実は私もそのクチで、雪山を愛する山男だった父は、パワフルでエコノミーなディーゼル車を歴代の愛車に選んでいた。
残念ながらその時代のものはエコロジーではなかったのだけど、クリーンに生まれ変わった現在のディーゼル車に乗ったら喜ぶだろうなお父さん......といつも試乗のたびにおもう。今度帰省のときに教えてあげよう。

VOLVO VOLVO
ボルボが巨額の投資......それはぶっちゃけた額面のハナシ、なんと20億クローネ、日本円にして320億円(!)をもって、100年の歴史を持つスウェーデンのシュブデ工場をリニューアルさせたのはわずか2年ちょい前のこと。
完全自社製のパワーユニット「ドライブ・イー(Drive-E)」の生産を開始して以降、ダウンサイジングガソリンエンジンのT4、T5AWDと、つぎつぎに名作を送り出してきた。
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<参照:T3 エンジン>
そして今回ご紹介するクリーンディーゼルのD4と、さらに1.5リッター直4ターボのガソリンエンジンT3が新たに追加されたのだが、その工場の稼働ぶりを想像するに、おそらく昼夜問わずの大わらわなんでないかと老婆心ながら心配してしまうほどに躍進は目覚ましい。

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そしてこの開発スピードの速さこそ、Drive-Eパワートレーン技術の強みでもある。
実はこのD4エンジンの基本設計は、ほかのガソリンエンジンとかなりの部分まで共通化、もしくは類似した技術を導入して制作されている。
そのために、開発期間・開発コストともに軽減でき、かつ高い品質をキープできるというのが強みだ。また、サプライヤーの提供する最新の技術を率先して採用することで、時代にフィットした環境性能を実現しているのも特徴である。
その中には日本のサプライヤーであるデンソーの開発したコモンレールシステム(燃料をエンジン内に高い圧力で噴射するシステム)や、アイシン製トランスミッションも採用されていて、なんとなく日本人としては誇らしいきもちになるのは致し方あるまい。
しかもそれら日本のテクノロジーは、わりとこのD4エンジンのキモとなっているだけにさらに自分が作ったわけでもないのに鼻が高い。

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デンソーのコモンレールはi-ARTテクノロジーと呼ばれ、通常なら一つのエンジンにひとつの圧力センサーを持つところを、4つのインジェクターにそれぞれ圧力センサーを装備し、より緻密な燃料噴射を叶えているというものだ。このきめ細やかな燃料噴射により、燃費はもちろんのことレスポンスにも優れた気持ちのよい加速を実現している。
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それに信頼のアイシンAW社製8速オートマチック・トランスミッションは、やっぱりどう考えても質感がいい。あらゆる領域でシームレスだし高級感のある滑らかな変速は、アイシンのお得意とするところなのだ。
もちろんほかにも導入された技術は多い。コモンレールに燃料を送り込むポンプも高圧化するなど、生産実績はわずか2年強ながら、高効率で低燃費のクルマを造り上げるために妥協は一切ないのである。

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というわけで、ボルボが今年7月に、一気に5車種にもわたってD4エンジンを日本に導入してから実にその販売比率、同社内において40シリーズで約70%、60シリーズで約90%と、予測通り人気は圧倒的だ。これはD4エンジン導入以降の同年度モデルでの比率なのだが、ガソリンとディーゼル比率を既存モデルの合算で算出したところ、販売わずか2ヶ月で57%と圧倒的な数字を叩き出している。
むろん未だディーゼルエンジン導入数の少ない日本において、物珍しさやディーゼルに乗ってみたい新しモン好きが飛びついているというのは安易に想像できるが、逆に言えばクルマを知り尽くしたツウたちが今、選んでいるのがディーゼルとも言える。
D4エンジンはそんな目の肥えたユーザーをも虜にし、きっちり顧客層に組み込んでいるのだろうと想像するのはそう無茶な話じゃない。

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だいたい、これまでボルボに乗ったことのなかった人はきっと、ボルボのもつルーミィなあたたかい内装のドラマチックさとかストーリー性の高さ、欧州車とは違ったシートの設計や色使いなんかにも、ドキっとしちゃったに違いない。だって、ボルボに試乗し慣れた私でさえ、未だにボルボのドアを開ける瞬間に気持ちがぱあっと華やぐもの!

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しかもその感動的な加速に、今度はなんとソフトウエアのかたちで納品されるチューニングソフトが追加された。
ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」である。
これは出力やトルク特性、シフトプログラムを総合的に調整し、ドライビングパフォーマンスを向上させる専用のチューニング用マネジメント・プログラム。全国のボルボの販売店で購入でき、その形はまるで国語辞典のようなブックレット型の手乗りサイズだ。Drive-Eパワートレーン用では初めてのソフトウエアとなるが、ボルボとしては過去にも高い販売実績を持つ人気商品でもある。
発注したら販売店から本国にオーダーが入り、本国での登録を終えたら販売店に発送される。オーナーはただ販売店にクルマを持って行けば、ものの数時間でハイパフォーマンスになって帰ってくるという仕組みだ。
ソフトウエアの納品だから、実はオイル交換やタイヤ交換のついでにお願いすることもできるお手軽チューンなのである。お値段は消費税込み18万8千円と、従来価格20万5千円チョイに比べ、少しお買い得になっている。

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この「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」を装着すると、D4では出力が190psから200psに、トルクは400Nmから440Nmに引き上げられる。
え、18万も出して10ps/ 40Nmだけ?と思ったアナタ、それはちょっとチッチッチ、だ。
ポールスターとはボルボのレーシング部門を一手に任されるレーシングエンジン制作のプロである。そのポールスターが監修し、名前を冠するのだから、なまっちょろいもんじゃないのである。
実はこれ、実用使用域である2,000〜4,000rpmのときには+16psを発揮するように出来ており、実際乗ってみると目に見えてその差を感じられるものに仕上がっているから安心して欲しい。数字はめやすになるけれど、すべてを雄弁に語るわけじゃないのだ。

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今回はこの「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」を搭載した「S60 Rデザイン」に試乗をしたのだが、ミディアムクラスのセダンであるS60のどっしりとしたボディをとにかく元気に引っ張ってくれるのはさすがポールスターだと感じた。

VOLVO S60 D4 Polestar
もちろんD4エンジンはただでさえ元気のいい加速が印象的なのだが、それにさらにひとさじのスパイスを加えてくれる感じのイメージ。コーナー出口なんかのあと一押し、再加速の際のあとひと踏ん張りをカヴァーしてくれるから、息巻いて遮二無二アクセルを踏みつけなくても、しれっと難所をクリアしてくれる。

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たとえば、試乗シーンは急峻な登り坂を持つワインディングロードだったのだが、たとえ5速に入っていたとしても粘るようにぐんぐん加速を伸ばしていくのには驚いた。この辺、もちろんトランスミッションとのマッチングも協調もうまく働いていて、何の違和感もないどころか至極スッキリと纏まっているのは素晴らしい。

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ひとつ悩みがあるとしたら、ボルボならではのボディの高い剛性がしっかりと足腰の強さ=フレキシブルなストロークを支えてくれちゃうために、「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」のアクセルワークの楽しさを煽りまくり、気付いたらどんどんペースを上げてしまいがちになるところだろうか。
S60のずっしりボディも軽々引っ張っていくパワーは、持ち重りを微塵も感じさせないから、ほんの少しのアクセル踏力で十分なパワーを得られるという特性を生かして、遠出を趣味にされている人なんかにも是非検討してもらいたい。きっとノーマルよりも疲労度が低いことに気付かれるはずである。

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そうそう、この「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」、いつでも導入できるのも魅力。たとえば購入3年後、ちょっとドライブフィールに飽きてきたからパワーを足してみよう、なんてことも可能なのだ。この「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」、なんとボルボの全販売台数の10%もの人が選ぶというから、その人気ぶりからもパフォーマンスを想像して欲しい。
ちょっと刺激が欲しくなってしまったとき、いつでも愛車を変身させてあげることが出来るということをぜひ、覚えておいてほしい。

■ボルボ・カー・ジャパン 公式サイト
http://www.volvocars.com/jp

■ボルボ S60 公式サイト
http://www.volvocars.com/jp/cars/new-models/s60

■ポールスター・パフォーマンス・パッケージ
http://www.volvocars.com/jp/buy/highlights/polestar/polestar-package