【ビデオ】アルゼンチン検察当局が英『トップギア』を裁判にかける見通し
長年司会を務めてきた英BBC人気自動車番組『トップギア』を降板したジェレミー・クラークソンだが、彼がこれまで同番組で行ってきた行動の数々は、今後も火種となって彼の元に舞い戻ってきそうな気配だ。英紙『The Telegraph』のウェブ版によると、アルゼンチン検察当局は、昨年クラークソンがクルマのナンバープレートで行った侮辱的行為は犯罪にあたるとして、先週よりさらなる調査を再開したという。結果によっては実刑判決が下される可能性もあるようだ。

『トップギア』の中でも、特にクラークソンは、他の文化を揶揄するような言動で知られていた。同番組を解雇されるに至った、番組プロデューサーを殴るという騒動を起こす前にも、彼は人種差別的な発言やソーシャルメディアへの投稿に対して警告を受けている。そのため、2014年のクリスマス・スペシャルで、1,400マイル(約2,250km)におよぶロードトリップの撮影中にアルゼンチンでトラブルを起こした時も、さほど驚きはなかった。

今回問題となっている事件の詳細を話す前に、歴史について少し触れたい。アルゼンチンとイングランドの長きにわたる争いは、はるか帝国の時代にまで遡る。アルゼンチン沖のフォークランド諸島は、フランス、イギリス、スペイン、そしてアルゼンチンにより、領有権をめぐって幾度となく争いが繰り返され、1833年イギリスに占領されることとなった。そして1982年にはアルゼンチンとイギリスが同諸島をめぐり対立し、血なまぐさい紛争が勃発。結果はイギリスの勝利であり、今日までイギリス領となっているものの、今なおアルゼンチンは領有権を主張している状態だ。

さて、『トップギア』の面々とクルマの話に戻ろう。アルゼンチンで番組の撮影が行われた際に、クラークソンは「H982 FKL」と書かれたナンバープレートを付けたポルシェ「928」を運転していた。番組プロデューサーは故意に現地の人々を怒らせようとしたわけではないとして否定しているが、その真偽は別としても、明らかに1982年にイギリスとアルゼンチンの間で起こったフォークランド紛争を連想させるものであったことには変わりがない。これが住民の神経を逆なでし、クラークソンはロードトリップを締めくくる予定になっていた都市から退去するよう命じられた。さらに、激怒したアルゼンチンの住民たちから石を投げられるという事態になったため、トップギアは撮影を断念して国外へ逃れることとなったのである。

今年4月、裁判では侮辱的なナンバープレートが意図的なものだったと見なされ、同番組は暴動を引き起こしたとして非難された。一時は継続が見合わせられていた審議が、今回アルゼンチンの裁判所で再開された運びには、フォークランド紛争の退役軍人からの後押しもあったようだ。検察側は、『トップギア』はポルシェのナンバープレートが違法だということを十分に承知した上で交換していたと主張している。アルゼンチンの法廷制度では、判決が下されるまでには数年かかる上、トップギアの元司会者3人も法廷に引きずり出されることになるだろう。最終的に有罪となれば、クラークソンは3年間アルゼンチンの刑務所に収容されることになる。すでに新たな番組の制作に入っている3人だが、どうやら"過去の呪縛"からは簡単には逃れられそうにないようだ。




By Erin Marquis
翻訳:日本映像翻訳アカデミー