LEXUS RCF
 国産唯一のプレミアムブランドであるレクサスに対して、もはや「大人しい」だとか「オヤジ」といったネガティブなイメージを持っている人は少ないと思う。なぜならばレクサスはこのところアーバンな世界に積極的なブランドイメージ訴求の姿勢を見せているし,一方でスポーティドライブにも前乗りのスタイルを貫いているからだ。

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 レクサスLFAがフラッグシップとしてイメージを構築した。だが世界500台限定だったために、もう新車を手に入れることはできない。そんなレクサスの現実的な世界を牽引し、世間の期待を一身に集めるのがこの「RC F」なのである。

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 先代のIS Fから始まった「F」ブランドはいわば、BMWの「M」であり、メルセデスの「AMG」に匹敵する。それゆえ、走りはとことん熱い。

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 フロントに搭載されるエンジンは、V型8気筒であり5リッターの排気量をもつNAである。さすがに5リッターもあると最高出力は激烈極まりない。ビークパワーは477ps/7100rpmに及び、最大トルクは530Nm/4800〜5600rpmに達するのである。
 特徴的なのは、あえて過給器の助けを借りていないことだ。これがダウンサイジングターボならば,これほど高回転まで回す喜びは得られないだろう。実際に、天井まで弾ける感覚は、このマシンの魅力のひとつになっている。

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 中回転から唐突にサウンドに躍動感が加わる。猛獣の遠吠えのように凄みを増す。そのビートを耳にしていると,このクルマが生粋のスポーツカーであることが理解できるのである。

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 さらに特徴的なのは、流行の2ぺダルMTではなく、8速ATと合体させていることだ。といっても、オートマチックという言葉の響きから、乗用車的なイメージを想像するのはあやまちだ。ほぼ全域ロックアップするし、パドルによる変速レスポンスも秀逸である。効率と躍動感は、2ペダルMTに遜色はない。それでいて市街地ではストレスフリーのATとして機能する。もはや2ペダルMTこそ古く感じるほどである。

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 ちなみに、基本はFRスポーツクーペなのだが、リアにトルクベクタリングを装備するのもRC Fの武器である。ドライバーが鋭い旋回挙動を求めるならば、外輪に強く駆動トルクを分け与え、旋回フィールを高めてくれる。

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 よしんばテールが流れるようなスリリングな状況に陥れば(滅多にそうはならないが・・)、駆動輪をコントロールして安定度を高めてくれるのである。だからこの日も、遠慮することなく秋空のワインディングを攻めることができた。

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 もともと骨格が,レーザーウエルディング(溶接打点増し)が加わり、点ではなく面で骨格を圧着する接着剤結合などを"ぜんぶのせ"で注ぎ込んでいるから、ボディ剛性の不足はないのはもちろん、ありとあらゆる先進技術がサポートするのである。トルクベクタリングだけでなく、スタビリティコントロールや電子ブレーキといったハイテクデバイスが束になって、RC Fの走りを支えているのだ。

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 欠点らしい点を付け加えるならば,フロントの重心が高く,ノーズヘビーな印象を受けることだ。限界領域ではフロントの横剛性が不足気味であり、リアの接地感も曖昧になる。ともあれ、それはサーキットで限界域をさまよおうとした時に感じるもので、日常では気にならない。その圧倒的な瞬発力には惹き込まれるだけだ。
 ちなみに、ライバルである欧州プレミアムスポーツモデルは、こぞってドロドロとした刺激を追い求める傾向にある。BMW・M4しかり、AMG・C63しかり。心体が充実していなければ、とてもじゃないけれどその荒々しさに対峙する気にはなれない。それほど猛獣化している。
 その点RC Fは、レクサスブランドの中では鼻息が荒いのはたしかだが、ライバルよりも分別がある。その気になれば驚くほどピリピリするものの、平常では従順なサラブレッドでいてくれるのである。

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 この手のスポーツモデルの中では驚くほど乗り心地もがいいし、静粛性も高い。アーバンドライブにも容易に連れ出す気になる。それでいて,その気になれば喉を鳴らし、ワイディングに襲いかかるのだ。



■レクサス 公式サイト
http://lexus.jp