予想落札価格は33億円! ファンジオが乗ったフェラーリ、オークションに出品
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これまでスクーデリア・フェラーリで戦ってきた伝説的なドライバーの中でも、チームに多大な影響を与えたドライバーはそれほど多くない。そのうちの1人であるファン・マヌエル・ファンジオは、F1草創期に5度のワールド・チャンピオンに輝き、24回の通算優勝回数を記録しただけでなく、スポーツカー・レースでも多くの勝利を挙げた。在籍したチームはメルセデスアルファ ロメオマセラティ、そしてもちろんフェラーリ。写真のクルマはフェラーリの創設者であるエンツォ・フェラーリ自身が深く関わり、ファンジオのために特別に造ったものだ。この歴史的なクルマがオークションに出品される。当然、落札価格はかなりの額になると予想される。

この1956年製フェラーリ「290MM」(シャシーナンバー0626)は、ファンジオがイタリアの公道レース、ミッレミリアに出場するために製造された車両だ。翌1957年にレースが開催中止となったため、ファンジオにとっては最後のミッレミリアでの出走となった同レースでは、またしても勝利は逃したものの、1,000マイル(約1,610km)の距離を独力で走り抜き、4位という結果を残している。

しかし、このクルマの伝説はそれだけで終わらない。翌5月のニュルブルクリンク1,000kmではフィル・ヒルが、6月のルーアンGPではアルフォンソ・デ・ポルタゴ侯爵がそのステアリングを握ったほか、ウォルフガング・フォン・トリップスはこのマシンで初めてフェラーリからレースに出場している。翌1957年にはブエノスアイレス1,000kmで優勝。フェラーリが1956年と1957年のコンストラクターズ・タイトルを獲得するのに、この290MMは大きな役割を果たした。

290MMは合計4台しか製造されていないが、その中でも#0626は最高の個体と言えるだろう。華々しい戦歴にも拘わらず、一度もクラッシュに遭ったことがないのだ。スクーデリア・フェラーリが放出した後は、大西洋を横断していくつかのチーム・オーナーの手に渡り、1964年までレースに参戦を続けたという。それからずっと米国の地に留まっている#0626は、フランス人収集家のピエール・バルディノン氏が34年間所有した後、現在のオーナーが買い取り、いくつものクラシックカー・イベントでその姿を披露している。そして今回、12月10日に米ニューヨークで開催されるRMサザビーズ主催のオークション「Driven by Disruption」に出品されることになった。その予想落札価格はなんと2,800万ドル(約33億円)を超えるという。となると、2013年にモントレーで開催されたオークションで2,750万ドル(当時のレートで約27億円)の値を付けた1967年製フェラーリ「275GTB/4*S N.A.R.T. Spider」を上回り、これまで由緒あるオークション・ハウスが扱って来たクラシックカーの中でも歴代の最高額を更新することになる。

もちろん同オークションに出品されるクルマはこれだけではない。ほんのいくつかの例を挙げても、先日ご紹介した1962年アストンマーティンDB4 GT ザガート」(予想落札価格16万ドル、約19億2,000万円)や、ランボルギーニコンセプトS」(予想落札価格3万ドル、約3億6,000万円)、そして290MMと同時代の1955年フェラーリ「500モンディアル」(予想落札価格6万ドル、約7億2,200万円)などが含まれる。更なる詳細は公式サイトでご確認いただきたい。


By Noah Joseph
翻訳:日本映像翻訳アカデミー