メルセデス・ベンツ、日本市場専用のクリーンディーゼル・エンジンを搭載した新型「Vクラス」を発表
メルセデス・ベンツ日本は10月10日、日本市場専用のクリーンディーゼル・エンジンを搭載した7人乗りミニバン、新型「Vクラス」を発表。同日より注文受け付けを開始した。発売は2016年1月を予定しているという。

1998年に販売開始された初代Vクラスは商用車ベースの前輪駆動だったが、初期には「ビアノ」の名前で売られていた先代型からメルセデス伝統の縦置きパワートレインによる後輪駆動となり、3.5リッターV型6気筒エンジンを搭載する「V 350」が日本でも販売されていた。



約10年ぶりにフルモデルチェンジした現行型は3代目にあたるが、その日本仕様「V 220 d」は、世界で最も厳しいと言われる我が国のポスト新長期規制に適合するため、日本市場専用に開発したという2.2リッター直列4気筒直噴ターボ「BlueTec(ブルーテック)」クリーンディーゼル・エンジンを搭載。
超高速で精密な燃料噴射が可能なピエゾインジェクターや、低回転時には鋭く立ち上がり高回転時は大パワーを発生する電子制御可変ターボチャー ジャーを採用し、2,142ccの排気量から最高出力163ps/3,800rpmと、先代の3.5リッターV6を上回る最大トルク38.7kgm /1,400~2,400rpmを発揮する。「7G-TRONIC PLUS」7速オートマチック・トランスミッションとの組み合わせで、2.5トンに迫ろうかという車両重量にも関わらず、JC08モード燃費は全車 15.3km/Lを記録したという。

排出ガスの"クリーン化"については、粒子状物質除去フィルター(DPF)で粒子状物質(PM)を除去した後、「AdBlue(アドブルー)」と呼ばれる尿素水溶液を噴射し、熱反応によってアンモニアを生成させてから、SCR触媒コンバーターで化学反応(還元作用)を発生させて有害な窒素酸化物(Nox)を大幅に削減する「BlueTec(ブルーテック)」と呼ばれるメルセデス最新のディーゼル排出ガス処理システムを採用している。




このエンジンは基本的に先日発表された「C 220 d」に搭載されているものと同型だが、Vクラスに合わせてソフトウェアによりチューニングが変更されているそうだ。ただし、尿素水溶液「AdBlue(アドブルー)」のタンク容量は10リッターとCクラスよりだいぶ小さく、1,000kmを走行するごとに1リッターが消費されるため、わりと頻繁に補充しなければならない。これには新車購入時から3年間走行距離無制限の一般保証・メインテナンス・サービスが無償で提供される「メルセデス・ケア」が適用されるため、初回の車検時までは販売店に行けば無料で補充してもらえる。




ちなみに欧州仕様の「V220」は、同じ163psながら、BlueTecではない「CDI」と呼ばれる一世代前のディーゼル・エンジンを搭載している。あちらにもBlueTecエンジン搭載モデルはあるのだが、190psの「V250」のみであり「これを入れると、どうしても価格が高くなってしまう」ため、日本市場専用に220のBlueTecを用意したとメルセデス・ベンツ日本の方は仰る。また、2列目と3列目シートの乗員がビデオやテレビを楽しめる「リアエンターテインメントシステム」や、頑丈なシートレールを利用して車内に積載するロードバイクを固定できる「車内用バイシクルホルダー」など、日本の顧客に想定される様々なニーズと利便性に応えるため、これらの純正アクセサリーを日本で開発したという。メルセデス・ベンツ日本がどれほど力を入れているか、お分かりになるだろう。




大柄な車体は、標準ボディ(上の写真:上)で全長4,905mm × 全幅1,930mm × 全高1,880mm、ホイールベースが3,200mm。「ロング」ボディはこれより全長が245mm延長される(5,150mm)。さらに今回は「エクストラロング」仕様(上の写真:下)も用意されており、こちらはホイールベースが230mm、全長は385mmも長くなる(5,380mm)。これほどの巨体となると駐車や取り回しが大変そうだが、その点をサポートするため、車両周囲の状況をモニターする「360°カメラシステム」や、ブレーキとステアリングを自動的に操作して車庫入れや縦列駐車を手助けする「アクティブ パーキングアシスト」、前後の障害物を超音波センサーで感知する「パークトロニック」が全車に標準装備されている。



広大な室内は、2列目と3列目のシートが脱着可能。例えば2列目を後ろ向きにセットして向かい合って座ったり、後部に2座のみを残してゆったりと座るショーファードリブン仕様にしたり、あるいは2列目と3列目を全て取り外して大量の荷物を積載したりと、用途に合わせて様々なアレンジが可能だ。

エントリー・グレードの「V 220 d トレンド」(受注生産)は、減衰力が可変する「AGILITY CONTROLサスペンション」や、配光モードが自動で切り替わる「LEDインテリジェントライトシステム」、電動デュアルスライディングドア、前席メモリー付きパワーシート及びシートヒーターなどの装備が省略されるが、消費税込みで535万円と比較的お手頃な価格に設定された。上記の装備が付く標準ボディの「V 220 d」なら620万円。ロング・ボディの「V 220 d アバンギャルド ロング」になると本革シートや「Burmester サラウンドサウンドシステム」も標準で装備されて695万円。最長サイズの「V 220 d アバンギャルド エクストラロング」は先進の安全運転支援システム「レーダーセーフティパッケージ」も標準装備となり(他のグレードではオプションで装備可能)730万円。最高級仕様がお望みならこれに「ナッパレザーエクスクルーシブパッケージ」を選ぶことも可能だ(60万円高)。

発表会にビデオ・メッセージで登場した歌手の倖田 來未さんは先代Vクラスをツアー用の移動車として使用されているそうで、その良さとして快適性や高級な雰囲気に加え、「やっぱりパッションが、気持ちがアガる」という言葉で表現していた。




排出ガスに含まれるNOxの量が今になってまた問題視されているディーゼルだが、少なくとも先代のガソリン3.5リッターV型6気筒に比べれば、地球温暖化の原因となるCO2の排出量が少ないことは確か。あとは我々自身が(クルマに乗らないという選択肢も含めて)判断するしかないだろう。なお、新型Vクラスは東京・六本木とグランフロント大阪のメルセデス・ベンツ コネクションで、現在実車を展示中(東京は10月26日まで、大阪は27日まで)。詳しい情報は、以下のリンクから公式サイトをご覧いただきたい。


メルセデス・ベンツ日本:Vクラス
www.mercedes-benz.co.jp/content/japan/mpc/mpc_japan_website/ja/home_mpc/passengercars/home/new_cars/models/mpvs/v-class.html

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By Hirokazu Kusakabe