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MotoGP第15戦日本GP決勝は、Repsol Honda Teamのダニ・ペドロサ選手が6番グリットからの戦略的な猛追で今期初優勝を飾った。
前日までのフリー走行と予選はドライコンディションの中で行われたのだが、決勝日になって突然の雨。朝から霧が濃く、午前中のフリー走行がディレイとなるなど、ドタバタのスケジュールとなってしまった。初めてのウェットコンディションだというのに、フリー走行の時間が短縮され、選手にとってもチームにとってもかなりヘビーな1日となってしまったのだ。

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前日の予選では、チャンピオンシップ争いをしているMovistar Yamaha MotoGP Teamのヴァレンティーノ・ロッシとホルヘ・ロレンソが両者ともに、サーキットの最速ポールラップである1分43秒台を叩き出すという火花を散らすバトルが展開され、誰もが決勝でのガチバトルを予感した。

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どちらかといったら、ロレンソに分があるとされていたもてぎサーキットで、今シーズン予選で下位に埋まってしまうことが多かったロッシが素晴らしい走りを見せたのだ。最終ラップで1分43秒871を叩き出した瞬間に、誰もがロッシのポールポジションを確信し、今までのもてぎでは聞いたことが無いほどの唸るような観戦があがった。

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が、その直後にロレンソが1分43秒790というタイムを出し、ポールポジションをさらっていったのだ。首位を走るロッシを14ポイント差で追うロレンソ。残り4戦となって一歩たりとも引けない両者の意地が見えた。予選タイムもレースディスタンスのタイムもほぼ同様。日本で、このもてぎで、目の前で両者の真の戦いが見られるとあって、ツインリンクもてぎに集まったファン達は、決勝への期待に胸を膨らませずには居られなかったのだ。

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が、くどいようだが、決勝日は雨......。レースが始まる前までは、期待していたバトルが見られないかも、と正直意気消沈してしまっていた。しかし、ふたを開ければそれとは全然違う見応えのあるレースが展開されたのだ!

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スタートからポールポジションのホルヘ・ロレンソが勢いよく飛び出したが、1コーナーでラインを外し、2番グリットから珍しく(失礼)スタートが上手くいったロッシが先頭に立った。しかしそれもつかの間、3コーナーでロレンソが首位を奪い返えし、どんどんと差を広げてあっという間に2位のロッシと3秒以上の差を築いてしまった。そのままロレンソお得意の独走パターンで優勝してしまうのか、と誰もが思っていた。
しかし、後半になって路面がウェットからドライに代わり始めたことによりレースが動いたのだ。

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なんと、6番グリットからスタートしたペドロサが徐々に追い上げてきたのだ。ハードにするかミディアムにするか、直前までタイヤの選択に迷っていたペドロサは、周りを見てソフトタイヤをチョイスするも、それでもマシンからのフィーリングが得られず、序盤は慎重な走りをしていたという。

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しかし、徐々にそれが解消し乾いてきた路面を避け、ウェットの路面を選んでラインを1本外して走り、タイヤの温存を図っていた。7週目くらいから一気にタイムを上げ始め、11週目に3位を走っていたDucatiのアンドレア・ドヴィチオーゾを抜き3位に浮上。さらに、16週目には2位を走っていたロッシを抜き去り、18週目のダウンヒルストレートで、首位を走っていたロレンソをあっという間に抜き去りトップに立った。

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その後他者を寄せ付けない速さで8秒以上の大差を付けてそのままチェッカーを受けた。ペドロサに抜かれることによって3位に落ちたロッシは、速いペースのペドロサに着いていくことで自身のペースアップをはかり、20週目にロレンソがコーナーではらむミスを犯した瞬間に前に躍り出て2位にてチェッカー。

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「ずっとフルウェットのコンディションだったら、勝つ自信があったのに......。」とレース後のインタビューで悔しそうに語ったロレンソは3位、3番グリッドからスタートしたマルク・マルケスはウェットでのセッティングが定まらずに4位という結果に終わった。

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今年の鈴鹿8時間耐久レースに出場して日本中のファンをわかせた、Monster Yamaha Tech3のブラッドリー・スミスは、日本の国旗をあしらったスペシャルヘルメットを被って参戦! 

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フリー走行で好タイムを叩き出し会場を湧かせたが、予選では転倒を喫して9番グリッドからのスタートに。そこから追い上げ7位、ポル・エスパルガロは転倒を喫してリタイアとなった。8耐以来日本人のファンを増やした彼らはどこに行っても人気者。彼らのチームシャツを着て応援するファンの姿が昨年から倍増していたのが印象的だった。スミスは現在ランキング5位、しかしレース後のコメントでは「ランキング5位は無理そう。だってその5位の相手は、今日のレースに勝ったペドロサなんだから、それほどひどくがっかりすることもないよ。」なんて語っていた。うん、素直にかわいい。

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ペドロサの優勝は今季初めて。世界選手権でのキャリア通算50勝ということもあり、その喜び方に、サーキット中が祝福の声援を送っていた。ペドロサが勝つと、ほっこりするのはなぜだろう? ロッシ、ロレンソ、マルケスと並びMotoGPの4強と言われた速さが戻ってきた。腕上がりに泣かされ序盤で手術のために欠場をする決断をしたり、マシンのフィーリングが得られなかったりと、どうしても勝てないシーズンが続いていたからかもしれない。しかし前戦のアラゴンGPではロッシとのバトルに勝つなどと、速くて強いペドロサが帰ってきた! と言っても過言ではないほどの快進撃を見せている。

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結果、ロッシはチャンピオンシップのリードを18ポイントに拡大。ペドロサという思わぬ伏兵と、ウェットからドライに変わるという難しい状況がロッシの味方となったのだ。
残り3戦これから、オーストラリアのフィリップアイランドとマレーシアのセパンというパン・パシフィックラウンドが毎週続き、1週間おいて最終戦のスペインのバレンシアとなる。

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18ポイント差となった結果、ロッシはロレンソの前でチェッカーを受け続けることさえできればチャンピオンが確定する。調子を上げてきたペドロサやマルケスの動向も見逃せない。彼らのポジションがチャンピオンシップに大きな影響を与える。ロッシ、ロレンソのどちらかのリタイアが無い限り、最終戦までこの戦いはもつれ込むだろう。ロッシ36歳、ペドロサ30歳、ロレンソ28歳、マルケス22歳。36歳といえば、立派なおっさんの仲間入り。そんなロッシが現役で優勝争いをしている姿に声援を送らずにはいられない。目の前を駆け抜けるその姿を、その年齢にして尚強いロッシの走りを、走らせるマシンの音を生で感じられる幸せはいつまで続くのだろう。できることなら、40歳を過ぎても戦って居て欲しい。そんなことを考えさせるほど、偉大なライダーなのだな、とつくづく感じさせた日本ラウンドだった。

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その他、ワイルドカードで参戦した日本人ライダーの中須賀克行(Yamaha Factory Racing Team)はヤマハ発動機創立60 周年記念カラーであるイエローに、スピードブロックグラフィック(通称インターカラー)を配したYZR-M1を駆り、ベテランの走りを見せて8位に。

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初めての世界選手権デビューとなった高橋巧(Team HRC with Nissin)は12位、さらにカレル・アブラハムの代役でAB Motoracingから参戦した秋吉耕佑は19位でチェッカーを受けてそれぞれ完走を果たした。
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Repsol Honda Teamダニ・ペドロサ選手談(1位)
「優勝することができて、とてもハッピーです。最後に優勝してからかなり時間が経っているので、本当にうれしかったです。おもしろいレースでした。最初は慎重に走ったので、タイムをかなりロスしましたが、その後はポジションを徐々に上げていくことができ、戦略がうまくいきました。レース中は、特別な気持ちになりました。今シーズンはとても難しいもので、ホームグランプリとなるHondaやチーム、スポンサー、友人、家族のために優勝をささげることができました。とてもうれしいです。日本GPは、ウイークを通して楽ではありませんでした。最後に、アレックス・デ・アンジェリスが早く治ることを願っています」

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Movistar Yamaha MotoGP ヴァレンティーノ・ロッシ選手談(2位)
体力的にはそれほどでもなかったけれど、精神的にはとてもきつかったんだ。このようなコンディションではミスをおかしやすいので、最初から最後まで集中力を切らすわけにはいかなかったからね。序盤はいいペースで走れていたのに、ホルヘのほうがもっと速くてリードを広げられてしまった。それでも何とかついて行って、これ以上は離されないようにすることが集中力を高めるためのモチベーションになっていた。ところが路面が乾き始めると、状況はより一層、厳しくなっていったんだ。タイヤを消耗してストレートでスピンが激しくなり、そうしているうちにダニに追いつかれてしまった。こうなると非常に微妙な状況......。もしも僕がダニに抜かれて、ホルヘが抜かれなかったとしたら、アラゴンに続いてまた9ポイントも失ってしまうことになるんだからね。でもそのあとは3、4ラップ続けていい走りができたので、ダニにしっかりついて行って、ミスをしたホルヘをパスすることができた。結果、さらに4ポイント、リードを拡大し、目標を達成できたのでハッピー。路面は完全なウエットのときのほうが、ずっと良かったんだ。なぜならタイヤがしっかり機能していたからね。徐々に乾き始めたところが難しくて、まるで荒れた海に浮かぶ小舟のように、マシンがあちこちへふらふらと行ってしまうんだ。スロットルを開けたときにフロントが滑っていきそうになることが3、4回あって、そのたびに"no! no! no!"と言わなければならず、ほんと、大変だったよ。まさにストレス全開!」

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Movistar Yamaha MotoGP ホルヘ・ロレンソ選手談(3位)
「ドライ・コンディションなら僕が一番速くて安定していた。そしてレイン・コンディションでも十分に速かったんだ。でも不運にもだんだん路面が乾いてきて、おそらくレース序盤でのプッシュが響いて、バレンティーノやダニよりもタイヤを消耗してしまったのだろう。そして路面がほぼドライになったときには、フロントタイヤがとうとうだめになって、いつもの走りができなくなったんだ。今回はバレンティーノの前でゴールすることが重要だったのに、それがかなわなかった。でもチャンピオンシップはまだ終わったわけじゃない。2013年にはマルケスにもっと大差で離されていたが、わずか4ポイント差でチャンピオンを逃すことになった。18ポイント差は確かに大きいけれど、もしも僕が全勝し、誰かが僕とバレンティーノの間に入ったとしたら、僕がチャンピオンになれるんだからね」

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Repsol Honda Team マルク・マルケス選手談(4位)
「難しいレースとなりました。ウエットコンディションになり、ウォームアップからいいセットアップを見つけるのに苦戦しました。快適に感じることができませんでした。そのため、あまりリスクを負わないように、少しセッティングを変更して決勝に挑みましたが、感触がよくなることはなく、4位がやっとでした。ウエットコンディションでペースが遅かったため、手の調子は悪くありませんでした。ドライだったら、もっと難しかったかもしれません。レースを終えて、多くのインフォメーションを集めることができました。大好きなフィリップアイランドへ向かうのが楽しみです。このサーキットは相性がいいはずです。またアレックス・デ・アンジェリスには、『みんながあなたのことを思っているよ』と伝えたいです」

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YAMAHA FACTORY RACING TEAM 中須賀克行選手談(8位)
「まずは15位以内、そしてそこからどこまで順位を上げられるかがチャレンジでした。8位という結果には満足していないけれど納得はしています。レース中には、ブラッドリーをパスしたり、ポルを追い上げ、僕がいることに気付いたポルがペースを上げるなど、鈴鹿8耐でチームを組んだ3人で戦えたのはとても楽しめました。
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また、タイヤにとっても、マシンにとっても厳しいレースでしたが、このレース結果で、チャンピオンはロッシとロレンソの2人に絞られたので、開発ライダーとしてはとてもうれしいし、いい仕事ができたと思っています。難しいコースコンディションだったけれど、MotoGPライダーと同等に走れたことでライダーとして自信にもつながったし、雨のレースでデータを残すことができたので、有意義なレースウイークになりました」

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Team HRC with Nissin 高橋巧選手談(12位)
「初めてのMotoGPレースを楽しむことも重要だと考えて臨んだレースだったので、楽しむことができました。また、レース中にもGPライダーがマシンを丁寧に走らせるなど、今後に生きるさまざまな"キヅキ"も得ることができていい経験になりました。レース自体はRC213Vのウエットコンディションでの走行経験がほとんどなかったため、ウエットでの状態を確認するのに時間を費やしてしまいました。12位という結果は当初の目標であるポイント獲得の点ではクリアしていますが、自分としてはワイルドカード参戦ライダーのトップでゴールしたかっただけに純粋には喜べません。来週は全日本ロードレースがあるので、レースウイークに今回経験したことをいろいろと試してみて、いいものは取り入れ、結果につなげたいと思います」

■ホンダ 公式サイト
http://www.honda.co.jp
■ヤマハ発動機 公式サイト
http://www.yamaha-motor.co.jp