フォルクスワーゲン、排ガス不正問題により様々な計画を延期へ
フォルクスワーゲン(VW)排ガス不正問題は、もはや幹部の処分や金銭的な補償問題だけでは収まらなくなってきている。新CEOのマティアス・ミューラー氏は、様々な計画の中止という"痛みを伴う"プロセスと向き合うことになりそうだ。

先日、ミューラーCEOは対応に追われる同社の従業員に対し「全ての投資計画を見直し、必要不可欠なもの以外は中止もしくは延期する」と述べた。ポルシェの元CEOである同氏は、さらに、当初予定していた約73億ドル(約8,700億円)の引当金では、リコール費用や関連する各国政府からの罰金、そして今後予想される「TDIエンジン」搭載車のオーナーによる訴訟の嵐に対応しきれないとも話したという。

金融情報メディア『Bloomberg』は、米国からVWに科される罰金は74億ドル(約8,900億円)に上るだろうとのアナリストの見解を報じている。VWはメキシコのプエブラ工場への10億ドル(約1,200億円)の投資も含め、北米市場拡大のための投資を延期すると見られているが、このような延期や中止だけでは乗り切れないと考えるアナリストは複数いるようだ。JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーのホセ・アスメンディ氏は同メディアに対し「現状を変えられるほどの規模で、しかも切り捨てられるようなプロジェクトを探すのは非常に難しいだろう」と語り、「彼らが今、何においても取り組まなければならないのは資金繰りだ」と述べている。

VW内では、すでに経営者側と雇用者側の対立も起こっている。雇用者側は174億ドル(約2兆円)にも及ぶ同社の研究開発費を削減することを要求。これはフォードゼネラルモーターズ(GM)の研究開発費を合わせた以上の額で、世界随一だ。対して、経営者側は人件費をカットしようとしている。前述のアナリストたちによれば、スポンサーシップの縮小や購入費の削減も必要になるとのことだ。

VWが計画の中止や延期、コスト削減で、どれだけ切り詰めなければならないか、今は予測不可能だ。ただ、このスキャンダルの影響が、GMやトヨタが起こしたリコール問題よりも圧倒的に長引くだろうということは確実になりつつある。


By Brandon Turkus
翻訳:日本映像翻訳アカデミー