メルセデス・ベンツ日本は9月28日に、最量販車種「Cクラス」にディーゼル・エンジンを搭載した「C 220 d」のセダンおよびステーションワゴンを発表した。この10月に販売が開始され、価格はセダンの「C 220 d アバンギャルド」が559万円。ステーションワゴンは「C 220 d ステーションワゴン アバンギャルド」の595万円から、「C 220 d ステーションワゴン スポーツ(本革仕様)」の679万円まで。

Related Gallery:Mercedes-Benz C 220 d

日本仕様はいち早く9速ATを採用

1980年代の「190D」や、90年代には初代Cクラスの「C 250 D」など、古くからメルセデス・ベンツはコンパクト・クラスのディーゼル・エンジン搭載モデルを日本でも販売してきた歴史があるのだが、我が国の排出ガス規制が厳しくなったことによって、それらの輸入は一時途絶えていた。しかし、2010年にはポスト新長期規制に適合した「BlueTEC」と呼ばれるクリーン・ディーゼルの積極的な導入を開始、今回発表された新型Cクラスを含め、現在では国内最多となる全10車種のディーゼル・エンジン搭載車を揃えている。



2015年3月に「Eクラス」や「CLS」で2.2リッター直列4気筒ディーゼルが日本市場に導入されて以来、当然ながらCクラスにもこのエンジンを搭載したモデルの発売を望む声は多く寄せられていたという。2014年に発売されたW205型Cクラスは「2014-2015 インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、日本でも人気・評価ともに高いモデルだ。そのディーゼルの導入が1年遅れた理由は、新開発の9速ATが組み合わされるのを待っていたからだとメルセデス・ベンツ日本は説明する。

現在販売されているトルクコンバーター式オートマチック・トランスミッションの中で最も段数が多いこの新型ATは、1つのギアが受け持つ速度域が狭くなるため、エンジンの回転数を抑え、より高い静粛性と燃費性能を実現することが可能になる。なお、9速ATを搭載したCクラスは、この日本仕様のC 220 dが世界初。今後は欧州などでもこの仕様に置き換えられていくそうだが、日本で真っ先に売られることになったそうだ。そんなエピソードからも、メルセデス・ベンツ日本がこのモデルにどれだけ力を入れているか、お分かりになるだろう。






尿素SCRシステムで窒素酸化物を大幅削減

決め細かな燃料噴射が可能なピエゾインジェクターを用いたコモンレール・システムや、高圧用と低圧用という大小2基のターボチャージャーを採用するこの直列4気筒直噴ディーゼル・エンジンは、2,142ccの排気量から最高出力170ps/3,000〜4,200rpmと最大トルク40.8kgm/1,400〜2,800rpmを発生。JC08モード燃費は19.6km/Lと発表されている。最近話題の排出ガスに関しては、「AdBlue(アドブルー)」と呼ばれる尿素水溶液を噴射し、化学反応を発生させて有害な窒素酸化物(NOx)を大幅に削減する、尿素SCR(選択型触媒還元)ディーゼル排出ガス処理システムを採用。そして酸化触媒コンバーターには、排出ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を除去する「DPF(ディーゼル・パーティキュレート・フィルター)」を装備する。これらによってディーゼル・エンジンの排出ガスに含まれる二大悪、光化学スモッグや酸性雨を引き起こす窒素酸化物と、呼吸器から健康に害を及ぼす粒子状物質を、削減するという仕組みである。



いわゆる"後処理"によって排出ガスを浄化するこの尿素SCRシステムでは、1,000km走行するごとに1リッターの尿素水溶液(AdBlue)を消費するという。普段はメインテナンスフリーだが、容量24.5リッターのタンクが空になる前に補充する必要がある。これは新車購入から3年間走行距離無制限の一般保証・メインテナンス・サービスが無償提供される「メルセデス・ケア」の保証対象に含まれるので、最初の3年間は無料で補給できる。あとは年間走行距離が1万km程度の人なら、車検の度に補充すればよいわけだが、ディーゼルのメルセデスを所有しようという人なら、もっと走行距離は多くなるかもしれない。

市街地ではガソリン車も依然として魅力的

そしてそのような長距離を一気に走ることが多い人こそ、ディーゼルのCクラスを選ぶ意義があると思われる。当然ながら待望のディーゼルとて、全ての面でガソリン・エンジンに勝るわけではない。今回の発表会では、会場となった東京・六本木の「メルセデス・ベンツ コネコション」周辺で、20分程度の短い試乗が行われたのだが、例えば交通量が多い市街地で、前方を走行していたクルマが左折して前が空いたとき、車間距離を詰めようとアクセルを踏み足した場合などのレスポンスは、ガソリン・ターボを搭載する「C 200」の方が明らかに優れていると感じた。これは9速ATが燃費を重視して高いギアを選びたがるためもあるだろう。走行中にアクセルを踏み込んでから加速力を発揮するまで、「C 220 d」は割と鷹揚だ。車両重量もC 200より110kgほど重い。



エンジン音に関しては、車外で聞くとディーゼルであることが分かる音質と音量ではあるものの、車内に乗り込めばまったく気にならない程度に遮音される(窓を開けていてもほとんど入り込んで来ない)。運転中にアクセルを踏み込んだときの排気音は4気筒らしいものではあるが、ディーゼルならでは振動や音が不快感に思うことは特になかった。信号待ちの際にはアイドリング・ストップが作動するので、ガソリン・エンジン車と静けさはまったく変わらない。

Eクラスに比べると、よりコンパクトなCクラスは街乗り中心に使われる方も多いだろう。セダン、ステーションワゴンとも、「C 200 アバンギャルド」と「C 220 d アバンギャルド」の価格差は25万円。是非、ご自分の使い方を想定しながら乗り比べた上で、お選びいただきたいと思う。