映画『ワイルド・スピード』で有名な俳優、ポール・ウォーカーとレーシングドライバーのロジャー・ロダスの死亡事故について、警察はスピード超過によるものだとしている。しかしその一方で、ウォーカーの16歳の娘メドウ・ウォーカーはポルシェに非があるとして、同社を相手取り、不法死亡訴訟を起こした。

『E! Online』が入手した法的書類によると、この訴訟は、「(2人が乗っていたカレラGTは)安全装置が欠如していた。もし装備されていれば、事故は防止されたし、あるいは少なくとも事故から生還できたはず」として、ポルシェを訴えたもので、特にポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム(PSM)が装備されていなかったことを非難しているという。連邦自動車安全基準が米国で販売される新車に電子制御スタビリティ・コントロール、いわゆる横滑り防止装置の装備を義務づけるようになったのは2012年以降のことだ。

訴訟はカレラGTが電子制御安全システムを備えていなかったことや「以前から安定性とコントロールに問題があった」ことに留まらず、シートベルトに欠陥があったことも訴えているようだ。それによると、事故の衝撃で「シートベルトがウォーカーの胴体を物凄い力で押し戻したことにより、肋骨と骨盤を骨折させた」ことが原因でクルマが炎上するまでに車外に逃げることができなかったという。『TMZ』によれば、衝突から炎上までにはおよそ1分20秒の猶予があったという。ウォーカーの気管からはススが検出されており、クルマが燃えた時にはまだ生きていて呼吸をしていた証拠だと、訴訟の書類には書かれている。

2014年にロジャーの妻がポルシェに対して起こした訴訟と同様に、このケースでも事故を起こしたカレラGTは、警察が言うように80~93mph(約129~150km/h)では走行していなかったと主張されている。しかしロダス夫人が衝突時には55mph(約89km/h)であったと主張したのに対し、今回は63~71mph(約101~114km/h)としている。こちらの方がまだ現実的な数字ではある上、この速度であったらクルマの行く末が大きく左右された可能性があるかもしれないが、その道路で定められている45mph(約72km/h)の速度制限を大幅にオーバーしていたことに違いはない。

メドウの弁護士はTMZに対し、「肝心なのは、ポルシェのカレラGTは危険なクルマだということです。公道走行に適していません。私たちはポール・ウォーカーと彼の友人ロジャー・ロダスを失うべきではなかったのです」と述べている。

北米ポルシェの広報担当であるカルヴァン・キム氏は、Autoblog 米国版の取材に対し、「以前から申し上げているとおり、我々はいつだってポルシェのクルマで誰かが傷つけば大変悲しみを感じます。しかし今回の悲劇的な事故は、無謀運転と速度超過によって引き起こされたものであることが明らかに認められるという警察の発表を信じます」とEメールで返答した。

この訴訟に、損害賠償金は含まれていない。


By Brandon Turkus
翻訳:日本映像翻訳アカデミー