【レポート】BMWがマクラーレンと共同でスーパーカーを製作?
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先日、BMWマクラーレンとパートナシップを組んで新たなスーパーカーの製作を検討しているという噂を英自動車雑誌『Car Magazine』が伝えたことで、歴史を知る多くのファンが色めき立った。実現した折にはクーペとコンバーチブルの両バージョンが生産される予定で、2017年のフランクフルト・モーターショーで初披露され、2019年に発売予定とのことだったが、BMWのM部門を率いるフランク・ヴァン・ミール氏が、オーストラリアの自動車メディア『motoring.com.au』によるインタビューの中で、残念ながらその噂を否定した。

まず噂を振り返ると、BMWのスーパーカーがベースとするアーキテクチャは、マクラーレンが現行の「650S」の後継モデルとして開発を進めている「P16」というコードネームの新型車と同じカーボンモノコックになると伝えられていた。エンジンは、マクラーレンがリカルド社と共同開発した3.8リッターツインターボV8ではなく、当然ながらBMWが自社開発し、従来の2基のターボに加え2基の電気式ターボを装備する4.0リッターV8クワッドターボを採用。その結果、最高出力750hpが期待できるとのことだった。

もしこの計画が実現していたとすれば、これまでに途中で流れてしまったBMWのいくつものプロジェクトを引き継ぐ形になったはずだ。そのうちの1つが、「M100」と呼ばれたBMW単独でのスーパーカー開発だ。BMWは当時、同社のサブブランド「BMW i」に注力するためにM100開発プロジェクトを取りやめ、よりパフォーマンスにフォーカスした「i8」、つまり「i8 CSi」として知られるモデルの開発へとシフトしていった。しかし、その開発も白紙となり、マクラーレンとの共同開発の噂が持ち上がったのだ。

BMWが自社のスーパーカーをアウトソースすることはこれまでに全くなかった訳でもなく、そのようなプロジェクトでマクラーレンとコラボレーションしたこともある。1970年代にはレース参戦を目指したスーパーカー「M1」の開発初期段階でランボルギーニに開発を委託したこともあるし、伝説的な「マクラーレン F1」にBMWがエンジンを供給していたこともご存じの通りだ。一方で、マクラーレンもメルセデス・ベンツに対して今回の噂と同様の役割を果たしたことがある。メルセデスのフラッグシップ・スーパーカーとなる「SLRマクラーレン」の製作時にも、自社工場でその腕を振るった。

『Car Magazine』は、BMWのR&D部門を取り仕切るクラウス・フローリッヒ氏が、初めてマクラーレンと連絡を取り合ったのは9カ月前のことだったと伝えたが、同社M部門トップのフランク・ヴァン・ミール氏は、そのようなことは無かったと、『motoring.com.au』に対して語っている。ミール氏によれば、「私だけでなく、ハラルド・クルーガー(CEO)やクラウス・フローリッヒも、直接マクラーレンから電話で連絡をもらってはいない」という。

『Car Magazine』の記事では、近年BMWが従来のガゾリン・エンジンを搭載するスーパーカーを扱っていないのは、「i8」をはじめBMW iブランドが力を入れているエコにおける実績に、悪いイメージを与えるものは避けたいというノルベルト・ライトホーファー前CEOの意向があったためで、CEOに加え、M部門とR&D部門のトップなど、重役の顔ぶれが一度に変わったことにより体制も変わったと伝えられていた。しかし実のところ、同社は最高出力750hpを発揮するクワッドターボのクーペに関心を持っていなかったようだ。

さらにミール氏は、BMWはこれまでに自社のカーボンファイバー技術開発に巨額の資金を投入しており、「スーパーカーを作るためマクラーレンと協力をしなければならない理由がわからない。記事にかかれていた技術は全て、BMWとM部門が誇る、競合他社に真似できない核となる能力だ。カーボンファイバーに関して私達よりも進んでいる企業は世界にない」と語っている。こういった類の噂は、「全く知らない」「今後の製品についてはコメントを控えたい」などという、そっけない言い訳が付き物だが、これだけピンポイントに記事の内容を細かく否定されれば、BMWを信じるほかないだろう。残念ながら当分、第2のマクラーレン F1の夢はおあずけだ。


By Noah Joseph
翻訳:日本映像翻訳アカデミー