【フランクフルトモーターショー2015】ポルシェ、初の電気自動車「ミッション E」を発表
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ポルシェは14日、フランクフルト・モーターショー開幕前夜に催された「フォルクスワーゲン・グループ・ナイト」において、電気自動車のコンセプトカー「ミッション E」を初公開した。

15分間の充電で400kmを走行可能

ポルシェ初の(エンジンを搭載しない)完全な電気自動車(EV)となったミッション Eは、今年のル・マン24時間レース優勝した919ハイブリッド」とほぼ同じ永久磁石同期モーターを前後に1基ずつ搭載し、その合計出力は600馬力以上。2基のモーターによる4輪駆動だけでなく4輪操舵も採用されており、4人乗り4ドアの車体を、ポルシェのDNAを受け継ぐスポーツカーらしく走らせることが出来るという。ニュルブルクリンク北コースのラップタイムは8分を切るそうだ。



リチウムイオン・バッテリーは、スポーツカーとしての適切な前後重量バランスと、なるべく低重心になるように、前後車軸間のフロア下に搭載される。その最大の特徴は、現在主流のEVと比べると電圧が2倍の800ボルト・システムを採用することだ。これにより短時間で複数回の全開加速が可能になり、0-100km/hを3.5秒以下、200km/hまで12秒未満で加速するだけでなく、1回のフル充電による航続距離は500kmを超えるという。しかもその容量の80%まで、わずか15分で急速充電が可能。これで400kmの距離を十分に走れるそうだ。もっともこれは800ボルトの「ポルシェ・ターボ・チャージング」と名付けられた急速充電システムを使用した場合。一般的な400ボルトの充電器も使用できる。プラグをつなぐポートは運転席用ドアの前に設けられているが、オーナーのガレージでは床に埋め込んだコイルによる無接点充電方式の採用が想定されている。



ピラーレスの観音開きドア

当然、軽量化に腐心したであろうボディの素材には、アルミニウムと鋼鉄、カーボンファイバー強化ポリマーが使い分けられている。前21インチ、後22インチのホイールはカーボンファイバー製だ。独立式4座のシートを装備する4ドア・サルーンにも拘わらず、全高は130cmと低い。前後と両側に装着された控え目なスポイラーと各部に開けられたダクトから、アンダーボディを利用したエアロダイナミクスが想像できるだろう。サイドのエア・アウトレットは、ホイールハウス内の空気を抜いて揚力を抑制するためのもの。リア・エンドに付くポルシェのロゴは光るようだ。

左右に4灯ずつ装備されたマトリクスLEDヘッドライトは、919ハイブリッドを想わせる。その中央には、ドライバー・アシスト・システムのセンサーが組み込まれているそうだ。前後のドアは乗り降りしやすいピラーレスの観音開き(下の動画を参照)。両サイドまで伸びた巨大なフロント・フードの下には荷室が備わる。斜め後方から見ると、サイド・ウィンドウからCピラー、ふくよかに張り出したリア・フェンダー辺りに、911の面影が感じられる。ドア・ミラーはなく、代わりにカメラが装備されており、フロント・ウインド・スクリーンの下端に後方の映像が映し出される。



視線認識技術を採用したディスプレイ

ポルシェの伝統に従い、ドライバー中心の視認性と操作性を重視したコクピットには、有機LEDを使用した3Dディスプレイが装備されている。これはカメラによる視線認識技術が採用されており、ドライバーは目の動きと、ステアリング・ホイールに備わるボタンで、表示切り替えなどの操作が可能だ。さらにドライバーのシート位置、ポジションに合わせて自動的に画面が調整されるという。ステアリング・ホイールの陰になって大事な情報が見えない、ということにはならないそうだ。ダッシュボードには助手席前方に向けてホログラフィ表示を採用したディスプレイが備わり、ジェスチャー・コントロールでナビゲーション・システムや空調の操作が行えるという。より細かな設定には、センター・コンソールに搭載されたタッチ・スクリーンを使う。

まさに、ポルシェが電気自動車を作ったらこうなる、ということ大いなる自信を持って提示したコンセプトカーと言えるだろう。おぼろげながら、水平対向エンジンさえ捨てた911の未来がその向こうに想像できるかもしれない。



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By Hirokazu Kusakabe