ブガッティは14日、フランクフルト・モーターショー開幕前夜に開催された「フォルクスワーゲン・グループ・ナイト」において、人気レース・ゲーム『グランツーリスモ6』のためにデザインされた「ブガッティ ビジョン グランツーリスモ」を公開した。

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世界中の自動車メーカーが、プレイステーション用ゲームのためにクルマをデザインする「ビジョン グランツーリスモ」では、これまでご紹介した通り、各メーカーのデザイン・チームが現実を超える域まで想像力を拡げて作り上げた数多くのレースカーが発表されている。ブガッティはこれをテレビ画面の中だけでなく、現実に目で見ることが出来る実物大スケールモデルとして製作し、フランクフルト・モーターショーの会場で公開中だ。



写真をご覧になればお分かりのように、このベースとなっているモデルは、2005年に製造が始まり、先ごろ予定されていた450台目をもってシリーズの生産を終了した超弩級スーパーカー「ヴェイロン」であることはほぼ間違いないだろう。史上最強のロードカーとして登場し、一度もサーキットで活躍することなく生涯を終えたヴェイロンだが、もしレース仕様車が開発されていたらこんなクルマになっていた、と思わせられる。同時に、片側4灯のLEDヘッドライトや、立体的に強調された馬蹄形グリルなど、明らかにヴェイロンとは異なるデザイン要素も見受けられる。実はこのプロジェクトには、「近い将来に発表されるブガッティの次期型スーパー・スポーツカー」に採用されるブランドの新しいデザイン言語を提示するという役目もあるそうだ。





デザイン・チームが重視した点は主に2つ。まず、ブガッティの哲学として「芸術、形状、技術」の統合を体現したものにすること。それから、全てのコンポーネントは現実に性能を発揮するための機能的な意味があること。そのため、デザイナーたちは、エアロダイナミクスに精通したエンジニアや、フォルクスワーゲン・グループのレース専門家たちと協力しながら開発を進めたという。

ブガッティのシャシー開発部門トップを務めるフロリアン・ウンバッハ氏は「とても楽しかった。ロードカーのように快適性や乗りやすさに重点を置かず、性能を最大限に追求できたからね」と語る。「日常的な街乗りで求められる要素や法規などの制限に縛られず、ただFIAの安全基準を満たせばよかった。非常に興奮するプロジェクトだった」という。

ドライブトレインは基本的にヴェイロンと同じW型16気筒を搭載し、4輪を駆動する。ル・マン24時間レースのコースを走れば、計算上は4箇所で400km/hを超えるという。あくまでもこちらはヴァーチャルな世界の話ではあるが、現実のLMP1マシンと同等の速さになるそうだ。

ブガッティのデザイン・チームを率いるアキム・アンシャイトによれば「ヴェイロンは"美女と野獣"の両面を兼ね備えたスーパー・スポーツカー。だが、ブガッティ ビジョン グランツーリスモは並外れた性能の"野獣"だ」そうだ。



馬蹄形グリルの下辺はフロントに装着されたスプリッタを支え、ミドシップ・マウントされたエンジンの上部に開けられたNACAダクトが、リア・ウイングに導かれる空気の流れを邪魔することなく、W16エンジンに冷却風を送り込む。ルーフから後方に伸びる特徴的なフィンは、1936年の名車「タイプ57 アトランティック」から引用したものだという。丸型テールランプを捨てた後ろ姿はまったくヴェイロンとは別物。巨大なエンジンの放熱のために広く開口部が設けられ、その中央には4本のエキゾースト・パイプが覗く。

インテリアはエクステリアと同様に2トーンの青いレザーが張られ、ステアリング・ホイール中央のディスプレイがドライバーに必要な情報を表示する。ダッシュボード上に組み込まれたもう1つのモニタには、車外に取り付けられたカメラの映像が映し出されるという。細いセンター・コンソールは外観のフィンのモチーフを再現したもの。外装ではクリアが上塗りされたブルー・カーボンは、内装では運転の邪魔になる反射を防ぐため、マット仕上げが施されている。ステアリングやヘッドレストに張られたスウェードは、F1用レーシング・シューズに使われている特別な素材で、軽量で耐久性に優れているという。



「ヴェイロン・シリーズはこれまで450台が製造され、今はその全てが自動車に対する優れた鑑識を持つオーナーの手元に渡った。しかし、それ以外にもブガッティを愛し、支えてくださったファンは世界中に大勢いる。ブガッティ ビジョン グランツーリスモは、そんな人々の情熱と愛情に対する感謝の印なのです」と、ブガッティ・オートモーティブのヴォルフガング・デュルハイマー社長は述べている。プレイステーション3と『グランツーリスモ6』さえあれば、もうすぐ誰でもこのブガッティがドライブできるようになるはずだ。拘る人はハンコンに青いスウェードを巻いて、アップデータがダウンロード可能になる日を待とう。



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By Hirokazu Kusakabe