SUZUKI RM-Z250 RM-Z450
スズキのモトクロス競技車『RM-Z250』が、2016年モデルでフルモデルチェンジした。フレームもエンジンも完全新設計となりトピックスは満載だが、まずは「ホールショット・アシスト・コントロール」(S-HAC)の新採用に注目したい。

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横一線にならぶモトクロスレースのスタート。そこで前に出られるかどうかは、レースの行方を大きく左右する。そこで近年のモトクロッサーでは、スタートダッシュをアシストする電子制御デバイスを搭載しはじめた。スズキでは昨年、2015年モデルの『RM-Z450』で初搭載している。

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その「S-HAC」を、250でもついに搭載。450同様2つのモードが選べるのが特徴で、硬い路面や滑りやすい状況下でのスタート時には「Aモード」を、路面状態が良好な場合は「Bモード」を選択すればいい。もちろん、まったく電子制御を介入させない「OFF」を選ぶこともできる。

SUZUKI RM-Z250
ニューRM-Z250では、さらに進化し、スタート直後の状況を3つ(①動き出す瞬間 ②スタートゲートを越えるとき ③その後の加速)に分解し、各々の段階において必要なエンジン特性に対して点火タイミングを最適化。有効なトラクションを生み出すことに成功した。

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操作は簡単だ。ハンドルバー左側にある「S-HAC モードセレクトスイッチ」を、「Aモード」の選択では0.7秒以上押し、インジケーターがゆっくり点滅するのを確認したらスイッチボタンを離す。「Bモード」はさらにスイッチを1.8秒以上押すと切り替わり、インジケーターの点滅が早くなる。

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雨の超マディで各モードをテストしたが、たしかに「Aモード」だとスタートの失敗は少なかった。ただし、写真を見てもわかるように、コースは泥沼状態。このコンディションでは、確かな違いは感じられなかった。なお、S-HACはスタートから6秒、あるいはギヤを4速に入れたとき、スロットルを閉じた瞬間に解除される。

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そして、フロントフォークはKYB製の「PSF2」(ニューマチック・スプリング・フォーク2)、つまりエアフォークを新たに導入した。金属製のメインスプリングをなくしたことで、およそ1000gの軽量化を実現しただけでなく、それに伴いシリンダーの大径化も実現。従来ならレイアウト上の限界があったが、メインスプリングをなくすことでシリンダー径を24-32mmに拡大し、減衰力の応答性と安定性を向上している。

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もちろん作動性も上がった。従来の金属バネはフリクションが大きく、ストローク後半で比較すれば、約20%ものフリクションを低減。動きそのものも良くなった。

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しかし、一番のメリットはセッティングがより簡単にできるという点にある。これまでなら、メインスプリングを交換するにはフロントフォークを分解しなければならなかったが、エアフォークなら1ヶ所のバルブでエア圧を調整するだけでいい。作業環境が整っていないコースサイドで、いくらでも調整できるのだ。

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乗って感じるのは、フロントまわりがとても軽く、ハンドリングがより軽快になったこと。このヒラヒラ感は走破性を上げるだけでなく、ライダーの疲れを軽減してくれる。

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フロントフォークの進化はめざましく、伸側減衰力は低速域と高速域それぞれを分けて調整できるようになったほか、ダストシールとオイルシールの間に「スクレーパ」を入れ三重構造とすることで、ダストの侵入を防ぎ、オイルシールの寿命を大幅にのばすことにも成功している。

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フロントフォークのオイル漏れは、モトクロッサーユーザーにとっては悩みのひとつだったことは確か。これを解消するとなれば、じつにありがたい。

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KYBモーターサイクルサスペンションの技術部・新藤和人氏によれば、リアショックも一新され「インテグラルアジャスタシステム」を搭載し、圧側・伸側いずれの減衰力も低速/高速それぞれの調整が可能になったとのこと。従来比10%重量減の新型ブレーキキャリパーやダンロップ「GEOMAX MX52」タイヤ装着など、隙のない足まわりとなっている。

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そして、エンジンは80ヶ所にも及ぶ改良をおこなった。二輪エンジン設計部の田中眞司氏によると、「耐久性向上とともにパワーバンドの拡大を実現した」という。

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ショートピーニング施工により表面を改質したピストンや、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングを施したピストンピンをはじめ、カムシャフトとインテークバルブ、デコンプシステムやキックドライブ、カムチェーンテンショナー/アジャスターを新設計。クランクケースも新しくなり、クランク慣性の軽減やマグネト慣性の増加を実現している。

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コースでもピックアップが鋭く、低中回転域でのトルク感がアップしている。ワダチだらけのコーナーでもハンドルをとられることなく突き進むことができるのは、エンジンがパワフルだから。ワダチを踏みつぶして、グイグイ進めるのだ。なお、燃料セッティングの容易な切り替えが可能なショートカプラー2個(リッチカプラー、リーンカプラー)の付属は従来モデルと変わらない。

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さらにメインフレームも大幅な進化を遂げている。二輪車体電装設計部の面迫貴浩氏は「従来比2.5%の軽量化を達成した」と教えてくれた。一新したのはステアリングヘッドパイプのほかピボットパーツ内部のリブ配置、フレーム下部の接続部分。フレーム剛性も最適化され、コーナリング性能を高めた。

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SUZUKI RM-Z450
2016年型の『RM-Z450』にも乗った。スズキRM-Zシリーズの最上級モデルってことは、ロードスポーツでたとえるなら『GSX-R1000』に相当するが、R1000は公道モデルだからある意味それよりもスゴイかもしれない。なんたってRM-Zは競技専用、つまり勝つためだけに開発された生粋のレーシングマシンである。

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450と250、外観上ほとんど見分けがつかないほどソックリだが、跨れば重量感からして違う。250が106kg、450が112kgと僅かな違いでしかないのだが、ハンドルに伝わる重さや車体を寝かし込んだときの動きは明らかに異なり、ワンサイズ上だと感じる。

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エンジンはさすがに強烈で、アクセルをひと開けするだけでズバッと加速し、250ではハンドルを取られるようなワダチも気にせず踏みつぶして走れる。もちろんスロットルレスポンスも鋭いが、過激すぎて開けられないというわけではなく、450モトクロッサーにしてはアクセルを開けて楽しめる。もちろん、これを乗りこなすのは自分には到底難しく、全開まで使い切れるのは限られたトップライダーだけなのは言うまでもない。

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それでも450にしては車体がコンパクトでハンドリングも軽いから、雨が降り続けるマディの難コースも転倒やスタックをせず淡々と走り続けられた。250もそうだが、機会があればまた乾いたコースで乗ってみたい。

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RM-Z250 745,200円(消費税抜き 690,000円)
RM-Z450 896,400円(消費税抜き 830,000円)
※2015年9月発売

■スズキ 公式サイト
http://www1.suzuki.co.jp/motor/