ダイハツの「コペンファクトリー」を見学しよう!
ダイハツは、軽オープンカー「コペン」を生産している工場「コペンファクトリー」の工場見学について、9月から一般公開を開始した。

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大阪府池田市のダイハツ本社工場にある「コペンファクトリー」は、見学者に見せることを前提に設計された素敵な生産ラインなのだが、その公開はこれまで新型コペンのオーナーに限られていた。しかし、当然ながら、まだ購入していないがいつか手に入れたいと考えている人や、事情によってオーナーにはなれないけれどコペンが大好きという人からも見学の希望は多く寄せられていたため、ダイハツでは「コペンファクトリー公開一周年を記念して」一般の方にも公開することを決定したという。

新型コペンは、「D-Frame」と呼ばれる独自の新骨格構造に、着脱可能な樹脂製外板を組み合わせた、ダイハツに寄れば「新しい価値を実現」するクルマとして開発された。これに合わせて、生産現場の方も変えることで、「新たな価値を提供」したいとダイハツは考えた。その一環である見学可能なコペンファクトリーは、生産に従事する人の顔が見えることから、ユーザーに「安心感をお届けし、信頼感を得るため」の施設であり、車両の開発当初から計画に盛り込まれていたという。







まるでショールームやテーマパークのアトラクションのような、明るく楽しい雰囲気のコペンファクトリーでは、新型コペンの組み立てラインの最終工程を見ることができる。他のラインで製作されたシャシーが運び込まれ、これに色とりどりのボディ・パネルや「アクティブトップ」と呼ばれる電動開閉式ルーフ、タイヤとホイール、内装が組み付けられ、見慣れた姿のコペンに仕上がっていく。

ここでは骨格となるシャシーの状態でも美しく仕上げられていることがよく分かるが、購入後にボディを"着せ替え"することが可能なコペンでは、骨格も「外装と同じ扱い」として製造過程に細心の注意が払われているそうだ。ダイハツ初採用のバッチ式電着ラインによる、防錆性能の高い艶のある黒い塗装が施されているだけでなく、溶接時にはできるだけ火花を出さず、パーツやコンポーネントを組み付けるために技能員(コペン製造の作業に従事する人はこう呼ばれる)が乗り込むときにも、まるで完成車の整備工場のように、フロアにマットを敷き、各部にプロテクタが掛けられ、「絶対にキズ、汚れを付けない」ための工夫が採られている。しかも、これは技能員からの発案によるものだそうだ。



完成した新車はこの後、一般には非公開の検査過程に回されるのだが、これはオーナーがもしご覧になったらちょっと心が痛むかも知れない。悪路を想定した検査機の上でガタガタと揺すられ、開閉式ルーフの防水性を確認するため大量の水を様々な角度から掛けられるからだ。さらに明るい照明の下で、外装、室内、エンジンルームまで、徹底的に調べられる。ここで働く検査員たちは、専門技能検定上位者の中で、自主的に志願した意欲のある社員から選定されたという。




通常公開されているコペンファクトリーに加え、我々報道陣には特別にそれ以外の工程も公開されたのでご紹介しておきたい。

先代コペンは、「エキスパートセンター」と呼ばれる専用ラインで、熟練の技能者による「匠の技」によって作られていたが、実は新型コペンではこの点が大いに異なる。車体の製造はロボットによる自動化率が、先代の10%から90%にまで向上し、精度確保と傾向管理のためにダイハツで初めて3次元計測カメラが導入された。組み立てラインでも、21.5秒というロングタクトに対応した作業指示モニターを設置し、デジタルトルクレンチで締め付け量を確認しながら作業を行う。つまり、ベテランの技能に頼ったクルマ作りから、ハイテクによる徹底管理された工程により作業者の誰もが品質を確保できる作り方に変わっているのだ。伝統的なスーパーカーのように製造されていた先代にロマンを感じる気持ちも分かるが、これにより新型では高品質な製造が低コストで可能になったという。



ただし、現在でも熟練の技が求められる工程がある。それは「ロウ付け」と呼ばれる金属を結合する作業とその仕上げだ。異なる部位を結合して、その継ぎ目を分からなくなるまできれいに仕上げるためには、やはり技能を身に付けた人間が手作業で行う必要がある。ダイハツではテストピースによる繰り返し練習から始め、実ワークにおけるテスト、評価、検査、そして実車を使った作業と評価、それに対する判定で合格した人のみに「ロウ付け作業認定書」が発行される。そしてもう一つ、習熟した人の手と目で行わなければならない作業が、前述の検査工程だ。

一般に公開されているラインの裏には、シャシーにパワートレインや足回りを組み付けるラインがある。普段はここも非公開で、我々が見学に訪れた際にも写真撮影さえ禁止されていた。ここでは前述のキズや汚れを防ぐマットやプロテクタが活用され、1台ずつ大切に組み立てられていた。壁にはオーナーから寄せられたメッセージ・カードや写真が貼られ、技能員の励みになっているそうだ。ブレーキ液やラジエター液、ウィンドウ・ウォッシャー液などは一括して入れられるのだが、そこでは全て透明のホースが使われている。これも、「見せる骨格」に「一滴もこぼさないため」の工夫だ。



こうして大事に製作されたシャシーは、見学者の前で様々な色のボディ・パネルや内装が組み付けられ、初めて1台ずつ違った個性が与えられる。コペンはご存じのように、「ローブ」「エクスプレイ」「セロ」という3タイプのバリエーションが存在し、それぞれ8色のボディ・カラーと2種類のインテリアが用意されている。さらにグレードによってシートやステアリング・ホイールなどが異なる。ラインを見ていると、これまでほとんど同じように見えたコペンが、オーナーやディーラーの注文に合わせて、それぞれの異なる仕様に"産み分け"されていくのが面白い。特に同じモデル、同じカラーをまとめてラインに流すわけではないようだ。

この時、運が良ければ自分がオーダーしたコペンが完成するまさにその瞬間を見ることもできるわけだ。コペンの開発でチーフエンジニアを務めた藤下修氏によると、本当は注文した車両がラインを流れるそのタイミングで、オーナーを招き見学してもらえるようにしたいそうだが、現状ではなかなか難しいらしい。



コペンファクトリーに来れば、コペンというクルマがどれだけダイハツに大切に思われ、工場の人々にどれだけ大事に製造されているか、よく分かる。オーナーなら一層愛着が湧くことは間違いない。コペン・オーナーはもとより、このコンパクトでキュートなオープンカーに興味がある方は、ぜひ大阪観光のついでにでも、見学されてみてはいかがだろうか? お申し込みは以下のURLから公式サイトの専用ページでご確認いただきたい。


ダイハツ 公式サイト:Copen Factoryの見学
https://copen.jp/fanservice/factory


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By Hirokazu Kusakabe