SUZUKI Lapin
日本のオッサンは、カワイイに弱い。
のっけからの暴言、失礼しました。しかし、オッサンというのがアレならば、こう言い換えてもいいと思う。日本の社会全体が"カワイイ"には異様にユルい。
いや、なにもサブカル系をDisろうとかそういうことを言いたいんではない。きゃりーは私も大好きだ。
しかし、である。こんなにもよく仕上がったスズキ・ラパンを目の前にしちゃ、ボヤかずにはおれない。日本のクルマ界もやっぱり、カワイイ=ラブリーには異様に弱いのだ。

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そのキャッチコピーたるや、『女性の「好き」をカタチにした、新型アルトラパン誕生』である。
ラパンは2002年に誕生したスズキの軽自動車で、このたび3代目に進化して発売となったモデル。派生車種だけあって、歴代さまざまな工夫と演出がなされてきた。そして、間違いなく今回の3代目は史上最強。だってカワイイ系がまったくキャラに似合わない私だって、だいぶグラっとしてしまったほどに高い質感を誇るのだから!

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まず内装には目を見張った。
繰り返すようだがラパンは軽自動車だ。あるまじき質感がそこには具現化され、鎮座ましましていてひっくり返る。
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だって、ホワイト系に統一されたインテリアの中でひときわ目立つインパネには、白木目調のテーブルがはめ込まれているのだ。こりゃちょっとしたカフェですよ。断然ルミネ(ショッピングビル)っぽいことこの上ない。
テーブルの上部にはエアコンのルーバーを持つインパネがはめ込まれているのだが、ホーローのように質感にぽってりと丸みを持たせた温かみのある仕上げになっていて、ルーバー自体にもちょっと凝った「まるしかくい」デザインがなされている。実はこのルーバーは兄貴分であるアルトとも共用されている部品なのだが、レイアウトとカラーでちゃんと女子っぽいイメージになっていた。

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ナビ画面自体も白いフレームで縁どられていて、さながらアートのようでもある。そう、ショールームで乗り込んだ瞬間にイマドキの若いおじょうさんのハートを打ち抜くアレコレがぎっしり詰め込まれているのだ。

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素晴らしいのは、見た目だけではない。
このテーブルがまさにコロンブスの卵的に、車内で異様に便利なんである。
コンビニでコーヒーとドーナツを買ってきて、走り出す前にちょっと休憩なんてときにテーブルにポン。撮影で使ったカメラを一時的にテーブルにポン。もちろん走り出したら滑り落ちてしまうけど、この走り出すまでの"一時置き"的な用途が意外に車内では頻発することに、テーブルを使ってから気付いた。
これなら、ちょっとドライブした先で景色のいい場所にクルマを停め、わざわざ絶景カフェなんて探さなくても車内でコーヒータイム!なんていうステキすぎる時間を持つ妄想がムクムクと膨らんでしまう。
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正直、もうこれだけで充分ええやん!となるのだが、実はラパンの実力は、走行にこそ発揮されるのを書いておかねばならない。

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ラパンは昨年末に発表された「アルト」のプラットフォームを使用している。徹底した軽量化技術で高い走行性能が評価されているアルトがベースなのだから信頼性が高いのは言うまでもないのだけど、その仕上がりは予想以上だった。
とにかく長距離走っても疲れない、そのことに驚いた。

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今回の試乗では高速道路を含む往復約200㎞を走行したのだが、特に高速道路での直進安定性の高さには感激すら覚えたほどだ。
このプラットフォームの特徴の一つである剛性の高さに加え、プラットフォームとともに一新されたサスペンションがなめらかな走行を叶えている。ボディがしっかりしているから、先代よりもストロークを伸ばしたサスペンションの動きがよりフレキシブルになり、荒れとか段差とか、そういった余計な入力をしっかり吸収してくれるという印象だ。

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アルトは安価なモデルから売れるのに対し、ラパンは高価なモデルから売れるという。その顧客のニーズに合わせ、サスペンションもよりソフトな方向に手が加えられてあるということも乗れば納得できる。機構は同じでも、ラパンのほうがよりしっとり方向で、走りにも高級感があるように作られている。
室内空間の保持という意味では、静粛性ももちろん素晴らしい。

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CVTモデルはキーンという高周波音が気になるもの、というのはラパンにおいてもはや過去の話。そりゃ高速道路なんかで踏めばそれなりに音はする。しかし一昔前の、走りよりも音に疲れてしまうというようなソレからは格段に進化し、踏みはじめの滑り感も払しょくされて、スッキリと心地よい、程よくマイルドな加速を実現している。
残念に感じたのはアイドリングストップ機構の再始動の繊細さだけだ。
とにかくギュっとブレーキペダルを踏んでおかないと、ブレーキの踏力を緩めた瞬間に簡単に再始動してしまうのがやや惜しい。だってずっとギュッと踏んでいなければいけないのって、案外疲れちゃうんだもの。

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で、それだけよく出来ているのなら、一体何に憤慨してボヤいているのかというとですよ、やっぱり似合わない人が出て来るということを嘆きたいのである。これだけ質感が高く、走行性能も兼ね備えているとなると、もっと潜在的なマーケットはそこいらに存在しているのじゃないかと思うわけだ。

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いや、ボンネットの突き出たクラシカルなルックス、丸いライトのエクステリア、贅を尽くしたインテリアは、このままでもともすれば男性にも響くものでありえるだろう。心は誰よりも乙女でも、なかなかにラブリーを周囲にアピールするのが難しいお年頃の女性(私です)にだってきっと似合う(はず)。

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問題はただひとつ、エンブレムだ。
クルマの一番目立つところにあしらわれているラパン=うさぎマークがどうしても面映ゆい。普段シンプルやノームコアやと騒いでいる層を一切眼中に入れないこのウサちゃんエンブレムが、一抹の購買意欲を潔く振り落すのだ。
だからこそ、握りこぶしでお願いしたい。

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スズキさん、どうか、ウサちゃん以外のエンブレムのバリエーションを作ってください!エンブレムだけ変えられるオプションがあればそれでいい。ほかはインテリア・エクステリアともに変更してもらいたい箇所はない。メーター内に表示されるウサギちゃんのアニメーションだって、ホントのところ超癒されるし。

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とにかく、マカロンカラーとも呼べるパステルのカラーバリエーションは意外に受け入れられても、ウサちゃんを鼻先に乗せて走るのにはだいぶ抵抗があるんです。こんなに完成度の高いエエクルマを、エンブレムだけで"カワイイ"だけに開かれたマーケットに限定するなんて、本気でもったいない。

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同時に、カワイイという一括りでこれほどまでに購買層を限定するクルマであるのにも関わらず、販売のGOサインが出てしまうことに、しみじみと思い入ってしまうのだ、ああ日本のエラい人は皆、カワイイには弱いんだなぁ、と。
個人的にはおんなじくらいに気合の入った"クールな"クルマとか、辛口でシンプルな作り込みも見てみたいのだけど。

■スズキ 公式サイト
http://www.suzuki.co.jp