スズキ、100kg軽量化してマイルドハイブリッドを搭載した新型「ソリオ」を発表
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スズキは26日、フルモデルチェンジした「ソリオ」および「ソリオ バンディット」を発表。同日より発売した。

軽量な新開発プラットフォームを採用

かつては「ワゴンR ソリオ」という名前で販売されていたことから、今でも軽乗用車「ワゴンR」のボディを拡げてちょっと大きなエンジンを載せたクルマ、とソリオのことを認識している人もいるかも知れない。しかし、"ワゴンR"の名前が外れた先代では、より上のクラスの「スイフト」とコンポーネント等を一部共有し、乗っても軽とは別物の、それでいて他社のワゴンタイプ・コンパクトカーより一回り小さいという、独自のポジションを築き上げていた。



約5年ぶりにフルモデルチェンジした新型は、Aセグメントの小型車用に新開発したというプラットフォームを初採用し、先代型と比べると約100kgもの軽量化を達成したそうだ。これは高張力鋼板の使用率を高めたことと、アンダーボディの形状を滑らかにして補強部品を減らすことが可能になったため。この新プラットフォームは、今後「国内および国外のAセグメント車に展開」するという。スズキによれば、次期型スイフトは同様に新開発される「Bセグメント用プラットフォーム」を採用するため、これに含まれない。ではソリオやスイフトの他に、国内に新たな小型車が投入されるのか、という質問については、笑顔で「まだ答えられません」とかわされてしまった。なお、エンジン・ルームは「多様なパワートレインに対応可能」に設計されているというので、ひょっとしたらこのクラスのコンパクトなSUVなども期待できるかも知れない...。

このプラットフォームに合わせて新開発された足回りは、前輪駆動モデルのリア・サスペンションが(軽乗用車の「アルト」と同様に)従来のI.T.L.(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)から、より軽量なトーションビーム式に変更された。マクファーソンストラット式のフロント側も軽量化と取付部の剛性強化が図られているという。



改良型エンジンと"マイルドハイブリッド"を搭載

エンジンは、デュアルジェット・インジェクションを採用した直列4気筒「K12B」型に様々な燃焼改善技術を投入することで、圧縮比を12.5にまで高めた「K12C」型に進化した。これによって発生するノッキングの抑制には、ピストンの裏側にオイルを吹きつけて冷却する「ピストンクーリングジェット」の採用や、ウォータージャケットの形状見直しなどによる冷却効果向上、ピストンおよび燃焼室形状の最適化と吸気ポートの小型化による吸入空気の流動強化などによって対処したという。

排気量1,242ccから最高出力91ps/6,000rpmと最大トルク12.0kgm/4,400rpmを発生するスペック自体は変わらないが、性能曲線を見ると低回転域で若干のトルク向上が見られる。従来通り、前輪駆動の他に4輪駆動も用意され、トランスミッションは全車CVTが組み合わされる。



注目の「マイルドハイブリッド」と呼ばれるシステムは、モーター機能付き発電機(ISG)と専用リチウムイオン・バッテリーを組み合わせたもので、減速時のエネルギーを利用して発電し、加速時には蓄えたその電力で回るモーターがエンジンをアシストする。先日、ワゴンRで採用された進化型の「S-エネチャージ」とほぼ同じシステムだが、ソリオでは「他社の小型車でも一般的なハイブリッドという名称を使うことにした」とスズキは説明する。担当者の方によれば「販売台数が多い軽自動車用のシステムをベースにすることで、コストが抑えられた」そうだ。確かに、後述するが車両価格は先代のデュアルジェット・エンジン搭載車(こちらは減速エネルギーを電装品のみに使用する「エネチャージ」が搭載されていた)より、むしろ抑えられているほど。リチウムイオン・バッテリーは容量も含め軽自動車用のS-エネチャージと共通だが、ISGは出力が2.2psから3.1psに、トルクも4.1kgmから5.1kgmに強化されている。車体の軽量化や改良型エンジンとの組み合わせによって、マイルドハイブリッド搭載モデルのJC08モード燃費は27.8km/Lを達成(前輪駆動車)。さらに先代と比べると、0-400m加速タイムは0.5秒も速くなっているという。

だが、今後はさらに電気によるアシストを強化した「ストロングハイブリッド」なるものがスズキの小型車に採用されるとの噂もあり、スズキの方々もこの件に関して否定はしなかった。ただし、エンジニアの方にお訊きしたところ、それはこのマイルドハイブリッドのモーターやバッテリーの性能を向上させるだけのものではなく「全く別のシステムになる」そうだ。鈴木俊宏社長の言葉によれば、市場に投入するには「まだ乗り越えなければならない課題が残っているのかなと思っている」そうである。

サイズは変えず、室内は広く



その12C型エンジンの傾斜角を立たせることで、フロントのオーバーハングを切り詰め、先代と変わらない3,710mmというコンパクトな全長のまま、ホイールベースを30mmも延長して室内長を拡げることができた。全幅は、スズキの方によれば「デザインしろ」で5mmだけ拡大したが、それでも1,625mmに留まっている。全高は空力改善のために20mm低く1,745mmとなったにも拘わらず、シートのヒップポイントを下げ、ルーフライニングと車体の隙間を出来るだけ小さくするなどの工夫によって、室内高は逆に先代より15mm拡大している。



運転席の圧迫感を低減するために、先代より低く、前方に移動したインパネには、様々な物入れやトレーが装備され、その中央にオプションの全方位モニター付きナビゲーション・システムが搭載される。指先1つで開けられる後席スライドドア「ワンアクションパワースライドドア」には、開閉途中に任意の場所でドアを止められるスズキ初の一時停止機能が追加された。開口幅も先代より60mm拡がっているという。荷室は長さ、幅、高さとも先代から拡大し、開口地上高も低められた。さらに後部座席のシートバックにスライドレバーを装備したことによって、荷室側からもリアシートをスライドさせることが可能になった。

ステレオカメラ式の先進安全機能を採用

安全性能の向上も大きな進化の1つだ。ソリオは先代にも前方衝突被害軽減ブレーキアシスト機能をはじめとする「レーダーブレーキサポートII」が用意されていたが、新型では2つのカメラが歩行者や車線も認識する「デュアルカメラブレーキサポート」を新たに採用(オプション)。車線から逸脱する危険やふらつきも感知し警告してくれるようになった。



大型メッキ・グリルを採用した新しいソリオのエクステリア・デザインは、もしかしたら好みが分かれるかも知れない。もっともこれにより存在感が増したことは確かだ。ボディ・カラーには5色もの新色が設定された。内外装のイメージが異なるソリオ バンディットは、先代型よりすっきりした印象を受けた。特徴的な二段構えのヘッドライトには、ハイ/ロー切替式LEDヘッドランプをスズキで初めて採用。ボディ・カラーは4つの新色に加え、ブラックルーフに赤またはシルバーの2トーンが新たに設定されている。

消費税込み価格は、マイルドハイブリッドを搭載しないエントリー・グレード「G」の145万4,760円から、装備が充実した「HYBRID MZ」4WD車の196万7,760円まで。デュアルカメラブレーキサポート装着車は税別で5万5,000円ほど高くなる(「G」には設定なし)。

先代のサイズと良さは維持したまま、さらに大小様々な改良を施した新型ソリオは、少なくとも先代の購入を考えていた方にとって、大いに魅力を増したモデルチェンジとなったはず。現在は軽自動車が9割を占めるというスズキの販売で、ソリオとソリオ バンディットはどこまで小型車の販売台数向上に貢献するだろうか。

詳しい情報は以下のURLから公式サイトをご覧いただきたい。


スズキ 公式サイト:
ソリオ
http://www.suzuki.co.jp/car/solio/
ソリオ バンディット
http://www.suzuki.co.jp/car/bandit/


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By Hirokazu Kusakabe