【特別企画】600〜700ccの国産オープン2シーター、4台を乗り比べ!(序章)
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8月某日。Autoblog編集部は夏の日射しが照りつける箱根ターンパイクに赴き、計4台の二輪と四輪を集めて比較試乗を行った。集められた四輪はホンダの「S660」とダイハツコペン セロ」。そして二輪はホンダCBR600RR」にヤマハMT-07」。その共通点は「600~700ccのオープン2シーター」ということ。果たしてこれら4台には、車輪の数という枠を超えた共通点が感じられるのかそれともやっぱり編集部のこじつけに過ぎないのか。まずは自動車評論家の今井優杏さんと、オートバイ関連の著作を多く手掛ける青木タカオ氏にそれぞれの印象を伺った。



ホンダの「S660」は最高出力64ps/6,000rpm、最大トルク10.6kgm/2,600rpmを発生する658cc直列3気筒ターボをミドシップに搭載し、6速マニュアル・トランスミッションを介して後輪を駆動。オープンにするためには、「ロールトップ」と呼ばれる取り外し式の布製ルーフを(丸めて)ボンネット内にしまう必要がある。試乗車は上級グレードの「α」で、価格は218万円(6MT・CVTとも)。

ホンダ 公式サイト:S660
http://www.honda.co.jp/S660/



今井優杏
S660は軽自動車だと思わない方がいいかも。ちっちゃいスポーツカーだと思って所有すればいいと思います。最小ミドシップ・スポーツだと思って買えば腑に落ちる。軽自動車だと思うから、荷物が積めないとか思うのであって。ステアリングのクイックさも、ギア比も、ショートストロークのシフトフィールも、スポーツカーなんだなと思いました。




青木タカオ
見た目はコペンも可愛いくて好きですけど、S660のシャープでスタイリッシュな感じもカッコいいなと思います。ただ、乗ってみるとS660の方が全然シャキッとしていて足回りもいいし、エンジンの回転の上がり方もバイクみたいだし、"バイク乗り"が乗っても楽しいですね。軽自動車に乗っているという感覚は薄く、もっとカートとか、モータースポーツ系の乗り物に乗っている感じ。






ダイハツの「コペン セロ」は最高出力64ps/6,400rpm、最大トルク9.4kgm/3,200rpmを発生する658cc直列3気筒ターボをこちらはフロントに搭載し、5速MTとの組み合わせで前輪を駆動する。電動開閉式ルーフ「アクティブトップ」はロックを外してボタンを押せば車内に座ったまま自動でオープンにすることが可能。ただしS660より20kgだけ重い。価格は5MTの方がCVTより高く、187万3,800円。

ダイハツ 公式サイト:コペン
https://copen.jp/



今井優杏
コペンは今回、長めに乗ったんですけど、結構見直しました。都会で使いやすいパッケージだと思います。女性は必ず荷物があるので、ラゲッジルームがちゃんと用意されていて、それからルーフをオープンにしても巻き込んだ風で髪の毛を乱されることがないのがものすごくありがたい。ハンドリングも決してダルではないので、街乗りの領域ではちゃんとスポーティな走りも楽しめるんですよ。マニュアル・トランスミッションはシフトも結構カチッと入るしクラッチも軽いから、初めてMTのクルマに乗る人でも軽快に使えると思います。


青木タカオ
コペンの良いところは、のんびりと普通に乗れる。良い意味でも悪い意味でも、軽自動車に乗っているという感覚がありますね。S660に比べたら走りはおとなしいんだけど、でも見た目は可愛いし、何よりあの"幸せな感じ"がいいですよね。



ヤマハのネイキッド・スポーツバイク「MT-07」は、高張力鋼管を組み合わせたバックボーン型フレームに、最高出力73ps/9,000rpm、最大トルク6.9kgm/6,500rpmを発生する689cc直列2気筒を搭載。今回の4台で最も排気量が大きくシリンダー数が少ない。そして価格は最安値の74万9,520円(ABS付)。

ヤマハ 公式サイト:MT-07
http://www.yamaha-motor.co.jp/mc/sportsbike/mt-07/



青木タカオ
MT-07はツイン(2気筒)の良いところが出ています。低中速重視のエンジンが扱いやすい。低速からパンチがあって、だけど唐突にドーンと出るわけではないから、ビギナーでも(スロットルを)どんどん開けて楽しめる。トラクションが良いから接地感がすごくあるので。






今井優杏
2台のオートバイでは、MT-07の方が見た目以上に足つきが良くて、取り回しが楽。すごく軽快で、車体が軽い感じがするから、多分女の人でも扱いやすいと思う。あとポジションがアップライトなので腰が痛い人でも長く乗れそう。








レーシィなホンダの「CBR600RR」は、中空構造アルミダイキャスト・フレームに、599cc直列4気筒を搭載する。こちらのエンジンは4台の中で最も排気量が小さくてシリンダー数が多い。だから最高出力69ps/11,500rpm、最大トルク5.2kgm/7,500rpmと(スペック上では)高回転型。試乗車と同じカラーリングを選ぶと価格は133万4,880円(ABS付)。

ホンダ 公式サイト:CBR600RR
http://www.honda.co.jp/CBR600RR/



青木タカオ
CBR600RRは全域でトルクフルで、フラットなエンジン特性なんだけど、下から力があって、上でピークもちゃんと盛り上がってくる、理想的なエンジン。スロットル・レスポンスが過激すぎることもなく、誰でも扱いやすいし、欲しいところでちゃんとピックアップもある。悪いところを見付けるのが難しい。このエンジンに足回りのマッチングが凄く良くて、パッケージングのまとめ方が素晴らしい。どこか突出しているところがない、バランスの取れたオール4みたいな感じ。フルカウルのあのカッコを見たらピーキーで乗りにくいんじゃないかと思うかも知れないけれど、全然そんなことない。スポーツ・ライディングを学ぶには打って付けのマシン。


今井優杏
CBR600RRの方が取り回しが大変だし、足が着きにくいポジションだから、やっぱりハードルが高いです。でも、走り出したらそのハードルを越える価値はあるんだなと思いました。ああ、みんなが好きなのはこういうことなのかって(笑)。地面にベタって張り付くようなポジションから、サーファーが"波と板と俺"っていうみたいに、"風とバイクと道"みたいな気持ちで(笑)、集中してバイクに乗れる。そして多分、ホンダならではのきめ細やかさが、楽ちんなんですよ。全域にわたって扱いやすい感じでトルクバンドがあって、ピーキー過ぎないから振り回されない。レーサー・レプリカのような見た目から抵抗を感じる人もいると思うけれど、乗ったらチョー楽しいと思った。





次回からお二人に執筆をお願いした試乗記をいくつかお届けする予定。その内容をちらりと予告しておくと、硬派なオートバイの試乗批評もあれば、車輪の数を超えた共通メーカー同士の比較という無茶ぶりもあるらしい。どうぞお楽しみに。