JAGUAR XE
 ジャガーXEは、同社の久々のプレミアムDセグメントへの挑戦という重責を担うクルマだ。何しろ、この市場は激戦区。生半可では勝ち目は無い。もちろん、それはジャガーだって解っていて、彼らは多大な投資により、シャシーもエンジンもすべてを完全新設計として、このXEを世に送り出した。
JAGUAR XE
 たとえば、そのボディにはこのセグメントにして遂にアルミニウム原料のモノコックが採用されている。ジャガーは2003年デビューのXJ以降、ボディのアルミ化を積極的に推進してきていたが、XEのそれはアルミ合金パーツを接着とリベットで組み合わせるという基本こそ変わらないものの、高強度の6000系アルミ合金の使用割合はXJの約30%から約70%へと拡大しており、鋳造素材の使用部位も拡大。更に、一部には振動特性に優れたマグネシウム素材も配するなど、中身は完全に別物となっている。

JAGUAR XE
 パワートレインでは、ディーゼルエンジンに"INGENIUM"と名付けられた最新のモジュラーユニットを採用。5億ポンドもの投資により建てた新工場にて生産される。このジャガー・ランドローバーの次期主力エンジンの第一弾となる直列4気筒2ℓ直噴ディーゼル ターボ ユニットは、嬉しいことに日本にも導入される。

JAGUAR XE JAGUAR XE
(直列4気筒2.0ℓ直噴ターボ / V型6気筒3.0ℓ直噴スーパーチャージド)
 但し、すでに価格は発表されているものの、実際のデリバリー開始は今秋を予定している。今回試乗したのは、まず販売を開始した、従来、ジャガーが使っている直列4気筒2.0ℓ直噴ターボの出力違い2種類と、Fタイプ譲りのV型6気筒3.0ℓ直噴スーパーチャージドの各モデルである。

JAGUAR XE JAGUAR XE
 その走りをひと言で表現するならば「素晴らしい!」に尽きる。特にフットワークの爽快さには、思わず歓喜の雄叫びをあげたくなるぐらいだ。このセグメント、前述の通りライバルはどれも強力だが、XEはどれにも負けない実力を備え、独自の個性が存分に発揮され、何より理屈抜きに走らせるのが気持ち良く、嬉しくなる。

JAGUAR XE
 まずは何よりボディがカッチリと剛性感高く、それを土台にサスペンションがしなやかにストロークすることで、上質な乗り心地をつくり出しているのがひとつ。ロールもピッチングも出るのだが、その量とスピードはきれいにコントロールされており不安感などとは皆無。むしろ、どんな姿勢になろうと4輪がしっかりと路面にくっついていることが生々しく伝わってきて、安心感はとても高いのだ。

JAGUAR XE
 操舵に対する応答もシャープだが、感心させられるのは、鋭くコーナーを抉っていってもリアがぴたっと落ち着いていること。インテグラルアームと呼ばれるリアサスペンションが、縦方向にはソフトなのに横剛性が高く、深くストロークしても接地性をしっかり確保するおかげだ。とは言え、XEをうまく操るには、ステアリングは手前からゆっくり切っていく方がいい。そこにブレーキとアクセルをうまく連動させて滑らかに向きを変え、4輪の荷重をうまくコントロールしながら素早く立ち上がるというのが、XEのコーナリングの醍醐味と言える。

Related Gallery:JAGUAR XE
JAGUAR XE JAGUAR XE
 4気筒モデルと6気筒モデルでは、やはり4気筒の方が鼻先が軽く、意のままに操れる感覚が強い。その中でもタイヤサイズは、小さい方が好バランス。エントリーグレードのPureが履く17インチでも十分なほどだが、見映えまで考慮すればベストは18インチ。19インチ以上は、動きがピーキーになってしまう。装着するならば、可変ダンピングシステムのアダプティブダイナミクスをセットで考えた方がいいだろう。

JAGUAR XE JAGUAR XE
 エンジンも、日本の道路事情では4気筒モデルのパフォーマンスで不満を覚えることはないだろう。Pure/Prestigeの200ps仕様と、Portfolioの240ps仕様は、後者の方が全域で力強く、特に低中速域のドライバビリティに優れるとは言え、前者でもそれほど見劣りするわけではない。いずれも高回転域までフルに使ってスポーティに楽しむことができるのは一緒だ。

JAGUAR XE
JAGUAR XE JAGUAR XE
 と、ここまで書いてきてナンだが、340psとパワフルな3.0ℓスーパーチャージド・エンジンを積むXE Sに乗ると、パワフルさもさることながら、そのマルチシリンダーらしい滑らかさな回転フィーリングに心奪われてしまうのも、これまた事実。これはこれで、選ぶ理由は確実にある。

JAGUAR XE JAGUAR XE
 正直に言うと、スタイリングは最初、ちょっと華が無いなあと思っていた。けれど、よくよく見ればプロポーションはバツグン。キャビンが後退していてフードが長く見え、一方で切り詰められたオーバーハングが軽快感を演出している。そして何より駆動輪を強調するリアフェンダーの膨らみ! 大きなグリルより複雑なラインより、カタマリとしての美しさで魅せるのは、いかにもジャガー。逞しく、品のあるその姿は、街で見掛ける頻度が増えるにつれて、ファンを増やしていくに違いない。

JAGUAR XE
 もちろん、まったく不満は無いなどと言うつもりはない。ドライビングポジションには文句の無いインテリアだが、樹脂パーツのクオリティ感は今イチ。

JAGUAR XE JAGUAR XE
また、カーナビゲーションは、何と今どきDVDタイプだ。インフォテイメント系の操作をタッチスクリーンに集約してスマホのように操作できる"InControl"は、今のところ導入時期未定。一刻も早く使えるようにしてほしい。

 また、ACCに低速域での追従機能が無いのも物足りない。もっとも、自動緊急ブレーキやブラインドスポットモニターなど、これまでジャガーが設定していなかった先進安全装備がようやく揃ったことは評価したいと思う。

JAGUAR XE JAGUAR XE
 初っ端から、これほど完成度高く、独自のキャラクターをしっかりと持ち、純粋にステアリングを握ることを歓びと感じさせてくれるクルマに仕上げてきたジャガー開発陣は、本当にいい仕事をしたと思う。特にそのフットワーク。しなやかにして俊敏なその走りは、まさにこれぞジャガーと、きっと知らない人をも大いに納得させるに違いない。

JAGUAR XE
 日本市場でのジャガーは、残念ながらここ数年、ずっと右肩下がりの状況にある。昨年は遂に年間販売台数が1千台を割り込んでしまった。しかしながら、この新しいXEを得て、逆襲の準備は整った。"GAME CHANGER"というコミュニケーションワードは伊達じゃない。こういうクルマに是非、マーケットを引っ掻き回してほしいものだ。

■ジャガー 公式サイト
http://www.jaguar.co.jp/index.html