HONDA S660 yachiyo
今や最長1年待ちとなっている、話題の軽スポーツカー「ホンダ」S660。若き開発責任者の思いが詰まったこの1台が制作されているのは、三重県の四日市にある、ホンダのグループ子会社「八千代工業」の四日市製作所。

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燃料タンクや、サンルーフ、2輪のマフラーに加えて、車両は「アクティ・トラック」や「バモス」などが制作されている工場となるのだが、なぜここでホンダの新世代軽オープンスポーツカーが? と思うかもしれないが、答えは明確。「S660はスポーツカーに相応しい走りと質感を実現するため、人の手と機械を融合させた専用工程を取り入れた少量生産を行っている」ため。そしてなによりも、スポーティーな走りを実現するための、ミドシップに置かれたエンジンレイアウトの生産ラインが整っている場所だからなのだ。

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1996年まで生産されていた「ビート」が作られていたのも、この八千代工業四日市製作所。S660開発責任者の椋本陵氏は「S660の生産は八千代工業さん以外では考えられなかった」と、ホンダの軽自動車のミッドシップを培ってきた聖地とも言える場所を、生産の場に選んだのだ。
スポーツカーというと、実用性よりも趣味性が高いものなので、多くの人が求めるものではない。しかも趣味性が高いモノ=高価。というイメージがつきまといがちだが、S660のコンセプトは、身近に楽しめるスポーツカー。価格を抑えるためにも、新しい設備投資をしなくとも、妥協のない生産が行える場所として、この八千代工場が最適だったのだという。

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車の生産と言えばロボットによってオートメーション化されたハイテクな現場を想像していたのだが、工場に足を踏み入れて一番に驚いたのは、人の手が多く入っていたこと。

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インナーフレームやアウターパネルの溶接課程は、4人がひと組になって治具の設置、位置決めからの借り止めを手動で行い、ロボットアームによるスポット溶接に送り込むという、ロボットと職人の技が融合した見事なコラボレーションが繰り広げられていた。ここで人の手を入れる事で、治具の簡素化を図っているとのことだ。それにしても人に見せるモノではないけれど、その息の合ったコンビネーションと手際のよさは、まるで何かのショーをみているような見事さで、思わず見とれてしまうほど。

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エンジンなどの組み立てラインは「アクティ」と一緒のラインとなっており、軽トラと一緒にS660が流れてくる様は、なんとも不可思議。しかし、S660専用のエンジン取り付け架台をラインに新設するなどして、同一ラインでの取り付け作業を可能とし、さらには、タイヤの位置からの入力が「1G」となるように、足周りの取り付けができる治具を専用開発し、同一ライン上で、サスペンションやフロントアームの組付けなども行われている。これは、車が走り出す時の状態を再現し、足周り各部にストレスなく部品を取り付けることを可能としている。組み上げは、ほとんどが職人の手で行われ、きめ細やかな調整がなされている。

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全ての組み上げが終了すると、独自の検査工程に入り、軽トラやバンなどと並んで、検査ラインに送られていく。光軸、ブレーキアクティブシステム、アライメントの調整などを行い、別途S660の専用ラインで傷などの細やかなチェックが行われ、走行検査後出荷に至るという工程だ。

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S660は月の販売目標が800台という少量生産モデル。だからこそ可能にした投資を抑えつつ、スポーツカーとしてのクオリティーを保持するための制作過程。時代に逆行するかのような手作業の多さは、日本でしかできないものの作り方とも言える。確かな匠の職人魂が、ここ八千代工業四日市製作所には宿っていた。
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ということで、工場見学の余興、カートレースに加えS660にも初試乗! 作っているモノをみた後に実車に試乗するというのは、なんとも感慨深い。

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普段の足はもっぱらバイク、2輪生活にどっぷり浸かっている私にとって、カートなんて乗り物は初体験。さらには車は必要に迫られたときにしかに乗らないという自分にとってもS660は興味をそそられるところがある。そのコンパクトさと見た目のスタイリッシュさ、乗っていてカッコいい! と思わせるそのスタイリングは、車好きならずとも見逃さずにはいられない存在だ。

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今回、バイクの夏祭りとも言える「鈴鹿8時間耐久レース」真っ最中の鈴鹿サーキットの南コースにての試乗。クローズドのコースで良かった、と思いつつも、ヘルメットを被って車に乗るのも初体験。MT車に挑戦してみたい気持ちもあったのだが、あまりにも久しぶりだったため、不安もありCV車を選択。

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車両に乗り込むと、超コンパクト。シートが身体にフィットして、もてあます部分がないのが気持ちいい。そして走り出すと軽い! しっかりと路面を蹴る感覚が身体に伝わっているのに、軽い。スポーツカーというので、走り出しはもう少し唸るような粘りがあるのかと想像をしていたのだが、そんなに踏み込めない私くらいのレベルだと、ちょうど良い軽さ。

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ハンドルも軽く、コーナーも路面にタイヤが張り付くような感覚で不安が全く無い。スピードレンジが速くないということもあるのだろうが、そんなゆっくりな走行でもスポーツカーという特製を充分に楽しめる。なによりも、怖さを感じる急な動作が全く無いので、安心して操れるのが嬉しい。車だけど、身体で車体を操るバイクと似た感覚が楽しめる、なにこれ面白い〜! と思わず叫んでしまいそうだった。これなら日本の狭い道も、スポーティーな気分でドライブが楽しめそうだ。今度はヘルメット無しで公道を走ってみたい。

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そして3人のチーム戦で行う2時間耐久カートレース! その地面を這いつくばるような視線の低さにビビりながら、コーナーで身体をインに入れてしまうと言う、バイク乗り特有の癖を余すことなく披露(笑)しながらも、皆様に助言をいただきなんとか完走。

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プロの方々に一周毎に華麗にラップされ、悔しい思いをしながらも、そのスピード感に填まってしまいそうなほど面白かった! 次回は動くパイロンを卒業したい次第......。

S660の次回オーダー受付は10月下旬を予定しているとのこと。気になる人は今すぐ試乗に出かけて検討を始めるべし!

■HONDA S660 公式サイト
http://www.honda.co.jp/S660/