Volvo DIESEL
いよいよボルボからディーゼルエンジン搭載車が発売となった。V40、S60およびV60、XC60の各シリーズに搭載された。

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エンジンはD4と呼ばれ2L DOHC水冷直4ディーゼルターボ。82・0mm×93.2mmのロングストロークで、圧縮比は15.8:1。デンソー製のコモンレール・ダイレクト・インジェクションシステムであるi‐ARTによって、最高出力190ps/4250rpm,最大トルク400Nm/1750‐2500rpmを発揮。アイシン製8速ATと組み合わされる。

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駆動方式は、FFのみの設定。
ボルボでは、フォードから独立する少し前2007年頃から4気筒エンジンを、主力エンジンに据えて開発に注力。これがボルボのDrive‐Eにつながっていく。
Drive‐Eとは、ガソリンとディーゼルエンジンで共通の基本構造を持たせた4気筒エンジンを開発することで、効率よくエンジン開発を行おうというパワートレーン戦略。

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今回導入されたディーゼルターボ=D4も、もちろんDrive‐Eパワートレーンを採用している。
ディーゼルエンジンで特徴的な技術は、i‐ARTと名付けられたコモンレール・ダイレクト・イグニッション・システム。圧力と温度をモニタリングすることができるインジェクターを開発したことにより、各シリンダーごとに燃料噴射を正確にコントロールすることができるようになった。高圧燃料ポンプが作り出す250MPa(2500bar)という噴射圧力によって、最大9回、通常は3~4回適正量の燃料を精密に噴射することで、排ガス量の低減と燃費を改善することができた。
ターボチャージャーはボルグ・ワーナー製で、小型タービンと大型タービンによる2段階過給システムを採用。低回転から高回転までトルク及びパワーアップが図られている。
排ガスの後処理は、尿素を使わないメンテナンスフリーであるのが特徴となっている。触媒コンバーターを使ったタイプで、LNT(Lean NOx Trap)およびDPF(Diesel Particulate Filter)によって排ガス浄化を行っている。LNTは触媒コンバーターの基板上に作られる被膜で機能し、この被膜がNOxと結合するシステムである。結合後は定期的に数秒間燃焼混合気を濃くし、無害なN2にして排出する。
DPFは、PM(粒子状物質)を取り込むフィルターで。PMが一定量推積すると、燃料の噴射制御によって排ガス温度を上昇させPMを燃焼し除去し、PDFクリーニング処理を行う。
...というなかなか興味深いディーゼルエンジン。では走らせたらどうなのか、レポートしてみよう。
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まず試乗したのはV40 D4 SE。車両重量1540kgに190馬力/400Nmのパワー&トルクは、余りあるほどの余裕がある。しかも最大トルクは1750回転から発揮するので、感覚的にはアクセルを踏みだした瞬間から、すぐにぶ厚いトルクがクルマを前に推し進めてくれるという印象。

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停止状態でクルマの外からエンジン音を聞いているとさすがにディーゼルであることは隠せないが、室内の遮音は良く、走りだすとエンジンの回り方が滑らかなので、ほとんどディーゼルを意識させない。ボルボに限ったことではないのかもしれないが、圧縮比が低いので、吹き上がり方が滑らかだったり、ポンピングロスが少ないのか、アクセルを離した時にすぐさまエンジン回転にブレーキがからないので、ガソリンエンジン感覚でアクセル操作に気遣いする必要なく走れる。こんなところにもこのクルマが心地よく走れる理由があるのだろう。

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30キロくらいのスピードから、アクセルを深く踏み込んで強い加速を試みると、エンジンのピックアップの良さでクルマをスッと蹴り出してくれ、それに続いてターボによるぶ厚いトルクがぐいぐいとクルマを前に押し出してくれる。ターボの効き方は滑らかで、フワッとトルクが膨らむような感覚。400Nmあるトルクがいきなり炸裂するとかなりギクシャクしそうだが、そのあたりのパワー(トルク)コントロ-ルも巧みで、ドライバーを緊張させず、それでいて十分に力強さも感じられるものになっている。

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ドライブモードはD、SPORTの2つのモードのほかにECO+スイッチがあり、燃料消費を最大5%削減できるモードが設定されている。ATのシフトポイントが変わり、エンジンマネージメントを変更することでアクセルペダルの反応がソフトになり、スタート/ストップ機能やエアコンの設定変更、ECOコースト機能(惰性走行モード)などが盛り込まれる。はっきり言って気持ちよく走るには窮屈だが、混雑した街中や、逆に信号の少ない郊外路などだと、アクセルのオンオフが少ないのでストレスが少なく、かつ省燃費効果が期待できる。

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個人的にはDモードが走りやすかった。アクセルに対するエンジンの反応が過敏すぎず、十分に力強さも感じられる。アイシン製8速ATは、比較的早めに上のギヤにアップシフトするプログラミングだが、低回転域のトルクがあるので、平坦な所では全く苦にならなかった。

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もう一台XC60 D4 SEにも試乗した。パワーと車重のバランスということで行くと、このくらいの重量が適正だろうと思う。車両重量は1800kg。V40 D4で感じたような有り余る感はないが、十分に力強くスムーズにストレスなく加速してくれる。

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単純な発進加速だけでなく、30キロ、40キロからの追い越し加速や緩加速といった場面でも必要十分な力がある。まあ、400Nmといえば、自然吸気エンジンなら4Lクラスの排気量と同等なのだから、不足があろうはずもない。
ただ、V40のところでも触れたが、アイシン製8速ATは、Dモードで一定走行していると、比較的早めにアップシフトしたがるため、XC60はアクセルを踏んでもすぐに加速が得られず、キックダウンを待つような場面が何度かあった。まあスポーツモードにするか、マニュアル操作でギヤシフトをすればいいだけの話なのだが...。

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全体の印象でいうと、このディーゼルはスムーズに吹き上がり、高回転域に重苦しさがないので、走らせていて心地よいと感じた。エンジンの存在感があり、アクセルとエンジンがちゃんとつながっている感覚が得られるので、クルマを走らせている実感がより濃い。ボルボのディーゼル搭載車は、そんなクルマだった。

■ボルボ 公式サイト
http://www.volvocars.com/jp