HONDA LEGEND
レジェンドは1985年、クラウンやセドリック/グロリアに対抗するホンダのフラッグシップサルーンとして登場。2012年6月に4代続いたレジェンドの生産を終了。27年に及ぶレジェンドの歴史に一旦ピリオドが打たれることになった。
ただし、完全にレジェンドの火が消えてしまったわけではなく、生産終了直前の2012年4月のニューヨークオートショーで、新たなフラッグシップセダンの方向性を示すコンセプトモデルとしてRLXコンセプトが公開された。ちなみにRLは北米アキュラチャンネルの呼称で日本のレジェンドに相当するモデル。
FFと4WDが発表されたが、中でも注目を集めたのは4WDモデル。この4WDシステムは、NSXコンセプトで発表した3モーターハイブリッドシステムを採用していたのだ。
そして2015年2月、3モーターハイブリッドシステムを搭載した4WDモデルがレジェンドとして日本で復活した。

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ボディサイズは、全長×全幅×全高=4995mm×1890mm×1480mmというサイズで、ホイールベースも2850mmある。タイヤがボディの4隅に配置された座りのいい堂々たるたたずまいを持っている。

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特徴的なのは、LEDヘッドランプを採用しているといころ。片側4つ(8つに見える)のロービームは一番内側から7度ずつ外側に光を照射するようにレンズが設計されており、横方向の照射範囲が広くなるよになっている。またハイビーム走行中、カメラが対向車を認識するとロービームにしてくれるハイビームサポートシステムもつく。

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インテリアも、ホンダの北米におけるプレミアムブランド=アキュラのフラッグシップだけのことはあり、インテリアの質感、触感には高級感がある。
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安全面でもHonda SENSINGと名付けられた運転支援システムが装備されている。ロングレンジの位置・速度測定を得意とするミリ波レーダーと、対象物の形や大きさの識別を得意とする単眼カメラの性能を融合することで、衝突軽減ブレーキ、歩行者事故低減ステアリング、渋滞追従機能付きACC(アクティブクルーズコントロール)、誤発進制御、車線逸脱制御及び車線維持支援等を実現。さらに魚眼CMOSカメラや超音波センサー、マイクロ波レーダーを搭載し、マルチビューカメラやブラインドスポットインフォメーション、パーキングセンサーシステムなどの運転支援機能も装備されている。
つまり、5代目となる新型レジェンドは、プレミアムセダン(サルーン)としての性能や機能を装備したクルマとして作られているのだ。
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というのが、新型レジェンドの概要だが、本題はここから。やはり興味をそそられるのは、3.5Lガソリンエンジン+3モーターハイブリッドシステム+SH‐AWDシステムが作り出す走りだ。


先代レジェンドに搭載されていたSH‐AWDシステムは、前後左右のトルク配分を行うことができ、 4WDならではのプッシュアンダーを電子制御4Wで制御するなら、この方向性は一つの解といえるだろう。そういえるほど優れた4WDシステムだった。
さて、新しい3モーターハイブリッドのSH-AWDシステムとはどんなものなのだろうか。
モーターの配置はトランスミッション部にエンジンアシスト用のものが一つ。後輪は各一輪ずつ、計2個のモーターが搭載されている。前後の駆動力はプロペラシャフトなど機械的にはつながっておらず、後輪はモーター駆動のみとなる。リヤの2つのモーターは左右別々に制御されるが、リングギヤが固定された2対の遊星ギヤで機械的につながっている。
http://www.honda.co.jp/tech/auto/sh-awd/topic5/
実は、これがレジェンドの3モーターSH-AWDシステムのキーポイントでもある。
レジェンドのAWDシステムは、プロペラシャフトを持たず、機械的に連結されていない。後輪はモーターのみで駆動する。

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発進時は、主にリヤのモーターの力で発進。緩やかな加速はフロントに搭載したエンジンが担当し、FFとなる。この時前輪用モーターは、走行条件にもよるが発電を行いバッテリーへのエネルギーチャージを行う。
低速での一定速走行は、基本的にはリヤモーターが行う。
フル加速状態になるとエンジン+3つモーターによって強力な加速を作り出す。
またカーブでは、リヤ左右のモーターが駆動配分を行いクルマがアンダーステアの兆候を見せるとリヤイン側のタイヤにブレーキをかけ、リヤアウト側のタイヤの駆動トルクを増やして曲がる力(ヨー)を強くしてくれる。
さらに、高速域では、それまでリングギヤを固定して左右輪別々に駆動トルクを与えていたが、高速ではリングリヤにかけていたブレーキを外し、リングギヤを回転させている。これによって、それまで不安定だった左右への駆動配分が均等になり、安定することで高速安定性が増す。ほんのわずかな機械的抵抗なのだが、感覚的には大きな安定感になる。
もっとシンプルに作るならリヤ1モーター+デファレンシャルでも同様の安定感が得られるが、左右駆動配分が任意にできない。このシステムの発想自体がホンダらしいアイデアといえる。

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実際に走らせた印象はどうか。エンジンは3.5L V6直噴3ステージVTEC。圧縮比11.5対1のNAエンジンで、エンジン単体では最高出力314ps/6500rpm、最大トルク37.8kgm/4700rpmを発揮する。
可変バルブタイミング&リスト機構に加え気筒休止機構も備える。低負荷時には3気筒となる。
モーターはフロントにH2型、リヤにH3型×2。H2型が48ps/15・1kgm、H3型が37ps/7・4kgm。
後輪への駆動力はそれほど強くなく、あくまでも前輪のアシストであるように見える。NSXではレイアウトが逆になるので、後輪駆動が主体となり前輪駆動がアシスト的なものとなる、ということか。

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それはともかく、まずはレジェンドの走りだ。印象としては、リヤの駆動が独立しているという感覚はない。絶対的な駆動トルクが、前輪のほうが勝っているために、リヤの駆動力が目立たないということなのだろう。それから、低回転のあまり不安定さが際立たない領域では左右それぞれのモーターの駆動力が遊星ギヤを回転させて各輪を駆動しているが、安定性が求められる速域になるとリングギヤが回転し左右の駆動力を同調させるような働きをしながら左右輪を駆動しているらしい。この切り替わりポイントは高速という表記だけで詳しく調べていないので、あくまでも感覚的な話だが、80km/h以下くらいからすでにリングギヤを回転させているように感じられる。

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1速20km/hくらいの車速から無造作にアクセルを強く踏み込むと、フロントタイヤが瞬間空転するようなしぐさを見せるが、すぐさまVSAが抑え込み、同時にリヤの駆動力がかかってクルマを前に進めてくれる。前後のトラクションのずれとか遅れはほとんど感じられず、力強い4WDの発進といった印象。
だから大雑把には素晴らしくよく曲がる4WDで間違いないのだが、よく観察すると、速めのスピードでワインディングロードを走らせると、まずフロントタイヤの駆動力の強さを感じるのだが、フロントタイヤが外に逃げる前に、リヤタイヤのアウト側の駆動トルクが上手にヨーを作り出して旋回につなげてくれる。大げさに言うとフロントタイヤが加速しながらリヤアウト側のタイヤが上手にクルマの向きを変えていってくれるような感じ。
レジェンドの場合、高級車らしく全体の身のこなしが穏やかでスムーズ。
静かに発進すればモーター駆動だけで走り出すこともできる。ハイブリッドカーとしての「らしさ」も持っている。レジェンドの高級サルーンとしての乗り味は上出来。操縦性、あるいは身のこなしといいたくなるようなフットワークも高級車らしい落ち着きと、3モーター式SH-AWDならではの圧倒的な旋回性能を備えている。

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レジェンドの走りは相当に面白い。ものすごくチューニング度の広そうなSH-AWDシステムであることも感じ取れる。もしこのシステムがNSXに搭載されたとしたら、無敵にハンドリングマシンが出来上がるのではないか。そんなことさえ予感させるクルマだった。

■ホンダ 公式サイト
http://www.honda.co.jp