ボルボ・カー・ジャパンは23日、日本で販売する主力5車種にクリーン・ディーゼル・エンジンを一挙投入すると発表。同日より販売を開始した。

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新世代の4気筒直噴ディーゼル・ターボ「D4」エンジン

今回、日本市場で待望のクリーン・ディーゼル・エンジン搭載モデルが導入されたのは、「V40」「V40 クロスカントリー」「S60」「V60」「XC60」の全5車種。これらを合計すると、ボルボの日本における販売比率の約9割を占めるという。ボルボ・カー・ジャパンでは今後、これらの車種ではディーゼルが販売の50%以上になると予想しており、これによって日本で販売するボルボ車全体のCO2排出量が2割減少することになるそうだ。もっとも、ディーゼル・エンジンを搭載するボルボが日本で発売されるのはこれが初めてというわけではなく、1980年代には直列6気筒ディーゼル・エンジンを積む「240」や「760」が正規輸入されていた。その後も欧州ではもちろん、ディーゼル・エンジン搭載車が販売されていたわけだが、あちらの現行排ガス規制「EURO6」に適合する最新モデルをもってしても、2008年に制定された"世界一厳しい排出基準"といわれる日本のポスト新長期規制をクリアするためには、改めて調整が必要だったそうだ。

上記の5車種が搭載するディーゼル・エンジンは全て共通で、ボルボが自社開発した新世代パワートレイン「Drive-E」の2.0リッター4気筒直噴ターボ・ディーゼル「D4」エンジンと呼ばれるユニット。最高出力は同排気量のガソリン・エンジン「T4」と同等の190ps/4,250rpm、最大トルクは自然吸気ガソリン・エンジンなら4.0リッター並みの40.8kgm/1,750-2,500rpmを発生する。この特性を活かすため、ワイド・レンジなアイシンAW製の8速「ギアトロニック」オートマチック・トランスミッションが組み合わされ、前輪を駆動する(現時点で4輪駆動の設定があるのはガソリンのみ)。JC08モード燃費はV40 クロスカントリーで21.1km/L、最も大柄なXC60でも18.6km/Lを達成したという。


その開発はボルボ・カーがフォードの傘下を離れた2010年にまで遡る。1927年に設立されたボルボの乗用車部門は1998年にフォードによって買収されてから、フォード製のパワートレインを採用することもあったわけだが、2010年に中国企業の浙江吉利控股集団の傘下になったとき、自動車会社として独自に新しいパワートレインを開発することを決めたという。ただし会社の規模から、あまりに多様なエンジンを同時に開発することは難しい。そこでコンセプトを3つに絞ることにした。まず、4気筒(またはそれ以下)であること。そしてガソリンとディーゼルでできるだけ部品を共有できる設計であること。さらに将来的にハイブリッド化にも対応できるようにすること。今回、日本向けモデルに搭載されたD4エンジンもその成果の1つであり、同時開発されたガソリン・エンジンとは25%の部品が完全に共通で、25%は完全に異なり、そして50%は類似部品であるという。シリンダーブロックの基本構造はガソリン・エンジンと同じだが、点火プラグがないディーゼルは当然、ヘッドが異なる。ピストンとコンロッドは大きくて重いため、より回転質量の大きなバランスシャフトを採用する。また、燃焼音を低減するために、ブロック両側面の大部分が吸音材の成形マットで覆われているそうだ。



日本の技術が活躍

しかし、その技術的な最大の特長は燃料噴射装置にあると言えるだろう。ボルボのD4エンジンには、日本のデンソーが開発した「i-ART」と呼ばれるコモンレール・ダイレクト・インジェクション・システムが乗用車で初めて採用されている。従来はコモンレール(蓄圧器)に1つだけ設置されていた圧力センサーが、このシステムでは4つのインジェクターにそれぞれ1つずつ装備されており、10万分の1秒毎に噴射ズレを検知・補正し、各シリンダー毎に燃料噴射量・時期が調整可能となっている。1回の燃焼期間中に最大9回という、複数回に分けての正確な燃料噴射が可能で、超高圧ポンプによるその噴射圧力は同等の一般的なエンジンよりも500~700気圧も高い最高2,500気圧にもなるという。これにより優れたパワーやレスポンスを発揮すると同時に、窒素酸化物の発生を抑制し、さらに圧力ピークが下がることで振動と騒音も低減できるそうだ。これらの数字を分かりやすく表現すると、2,500気圧とは「象が指先に乗ったくらい」で、10万分の1秒とは「300km/hの速度で走るレーシングカーがわずか1mmの距離を進む時間」に等しいとか。このエンジンを制御するECM(エンジン・コントロール・モジュール)は1秒間に4億回の命令を実行するそうだ。

過給器には回転域によって大小2基のボルグワーナー製ターボチャージャーが作動する「2ステージターボ」を採用し、またエンジン内部の摩擦を低減するため、カストロールと専用オイル「VCC RBS0-20AE」を共同開発したという。

アイシンAW製の8速ATは全ての前進ギアでロックアップ機構が働き、燃費重視の「ECO+」モードでは65km/h以上の速度でアクセルペダルから足を離すとエンジンブレーキが解除される(慣性走行の距離を伸ばす)「ECO COAST機能」が働く。もちろん積極的に走りたいときは「SPORT」モードを選べばスロットルマップやシフトポイントがスポーティな設定となり、アイドリング停止機能は解除される。ステアリング・ホイール裏のパドルによってマニュアル・シフトも可能だ。



ガソリン車との価格差は25万円

このクリーン・ディーゼル「D4」エンジン搭載モデルは、全車種において同クラスのガソリン・エンジン搭載モデルより25万円高という価格設定がなされている。ただしこの価格差は、エコカー減税の減税率の違いによって実質的には15万円程度まで支払総額は縮まるという。さらに軽油とハイオクガソリンによる燃料代の差や、1リッターあたりの燃料で走行できる距離の差も含めて考えると、ボルボ・カー・ジャパンの計算によれば、V60なら3万3,000kmの距離を走ればコスト差が回収できるとのこと。おそらく中古車として売却する際には、査定価格にも差が生じると思われる。

なお、ガソリン・エンジンの方も、V40およびV40 クロスカントリーにはDrive-Eの新開発1.5リッター4気筒直噴ターボを搭載する「T3」が9月1日より追加される。このエンジンは最高出力152psと最大トルク25.5kgmを発生し、6速ATとの組み合わせ出て前輪を駆動。JC08モード燃費は16.5km/Lと発表されている。4輪駆動の「V40 クロスカントリー T5 AWD」も、従来の2.0リッター直列5気筒ターボから、Drive-Eの2.0リッター直列4気筒直噴ターボに変更された。同じ「T5」を名乗ってもシリンダー数は1本減ったが、最高出力は213psから245psに、最大トルクも30.6kgmから35.7kgmに向上。ATが6速から8速になったこともあり、燃費も改善されているという。

また、S60とV60の「T4」モデルも、これまでの1.6リッター直列4気筒ターボから、Drive-Eの2.0リッター直列4気筒直噴ターボに切り替わった。最高出力190ps、最大トルク30.6kgmにアップし、JC08モード燃費も13.6km/Lから15.2km/Lに向上している。こちらは60シリーズのエントリー・グレードであるためか、ATは6速を採用する。



ボルボ・カー・ジャパンの木村隆之社長によると、「SUVのXC60をやすやすと走らせる」ほどの実力を持つD4ディーゼル・エンジンは、より小型軽量なV40では「スポーティなテイストが感じられる」という。一方でマーケティング部ディレクターの関口憲義氏によれば、新世代のガソリン・エンジンを搭載したモデルは、「高回転まで軽やかに回り、鼻先が軽い操縦性」が魅力だとか。本日7月24日より、ボルボ・カー・ジャパン正規販売店にはクリーン・ディーゼルを搭載する試乗車が用意されているとのこと。「是非、ご自身で乗り比べていただきたい」そうだ。試乗の予約や各モデルの詳しいスペックと価格については、以下のリンクから公式サイトをご覧いただきたい。


ボルボ・カー・ジャパン 公式サイト
http://www.volvocars.com/jp


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By Hirokazu Kusakabe

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