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日本には、避けて通れない季節がある。
いや、そんなこといったら四季どんな季節だって避けては通れないのだけれど、とりわけほぼすべての日本人が苦手としている季節が梅雨、なんではないだろうかとおもうのだがいかがでしょうか。まず荷物増えるし(ex、傘、濡れた髪を拭くタオル)、なんか髪もうねうねするし暑いし湿気だし。考えるだけでもジト〜っとしてくる。
クルマの世界でもこの梅雨、ちょっと気をつけたほうがいい季節。
普段ハンドルを握るひとも握らない人も、「雨の日は道が混むなぁ」なんて思った経験をお持ちだと思う。理由として単純に視界が悪くなること、傘を差している歩行者もいる=歩行者側も視界が悪いことなどが挙げられる。よってクルマの速度域も低くなって、交通が滞る。普段とは運転環境が変わってしまうのだ。
JAF調べによると雨の日の時間当たりの事故率は晴れの日の約5倍。気をつけたに越したことはない。

そんな梅雨のシーズンインを目前に、ブリヂストンが報道陣向けにミーティングを行った。そのテーマ、ズバリ『梅雨前の安全啓発イベント』。
タイヤを変えれば、もしかしたら事故を未然に防げるかもしれないということを実感させる、ドキっとさせられる内容だった。

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そもそも、タイヤのレイン性能とはどういうものなのだろう。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれないが、クルマというのはタイヤのみによって路面と接地していて、その接地面積はタイヤ一輪あたりわずかハガキ一枚分。このエリアで走行に関する空気抵抗以外のこと、つまり走る・曲がる・止まる、のすべてが行われるのだ。
雨の日は路面に水が溜まる。その水をタイヤの接地面に残さず、いかに排出しながらドライ路面に近い安定した走行をさせることが出来るか。それがレイン性能と言ってもいいだろう。
教習所で習ったことをちょっと思い出して欲しい。たとえばそう、あの"空走距離"というやつだ。雨の日はブレーキが利きにくく、乾いた路面よりも長い制動距離が必要となる。どんな雨量のときでも路面のグリップが得られるかということが、安全に雨の日を走行出来る性能になるかとイコールになる。
しかし世界中わりとどこだって、毎日毎日降っているわけではない。晴れの日と雨の日でタイヤを変えられるならそれがベストだけど、どんなセレブだってそうはいかないでしょう。しかも摩耗の問題もある。いくらしっかり止まってくれたって、1年に一回交換しなきゃならないタイヤがあったとしたら、それはとても安心だけど現実的じゃない。
あんまり減らなくてお財布に優しいタイヤがいいのか、それともきっちりすっきりばっちり止まるほうがいいのか、それとも全部まんべんなく優等生みたいなタイヤがいいのか。

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その辺、実は同じメーカーの中でも、消費者がまるでどのトマトが一番甘くて美味しいのかを手に取って選ぶみたいに、ちゃんとした審美眼で選択する必要があるのだ。

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同社のテストコース『プルービングランド』は、風光明媚な那須塩原にある。
今回のプレスミーティングではここで2種類のテストを視察・同乗体験した。

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制動
ウエット路面での急制動を現在発売されている2種類のタイヤで行う。
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コーナリング中のハイドロプレーニング
同ブランド(レグノ GR-XI)の新品タイヤと1,6mmまで摩耗したタイヤを使用し、コーナーで水たまりに進入した場面の変化を体感する。

使用したタイヤは双方が現行で購入出来る同社製モデル、「エコピアEP001S」と、「ネクストリー」だ。車両はプリウスを使用する。
どちらもブリヂストンでは低燃費タイヤのカテゴリーに入るタイヤではあるが、販売価格がずいぶんと違う。原稿執筆現在、価格.com調べによると15インチで比べた場合では倍近くの値札が付いているのが、最高級低燃費タイヤ・エコピアだ。ネクストリーは一本当たり、最安5千円台とお財布に優しい値付けになっている。

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しかし、残酷なもので値段の違いは性能の違いにテキメンに反映される。
テストの条件は同じだ。
直進路にて水深2mmのウエット路面に100km/hで進入し、パイロンで示したブレーキングポイントからABSが効くまでフルブレーキングを行う。
結果、その制動距離には5メートルの差が出た。
5メートルである。
この結果が何度テストを行っても(取材陣が同乗するために10回以上は繰り返している)変わらなかったことにも考えさせられる。

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5メートルあれば、追突を防げたかもしれない。誰かを傷つけなくても、大事な自分のクルマを傷付けなくても済んだかもしれない。充分に考慮の余地がある距離である。

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さらに同乗していて、ABSの効きが全く違うことにも驚いた。エコピアのほうはABSのゴゴゴ、という引っかかり感ある制動をほぼ感じずピタっと止まるのだけど、ネクストリーはゴゴゴゴゴゴゴゴッゴッゴ、という感じでダラダラ転がる。時間がかかるのだ。
それに、停止するまでなんだか左右にハンドルがブレる。ABSの、ブレーキを掴んだり離したりする時間が長くなるためにドライバーにも色んな負荷がかかってしまうようだ。
ちなみに、車内・車外ともに水を切り裂く音からして、エコピアは小さい。

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現在、ブリヂストンは日本自動車タイヤ協会の行うグレーディングシステム(等級制度)を採用し、わかりやすく性能を判断出来るマークを付けている。

単位(N/kN)単位(%)
がり抵抗
RRC
RRC≦6.5 AAA
6.6≦RRC≦7.7 AA
7.8≦RRC≦9.0 A
9.1≦RRC≦10.5 B
10.6≦RRC≦12.0 C
ウェットグリップ性能
G
155≦G a
140≦G≦154 b
125≦G≦139 c
110≦G≦124 d
(出展:一般社団法人 日本自動車タイヤ協会)

転がり抵抗係数とウエットグリップ性能をローマ字で現していて、その最高レベルを獲得しているのがエコピア様(AAA-a)というわけだ。対してネクストリーはA-c。ラベリング上だけで言っても、エコピアは究極の低燃費タイヤということになる。しかしお財布とも相談しなければいけない気持ちもよ〜くわかる。
この辺、消費者はきちんと自分に合ったタイヤを選ぶ必要がある。

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覚えておかなければいけないのは、たとえばネクストリーを履いているユーザーは「自分のウエットグリップ性能が、エコピアほどではない」と自覚しておくことにあるということだ。
「ブリヂストン履いてるから大丈夫」ではないのだ。もちろんエコピアユーザーも、過信は禁物である。
違うメーカーのタイヤを装着している皆さんは、一回このラベリング制度を確認し直してはいかがだろうか。そして自分のタイヤがどこにラベリングされていて、どんな運転が雨の日に必要なのか、ちょっと考えてみて欲しい。

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(コーナリング中のハイドロプレーニング)

そもそも、ハイドロプレーンというのは、タイヤの接地圧に水圧が勝ってしまい、地面からタイヤが浮き上がってしまう恐ろしい現象のことだ。一旦この状態になってしまったら、タイヤの溝に入り込んでしまった水が排出されるまでクルマはコントロールを失ってしまう。
これはなにも他人事ではない。皆さんが普段乗っているクルマだって、速度と進入する水たまりの深さによっては、その辺の道路で、しかも法定速度内で走行していたとしてもたやすく起こってしまう現象なのだ。経験したことはないだろうか。水たまりの上でふっとハンドルをとられるような感覚である。

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テストではラグジュアリー方面での同社製高級タイヤ『レグノ(REGNO)GR−XI』(転がり抵抗係数-ウエットグリップ性能:A-b)を使用し、かたや新品、かたや道路運送車両法の保安基準ギリギリの残溝1,6mmという摩耗タイヤで水深10mmの水たまりのあるカーブ(100R)に進入する。

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(左:新品タイヤ/右:摩耗タイヤ)        

これも結果は明らかだった。
正直言ってもう、ドライ路面を走っているときから車内には異音も響いて静粛性も低いのが摩耗タイヤなのであるが、水たまりに進入した瞬間に恐ろしいくらいにコントロールを失う。
摩耗タイヤは大きくラインを外し、コーナーの外側に飛び出した。

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(新品タイヤ・車内)
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(摩耗タイヤ・車内)

タイヤの溝というものは、なんのためにあるのかを考えて欲しい。
これ、路面とタイヤの間の水を排出するためでもあるのだ(もちろん耐摩耗性とか、ほかにもたくさん働きはあるけれど)。
ウエットグリップ性能だけに限って言えば、この溝でいかに効率よく排水し、グリップを確保するか。そう、新品ならしっかり存在している溝が、摩耗していけばどんどん浅くなっていく。排水機能も低下するのである。

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同乗の際にはこの、水たまりに進入した途端にグリップを失う振動も感じて背筋が凍った。これも、走行ラインで言えば軽くクルマ2〜3台分。もし対向車や分離帯があったなら...と考えると動悸が激しくなる。

ここでもユーザーは、「ウチのタイヤは高級タイヤだから」ではなく、目視できちんとタイヤの溝を確認しておく必要がある。また、見た目に摩耗していなくても、あまりに旧いタイヤはいけない。

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タイヤは奥様のお肌と同じで、使っていればカタくなっていく(はい、もちろん私自身も年々身にしみて実感しております、涙)。ゴムは柔らかくないと性能を発揮できないのだ。月日は色んな意味で残酷なんである。ぐすん。

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ご存知の通り同社は、タイヤ販売店では売って下さいとお願いしたって買わせてもらえない、スーパーフォーミュラやスーパーGTなんかで使用しているプロモータースポーツ用から、その辺のガソリンスタンドでも給油のついでにサラっと買える低燃費タイヤまで幅広く製造しており、そのラインナップが多岐に渡っているのはご存知の通りだ。
しかしどんなに優秀なタイヤを作ったって、買うのはユーザーなんである。
昨今、タイヤの開発は分子レベルで進んでいる。また、プロモータースポーツなどコンペティション部門からハイレベルなフィードバックも市販タイヤは得ている。
だからこそ、同じメーカーでもタイヤによって様々な味付けをされているのが事実で、その味付けの結果はあまりにも明確に現れる。

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この雨の時期に、自分の居住エリアと家族構成がどんなもので、自分のクルマにはどんなタイヤが最適なのか、きちんと検討してもらえたらとても嬉しい。

■ブリヂストン 公式サイト
http://tire.bridgestone.co.jp