ル・マン24時間レース、いよいよ開幕! まず4大メーカーのLMP1マシンを現地からご紹介
今週末に行われるル・マン24時間レース、その公式車検が6月7日に始まった。現地から届いた写真と共に、まずは総合優勝を争うトップカテゴリー「LMP1」クラスのマシンからご紹介しよう。

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現在はFIA世界耐久選手権(WEC)の第3戦としてシリーズに組み込まれているル・マンだが、その第1戦と第2戦は昨年のル・マン覇者、アウディが連勝を収めた。昨年からさらに空力性能を向上させた「R18 e-tron quattro」は、ミドシップ・マウントされた4.0リッターV6「TDI」直噴ディーゼル・ターボ・エンジンが後輪を駆動し、フロント・アクセルに搭載するモーター・ジェネレーター・ユニット(MGU)が前輪を駆動するという方式は昨年と同様。だが、そのモーターを回すために使える1周あたりのエネルギー放出量が、昨年の2MJ(メガ・ジュール)から4MJに変更され、MGUの最高出力も170kW(231ps)から200kW(272ps)に向上しているという。しかし、これにより燃料使用量はレギュレーションによってさらに制限され、前年より2.5%少なくなった。エンジンの最高出力は昨年の395kW(537ps)から410kW(558ps)に"最適化"されているとのこと。3台のこのマシンでアウディはル・マン6連覇、14回目の総合優勝を目指す。



2014年のWECシリーズ・チャンピオンを獲得したトヨタは、昨年のマシンを進化させた「TS040 HYBRID」でル・マン初優勝を狙う。こちらも空力性能が改善された上、サスペンションの設計も見直されているという。エンジンは最高出力383kW(520ps)以上を発揮する3.7リッターガソリン自然吸気V型8気筒。MGUは前後に搭載され(前アイシン・エィ・ダブリュ社製、後デンソー社製)、合わせて354kW(480ps)以上を発生する。スペック上は昨年と変わらず、最大エネルギー放出量も昨年と同じく6MJを採用し、熟成されたパワートレインで信頼性を武器にレースを戦い抜く考えだ。ただしトランスミッションは昨年型の6速から7速に多段化している。回生エネルギーの蓄積にはバッテリーよりも瞬時に電気の出し入れができる(代わりに蓄えられる電気の量が少ない)スーパーキャパシタを採用する。栄光のカー・ナンバー1と2を付けた2台のマシンに乗るドライバーには、前戦で背中を痛め出場が危ぶまれた中嶋一貴選手と、テスト兼リザーブ・ドライバーとして小林可夢偉選手という、2人の日本人元F1ドライバーの名前もある。


昨年、ワークス体制として26年ぶりとなるル・マン復帰を果たしたポルシェは、「919ハイブリッド」に搭載されたエネルギー回生システムの性能を、2014年型より約33%向上させることに成功したため、最大エネルギー放出量はレギュレーションで定められている最大の8MJを選択。500ps以上を発揮するというミドシップに積まれた2.0リッターV型4気筒ターボ・ガソリン・エンジンが後輪を駆動し、電気モーターが400ps以上を発生して前輪を駆動する。MGUがフロントアクスルの制動エネルギーを回生するだけでなく、排気ガスによる熱エネルギーから変換した電気も、液冷リチウムイオンバッテリーに蓄積される仕組みになっている。昨年のマシンに比べると、エアロダイナミクスとサスペンションの最適化によるハンドリング性能の向上や、大幅な軽量化と剛性・強度を高めることに成功したという。V型4気筒エンジンもほぼ新開発と言えるほど、大きく進化しているらしい。5月31日に行われた公式テストでは、ラップタイムの1位と2位を記録した。黒、白、赤をそれぞれベースとする3台の出場車両の中で、赤/白のカラーリングと「17」の数字は、1970年にポルシェのル・マン初優勝を成し遂げた「ザルツブルグ・ポルシェ 917 KH」へのトリビュート。


日産はユニークなフロント・エンジン/前輪駆動のマシン「Nissan GT-R LM NISMO」でル・マン参戦を発表したときから、今年最大の注目を集めている。とはいえ挑戦的なマシン開発は困難も多かったようで、WEC第1戦と第2戦は欠場し、今回のル・マンに向けて準備を整えてきた。長いフロントノーズの後端には約550psを発生する3.0リッターV型6気筒直噴ガソリン・ツインターボ・エンジンを搭載し、5速シーケンシャル・トランスミッションを介して前輪を駆動する。同じ前輪でエネルギー回生と駆動を行うハイブリッド・システムの最大エネルギー放出量は、最小クラスの2MJを選択した。他の3車が揃って前後とも31/71-18サイズのタイヤを履くのに対し、特異なGT-R LM NISMOは前31/71-16、後20/71-16という異径サイズの専用タイヤを装着。この辺りがレースでは1つの鍵となりそうだ。事前の公式テストではライバル達にラップタイムで20秒も差を付けられてしまったが、最高速度は出場車中トップの336km/hを記録した。色々な意味で楽しみなマシンだ。出場する3台のうち1台は、1990年にル・マンでポール・ポジションを獲得した「R90CK」と同じ青/白/赤のカラーリングが施されている



今週末13日〜14日に行われるレースを楽しみに待ちながら、まずはギャラリーにご用意した現地の写真で、少しでもル・マンの雰囲気を味わっていただければと思う。


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By Hirokazu Kusakabe
Photo Hideyuki Nakano

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