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スズキは6月3日、フルモデルチェンジした軽乗用車「アルト ラパン」を発表。同日より発売した。

2002年に発売された初代以来、アルト ラパンはユーザーの平均年齢が他社の軽乗用車に比べると若干高めというスズキの中にあって「(ユーザーの年齢が)最も低い大切なモデル」であるという。2008年に登場した2代目と併せて、これまで販売された約63万9千台のうち、女性ユーザーが90.2%を占め、さらに57.8%が20〜30代であるそうだ。3代目となる新型も、この層にどれだけ気に入って貰えるか、ということが開発の鍵となるのは当然と言えるだろう。これに向け、スズキでは20〜30代の女性数名で結成されたワーキンググループが、市場調査だけでなく、企画・デザイン・立案・開発の場面でも活躍。「女性がクルマの購入を考えるとき、まっさきに思い浮かべてもらえるクルマ」を目指したそうだ。



そのうちの1人からお話しをお聞きしたところ、「一目でラパンと分かる箱形はそのままで、どうしても丸くしたかった」とのこと。なるほど、初代や2代目と同様に直線基調のプロポーションを採用しながら、新型のデザインは角が巧みに丸められている。これをスズキでは「まる しかくい」と表現していた。その理由として「大学生など若い人からそういう声が多く聞かれたということですけど、おそらく現代的な流行という面もあるのではないでしょうか」と語ってくださった。エクステリアは可愛いだけでなく、先代に比べ空気抵抗も低減されており、大幅に向上した燃費(後述)の約6%は、このお陰だそうだ。丸型ヘッドライトは「輝く指輪」をイメージして内部まで造り込み、アルミホイールやホイールキャップは花びらがモチーフになっているという。



全8色が用意されるボディ・カラーの中でも、例えば「コフレピンクパールメタリック」という新色は「化粧品のイメージで、たくさんのネイルを集めてその中から選んだ色を参考に」したという。アルト ラパンには、これまで他のスズキ車でも使われている濃い目の「カシスピンクパールメタリック」というカラーも設定されている。男性の開発者には「ピンクは1つあればいいでしょう」と言われながらも、女性の意見を通したそうだ。これについてスズキの女性は「長く乗れる色にしたかった」と仰る。"飽きの来ない色"という意味ではない。つまり、若いときに購入して、オーナーが年齢を重ねても、"自分に合わなくなったりしない色"ということだそうだ。シルバーやガンメタリック、白、黒、紺などを選べば、同じカラーのクルマに18歳でも65歳でもあまり意識せずに乗っていられる男性とは、やはり感覚が違うようである。




インテリアは、"自分の部屋"として感じられるように、素材やデザインにこだわり、引き出しやテーブルを備えるなど、使い勝手も女性の意見を反映して作り込まれている。ベージュをベースとした内装には、グレードによってキルティングのようなキャメルと、チェック柄のブラウンを設定。エクステリアのボディ・カラーと、白いルーフや2色のモール(バンパーとホイールアーチの無塗装樹脂)の組み合わせも入れると、内外装のバリエーションは全部で44通りにもなる。メーター内のマルチインフォメーションディスプレイは、ドアの閉め忘れ、パーキングブレーキの解除忘れを教えるだけでなく、例えば誕生日にはメロディとアニメーションでお祝いしてくれるそうだ。上級グレードのエアコンには、肌や髪にやさしい弱酸性微粒子イオンを放出する「ナノイー」を搭載。オプションのメモリーナビゲーションは観光情報が充実した「るるぶDATA」を収録し、自車を真上から見ているように周囲が確認できる全方位モニターもセットで付く。



さて、ここからは(やっと)ハードウェアのお話。アルト ラパンの名前の通り、車体には昨年末に発表された新型「アルト」の軽量高剛性プラットフォームを採用し、車両重量は650kg〜730kgと、先代比15%の軽量化を果たしたという。全長3,395mm × 全幅1,475mm × 全高1,525mmというサイズは、先代より10mm高いだけ。実車を見ると少し大きくなったように感じるのだが、軽自動車という枠がある以上、実はほとんど変わっていない。ただしホイールベースは60mm延長されて2,460mmとなり、室内長は105mmも拡がった。Aピラーが若干寝かされたが、前席のヒップポイントは10mm引き上げられている。アルトよりルーフが高いこともあり、頭上スペースは想定ユーザーにとっては充分以上だろう。



スズキ最新の「R06A」型658cc直列3気筒エンジンは、最高出力52ps/6,500rpm、最大トルク6.4kgm/4,000rpmというスペックも含め、アルトと共通。トランスミッションは副変速機構付きCVTのほか、ベース・グレードにはマニュアルモード付き5速オートギアシフト(AGS)が採用されている。男性オーナーがカスタムの素材にしたくなるかも。全グレードとも前輪駆動と4輪駆動から選べる。CVT仕様のモデルには、減速エネルギーを利用する「エネチャージ」が全車に搭載されていることもあり、JC08モード燃費は先代の26.0km/Lから35.6km/Lに大幅向上した(前輪駆動車)。

なお、CVTは機械的にはアルトと同じだが、女性の意見を参考にシフト・プログラムが変更されているという。「エンジン音がうるさくないように」ということで、早めに高いギア比を選ぶ設定になっているらしい。ボンネット裏など、吸音材・遮音材の類もアルトより増やされている。



前マクファーソン・ストラット式、後トーションビーム式(4WD車はI.T.L.)というサスペンションも基本はアルトと共有するが、アルト ラパンは14インチ・ホイールに155/65R14タイヤを履くため(アルトは13インチまたは15インチ)、当然これに合わせて調整されているという。乗り心地も女性の意見を聞いてチューニングしているそうだ。

レーザーレーダーによって前方車両を検知する衝突被害軽減ブレーキ「レーダーブレーキサポート」は、全車に標準装備。同じスズキの軽自動車でも「スペーシア」にはステレオカメラを使った「デュアルカメラブレーキサポート」が搭載されているが、アルト ラパンへの採用は見送られた。アルトの派生モデルとして、また20〜30代の女性のプライベートカーとして、車両価格を抑えることが優先されたと見るべきか。

消費税込み価格は、5速AGSを搭載するベース・グレード「G」の前輪駆動車が107万7,840円から、最上級グレード「X」の4輪駆動車の149万2,560円まで。




実車を見ると、可愛いだけでなく質感の高さすら感じられ、クルマとしてなかなか魅力的だと個人的には思った。四隅に車輪を配置した、オーバーハングの短いプロポーションや、無塗装樹脂を使ったホイールアーチなど、クルマ好きの心をくすぐる要素も盛り込まれているように思える。女性向けだけではもったいない。バンパーとグリルを替えれば、クラシック調にもスポーティにもカスタムできそうだ。あぁそれなのに、開発アシスタントCEを務めた藤田拓史氏にお訊きしたところ、初代にラインアップされていた「アルト ラパン SS」のようなターボ・エンジン搭載モデルの計画は「今のところ、本当にない」そうだ。残念。「エンジンとシャシーはアルト ターボRSをベースに、外観は黒いメッシュグリルとフォグランプを付けてホイールを替えるだけでいいので、是非またSSを復活させてください」とお願いしてみると、笑いながら「そういう意見があることを伝えておきます」と言ってくださった。期待していますよ、本当に。


スズキ 公式サイト:「アルト ラパン」
http://www.suzuki.co.jp/car/lapin/


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By Hirokazu Kusakabe

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