マクラーレン・オートモーティブは22日、限定生産モデル「675LT」の日本市場導入を発表。東京都内でプレス・カンファレンスを開催し、実車を公開した。

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2015年3月のジュネーブ・モーターショーで発表された675LTは、その前年に登場したマクラーレンの「650S」をベースに、よりサーキット志向を強めた高性能モデル。全世界向け500台のみが限定生産される。

今回の記者発表会では、英国のマクラーレン本社からプログラム・マネージャーを務めるマーク・ゲイドン氏が来日し、675LTについて説明した。

まずはその車名から。「LT」とは「ロングテール」の略であり、1997年のレースを戦うために開発された伝説的なスーパーカー「マクラーレン F1 GTR」のニックネームに因んでいる。1995年のル・マン24時間レース初出場で総合優勝に輝いたマクラーレン F1のレース仕様車は、後から出たライバルに対抗するため、1997年シーズンに向けて空力性能を上げる目的でボディを新設計する。初期型よりも長く伸びたリアエンドのスタイルから「ロングテール」と呼ばれるモデルだ。675LTはその精神を受け継ぎ、ロードカーとしての法規基準を満たしながら、サーキット向けの性格を誇示するように「LT」と名付けられた。ボディのリア・エンドには、650Sより50%大型化されたアクティブ"ロングテール"エアブレーキが装備されているものの、全長は650Sに比べ、特に長く伸びているわけではない。

"純粋なドライバーズ・カー"として、650Sから強化が図られた点は、ゲイドン氏によれば「パフォーマンス」「ダウンフォース向上を含むエアロダイナミクスの最適化」「ドライバーとの一体感の向上」「パワーアップと軽量化」。これらを実現するため、パワートレインで50%、車両全体では33%のコンポーネントが650Sから変更されたという。




ボディはカーボンファイバー製パネルが多用され、ウインドスクリーンは薄く、エンジンカバーはポリカーボネイト製とすることで、35%軽量化された。シャシーはサスペンションを新設計し、マクラーレンの中で最も軽量なホイール・セットを装着。インテリアは防音・防振材とカーペットが省略され、軽量なスポーツシート(エアバッグと共に話題のタカタ製だとか)を標準装備とし、サーキット走行向けと割り切るオーナーのためにエアコンディショナーは取り外された(ただし、追加料金なしで装着することも可能だという)。トリムもレザーより軽量で滑りにくいアラカンターラが採用されている。ロールフープはクラス最軽量のチタン製。これらの徹底した軽量化によって、650Sより100kgも軽い乾燥重量1,230kgを実現したという。ハーネス(電線類)まで見直され、電気系だけで5%軽量化に貢献しているそうだ。



エンジンは軽量コネクティングロッドや新型カムシャフトなどの採用と同時に、フローレートがより高い新型ターボチャージャーも搭載し、燃料供給の高速化、チタン製エキゾーストの採用、シリンダーヘッドの設計見直しなど、軽量化と共にパワーアップと応答性の向上が図られた。大幅な改良により「M838TL」という新たなコードネームが与えられた3.8リッターV型8気筒ツインターボの最高出力は、車名の数字が表す通り、650psから675psに引き上げられ、最大トルクも678Nm(69.1kgm)から700Nm(71.4kgm)に増強。ソフトウェアを書き換えることでシフトチェンジに要する速度が向上した7速デュアルクラッチ式「SSG」トランスミッションを介して後輪を駆動し、0-100km/hを2.9秒、0-200km/hを7.9秒で加速する。



パワートレインの設定は、ドライバーが「ノーマル」「スポーツ」「トラック」の3通りから選択できる。「ノーマル」はゲイドン氏によれば「日常的な運転や冬のドライブ向け」で、「スポーツ」は「最も楽しい、ドライバーとクルマの一体感が味わえるモード」だとか。このモードではエンジンの回転数を急速に落とす「イグニシッョンカット・テクノロジー」が機能し、シリンダー内の燃料を再発火するときに「クラック音が発生する」そうだ。「トラック」モードはサーキット走行向けで、低回転域を少々犠牲にして、コース上で最も必要なパワーバンドが使えるトルクカーブになるという。また、このモードでは「イナーシャプッシュ機能」が作動し、パワートレインの残留トルクを利用してエンジンのトルクを急激に起ち上げることができる。ゲイドン氏によれば「常に加速が増していくような感覚」が味わえるそうだ。ESCも自由度の高いスライド・コントロールが可能になる。




カーボンファイバー製となったフロント・バンパーには、同じくカーボンファイバー製のスプリッターが装着され、サイドスカートを通って空気はサイド・ラジエーターへ導かれる。重量を増加させずに冷却性能を高めるため、メインラジエーターの角度が変更されたそうだ。リアエンドはカバーが外され、2本のチタン製丸型エキゾースト・テールパイプが剥き出しで備わる。排気音は650Sより高いピッチなので、聞き分けられるというが、まあ、650Sと675LTが同時に走る場面に運良く立ち会うことが出来ればの話。ボディから突き出た大型のディフューザーによって、650Sより少しだけ「ロングテール」になっている。ダウンフォースは全体で40%アップしているとのこと。

前後トレッドは20mm拡大され、ピレリ製「Pゼロ トロフェオR」タイヤはグリップが6%向上しているという。車高はフロントが20mmダウン、リアは逆に5mmアップ。ステアリング・ギアボックスのギア比も15%速められている。エンジンとトランスミッションのマウントが強化されているため、ステアリング、シート、ペダルからよりダイレクトにパワートレインを感じることができるそうだ。



675LTは全世界向けに500台のみが限定生産され、そのうち日本では8%の販売を見込んでいるという。照明の関係で写真では分かり難いが、展示車のボディ・カラーは「シケイン」と名付けられた絶妙なトーンのグレーだった。他に「ネイピア・グリーン」「デルタ・レッド」「シリカ・ホワイト」そして「マクラーレン・オレンジ」の5色が「ヒーロー・スペック」という推奨色として設定されている。が、オーナーは全19色から自由に選べるそうだ。日本市場における消費税込み価格は4,353万4,000円。650Sより1千万円以上高い金額の価値が分かる(そして払える)人へ。

マクラーレン東京 公式サイト
http://www.tokyo.mclaren.com/



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By Hirokazu Kusakabe

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