cadillac ESCALADE

あまりに見たままだから言いたかないけど、やっぱりデカい。本当にデカい!
しかしそのデカさからくる言いようのない迫力はどうしたことか。
鎌倉の大仏を見て感激するように、富士山が神格化されてきたように、やっぱちっぽけな人間にとって、太古の昔よりデカいことはエライことなんである。

cadillac ESCALADE zcadillac ESCALADE

それを身を以て実感するのがエスカレードを目前にしたときで、普段はやれダウンサイジングがイイやらコンパクトカーが好きやらのたまっている私ですらも、この押し出ししか感じさせないアメリカン・ラグジュアリーの頂点を体感してしまうと、とたんにその桁外れのゴージャスさに、恥ずかしいくらい一気にメロメロになっちゃう。

cadillac ESCALADE

サイズだけじゃない、エスカレードの神髄はやはり内装にあって、身体をすっぽりと包むエレガントなたっぷりサイズシートやウッドを多用した暖かみのあるコンソール、張り巡らされたBOSEのサウンドシステムに後席のエンタテイメントシステムは専用のヘッドセット付き。極め付きマッサージ機能も!

cadillac ESCALADE cadillac ESCALADE
cadillac ESCALADE

実るほど頭を垂れることが美徳とされる日本においてはそれを良しとしない謙虚な風潮があって、こんな風な弩級のオラオラ感には眉をしかめられてしまうこともままある。



しかし彼の地アメリカは、成功者が成功者として富を地位を財産を、オープンにひけらかすことがステイタス。豊かな国土からなるたっぷりサイズの駐車場や道路などの交通環境も手伝って、デカくてリッチなこんなクルマを必要とするマーケットは決して小さいものではない。

cadillac ESCALADE cadillac ESCALADE

それを証拠にエスカレードは顧客リストがすごいのだ。ハイエンドなクルマを複数台所有するのが当たり前というハリウッド系ムービースターやTVスターはもちろんのこと、究極言っちゃうと歴代大統領の護送車として選ばれているのだから、リストのセレブ指数は並のレベルじゃない。

cadillac ESCALADE cadillac ESCALADE

そしてエスカレードはそんなセレブリティーと、ともに歩んで来た経歴を持つ。代を重ねるごとにどんどん進化していくインテリア、装備、そして外観など、顧客であるセレブリティー本人からのナマの要望を汲み取って、ブラッシュアップを図っている。贅を知り尽くしたアメリカン・セレブの要求を盛り込んだクルマ......そりゃ、すごいに決まっている。

cadillac ESCALADE

しかも今回その迫力をさらに横方向に強調すべく、エクステリアデザインが一新された。
大袈裟ではなく私の顔よりも大きい縦型ヘッドライトはトーテムポールのように5連のクリスタルレンズ(もちろんLEDランプ内蔵)を積み上げて、夜の六本木にも負けないギラっとしたものに。アイコンであるキャデラック・クレストもさらに横方向に伸びのあるデザインに変更された。

cadillac ESCALADE cadillac ESCALADE

リアに回り込んでもすごい。往年のキャディを彷彿とさせるテールフィンモチーフを採用していて、まあ、とにかくアメリキャ〜ン!なドヤ感をそこいらじゅうにふりまくすんごい仕上がりになっている。

cadillac ESCALADE

そんなエスカレードには一応SUVというカテゴライズがなされているのだが、ここのところのトレンドを一手に引き受けている欧州系のSUVをイメージすると、走行に関してはかなり勝手が違うことになる。アメリカンのソレと欧州のソレはそもそも用途が違うし、"オンロード"というものへの考え方の差にも開きがある。これらは別のモノだと考えた方が、使い勝手的にもドライブフィール的にも合点がいくとおもう。
それはキャデラックが近年、グローバルに向けた販売戦略の一環として、セダンを軒並みドイツ車よりもドイツらしく、スパルタンな乗り味に鍛え上げている現在においても変わりはない。
エスカレードはアメリカンの神髄らしく、もっともアメリカンな味を残しているキャデラックなのだ。
Related Gallery:cadillac ESCALADE

試乗シーンは早春の軽井沢。観光客もまばらで、平日の道路はガラガラに空いている。しかし、古くから避暑地として栄えて来た軽井沢は、意外になほどに道幅が狭い。旧規格で作られている道路もまだ多く残っているのだ。

cadillac ESCALADE cadillac ESCALADE

ところが、よっこいしょ、とまるで小山によじ登るかの勢いでドライバーズシートに乗り込めば、アイポイントが高いので意外なほどに取り回しに不安はない。むろん、いくら見通しがよくたってボディサイズがコレだから、相互通行の細い道路では行き違いにヒヤっとすることもなくはない。

cadillac ESCALADE

しかし、上空から自車を見下ろすかのような、360度をナビゲーション画面に映し出すサラウンドビジョンも手伝って、駐車は至極スムーズ。一旦サイズ感に慣れてコツを掴んでしまえば、思った以上に取り回せるかと思う。とはいえ迷宮並みに入り組んだ世田谷区なんかでこのクルマを買うとなると、色々制限は多そうではあるが、少なくとも軽井沢あたりでは想像よりもはるかに快適だったことを報告しておきたい。

cadillac ESCALADE cadillac ESCALADE

搭載されているのは第五世代となる6,2リッターV8のOHVエンジンで、それだけを聞くとダウンサイジング真っ盛りの今にあってさすがアメリカン、我が道行くなあ!とそのスペック上の大排気量にオールドファンは感激もしようが、実はエスカレードだって押し寄せる環境の波への対処は行っている。

cadillac ESCALADE

この第五世代エンジンの特徴は軽量化。コルベットと同じものが使用され、スモールブロック化がなされているのだ。しかも先代から高速走行時などには気筒休止システムが採用されているが、この世代からはもっと頻繁にこの休止が行われるよう改良をなされた。
とはいえパフォーマンスは正当進化を遂げていて、出力は先代比4%UPの426psを5600rpmで発生させる弩級の数値。最大トルクも623Nmと10%の向上がなされているから、ここだけの話ちょっとくらい気筒休止したってアレな気もするのだが、過去、「ガソリンを撒いて走っているよう」と言われた世代の超大食いエンジンではないことは確か。この車格に対しては登坂の多いタフな道を選択したのだが、メーター内の平均燃費計は6km/L前後とそう悪くない数値を叩いたのは朗報と受け取るべきだ。ちなみに公式発表によればハイウェイ燃費で8,9km/L(EPA推定値)。従来モデルよりも17%向上しているという。

cadillac ESCALADE cadillac ESCALADE

というのもですよ、いきなり敬語になりましたけども、思わずあらたまってしまうくらいにすんごいのですよ、加速が!この燃費を考えたらこの数値、かなり優秀だと唸る。
さすが426psの数値は伊達じゃない。この小山のようなボディをして、アクセルを踏み込むと後ろから蹴られたような加速が始まってしまうのだ。しつこいようだがこのボディサイズである。重量は2,6トン越えと、乗用車としては最重量級なのであるが、その巨体をもグイングインと軽々と動かすのだからタフなエンジンだ。

cadillac ESCALADE

そのパワーに対して、挙動はあくまでもアメリカンらしい味付けを残してある鷹揚なもの。これだけの重量級だからこそ、鷹揚に味付けるのが自然なのかもしれない。
コーナーに入ると、ステアリングの舵角にややダルめに反応して、鼻先がゆっくりと向きを変えて行く。荷重の移動にワンテンポ遅れるような感じで舵が入るイメージだ。ブレーキもさほど反応がいいものではないから、停止や減速を見越して早めにペダルを踏んでおく必要がある。そう、いくら馬力がスゴイからって、そもそもすっ飛ばすようなクルマではないのだ。無理して振り回したら、扱いきれなくなった自分にしっぺ返しが来てしまう(ex,止まれない、曲がれない)ことを肝に命じつつ、スペックの半分以下でタラっとクルーズするのが向いている。

cadillac ESCALADE

減衰力可変ダンパーのマグネティックライドコントロールが採用されたり、リアトレッドを拡大して安定感を高めたり、また剛性感を高めるために新型マウントを採用したりと、走行の質感の向上はなされているため、往年の"アメ車"のようにぶわぶわと直進が安定しないようなフィールはない。その辺も近代的に乗りやすく進化している。ただし285/45R22という大径サイズのタイヤを装着しているために、見た目や雰囲気から察せられるほどフラットな乗り味はない。BOSEのノイズキャンセラーが効果的に機能して、静粛性は保たれているけれど、路面のギャップや荒れなどはワリに繊細に拾う。

cadillac ESCALADE cadillac ESCALADE

近代的といえば、安全系の充実はこの車格に乗るときには信頼感を最も感じられるものではないだろうか。先に発表されたコンパクトセダンATSと同等の安全設備が採用されているのが特徴で、自動ブレーキや前方衝突への警告機能、レーンデパーチャーアラートなどが盛り込まれている。
キャデラックではそれらのアラートを、ドライバーズシートを振動させ伝えるのが特徴で、同乗者にも不安を与えかねない警告音を出さずドライバーだけに注意を喚起するというのは結果、円満なドライブにも貢献するのではないかと思う。だってピーピーいうの、恥ずかしいでしょう。しかも最も多くの面積を車輛とシェアしているお尻を揺らす、というのは理に適っている。
セレブが乗るクルマは、セレブを守るクルマでもあるのだ。

cadillac ESCALADE cadillac ESCALADE

確かに持てるひとを選ぶクルマではある。しかし、どう考えてもコレをジェントルに操って迎えに来てくれる人がいたら...大概コロっといきますって。

■キャディラック 公式サイト
http://www.cadillacjapan.com