ホンダは23日、5代目となる新型「ステップ ワゴン」および「ステップ ワゴン スパーダ」を発表。24日より販売開始する。

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まだ乗用車として開発された"ミニバン"というものがそれほど一般的でなかった1996年、初代ステップ ワゴンは発売された。5ナンバー・サイズながら3列シートと広々とした室内を持つこのクルマで、「ユーティリティ・ミニバン」という新しい価値、そして「日本の家族が求めるクルマを提案」してきたとホンダは言う。今では他社製ライバルも増えたこのジャンルにおける先駆者としての自負と共に、新型ステップ ワゴンでホンダは「3つの新たな価値」を提案するという。

その1つ目は、「ミニバンに今までにない新たな便利さ、楽しさを提供する」という「わくわくゲート」と呼ばれる後部ドア。従来のように上ヒンジで縦に開くテールゲートだけでなく、左から3分の2ほどの部分が横にも開くサブドアが設けられている。観音開きとは逆に、わざわざ複雑なヒンジ構造をバックドア内に収めて車体の外側から開く設定とした理由は、道路の路肩に停車している時などに歩道側から開けられるように、そして後方に壁や他のクルマがある駐車場などでは開けるためにわざわざ人がドアの向こう側へ回らなくても済むように、との配慮から。さらに3列目のシートは左右別々に、外からも内からも簡単にたたんで床下に格納できる「マジックシート」となっており、床面をフラットにして荷室として使うことが出来るだけでなく、これを倒して横開きドアから車内に乗り込み、中からシートを起こしてそこに座ることも出来る。これら2つの機能的アイディアを組み合わせたことにより、3列目シートの使い勝手が大いに向上したと言えるだろう。後ろから乗り降りしやすいように、床面も先代より85mm低くなっているという。文章で説明しても分かり難いと思うので、文末にご紹介している動画で(57分辺りから)ご覧いただければと思う。



2つ目は、ホンダの市販車で初めて採用される1.5リッター直噴4気筒VTECターボ・エンジン。先代の自然吸気2.0リッター直列4気筒から排気量は"ダウンサイジング"されたが、最高出力は同じ150psを、より低い5,000rpmで発揮し、最大トルクは20.7kgmへ1kgmほど向上、しかも1,600rpmという低回転から発生する。燃費も従来型を上回り、ベース・グレード「B」と中間グレード「G」のFF車ではJC08モードで17.0km/Lというクラストップ・レベルの燃費性能を達成した。トランスミッションはダウンサイジング・ターボに最適化したというCVT。前輪駆動のほか、家族を乗せるミニバンに合わせて専用セッティングを施した「リアルタイムAWD<インテリジェント・コントロール・システム>」を採用する4輪駆動も用意されている。

なぜ、「フィット」などに採用されているハイブリッドを設定しなかったのか、という質問が発表会場の記者席から寄せられたが、本田技研工業の峯川 尚 専務執行役員 日本本部長によれば、ステップ ワゴンの顧客は「若くて家族の多い方が多いため、トータルの価格が重要」であり、ハイブリッドにすると「三十数万円、売価が上がってしまう」ので、見送ったとのこと。この件について本田技術研究所の方に訊いてみると、「モーター内蔵DCT自体はエンジン・ルームに積めなくはないが、問題はバッテリーをどこに搭載するか。例えば床下に積むと、マジックシートが使えなくなる可能性が高い。冷却の配管をどう取り回すかという問題もあります。利便性を重視したパッケージングや機能を犠牲にしないで、ハイブリッドを採用するのはかなり難しいのではないかと思います」とのことだった。遅れて登場するという可能性も今のところは薄いようだ。



そして3つ目の新たな提案とは、「Honda SENSING」と呼ばれる先進安全運転支援システムの採用。新型ステップ ワゴンではミリ波レーダーと単眼カメラという2種類のセンサーを使い、「衝突軽減ブレーキ(CMBS)」「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」「LKAS(車線維持支援システム)」「路外逸脱抑制機能」「誤発進抑制機能」「先行車発進お知らせ機能」「標識認識機能」という7つの先進機能が全車に(ただし「B」の8人乗りでは選べないようだ)オプションで装備可能。なぜ標準装備しないのかという質問に対して峯川専務は、これまで他の車種で装着を強化してきたところ、「こういうものを求めない方もおられるということが見えて来た」からと答えている。「お客様の方でお選びいただけるようにした」そうだ。




車体サイズに関しては、全長4,690mmと全幅1,695mmは先代と変わらないが、ホイールベースが35mm延長されて2,890mmに、全高は25mm拡大して1,840mm(FF車)となった。これによって足元や頭上のスペースが拡がり、1列目や2列目はもちろん、3列目シートでもゆったりとくつろげる「全席快適空間」を作り上げたという。これを実現するためエンジン・ルームは先代より40mm短縮されたそうで、写真をご覧になればお分かりのように、1.5リッター・エンジンは前後にちょっと窮屈そうだ。排気量が小さくなったわりに車両重量はやや増加しているのだが、これはわくわくゲートを装備するためテールゲートの剛性が強化されたことや、装備の充実などが理由であり、ボディ骨格やドアなどは従来型より軽量化されているという。エンジンもダウンサイジングしたとはいえ同じ4気筒であり、インタークーラーなどの補機類はむしろ増えている。



アグレッシブな"もう1つのステップ ワゴン"、「SPADA(スパーダ)」はフロントノーズが45mm長いため、全長4,735mmとなり3ナンバー・サイズになった。テールゲート・スポイラーやサイドスカートなど、エクステリアに装着されたエアロパーツは「見せ掛けのファッション性だけではない空力性能」を発揮するという。フロントがマクファーソン式、リアは車軸式(4WD車はド・ディオン式)のサスペンションも、スパーダには専用の高剛性ハブベアリングと専用セッティングが施されたダンパーが採用されている。



また、新型ステップ ワゴンには多彩な福祉車両がラインアップされることも特徴で、2台の車いすが乗車可能なタイプをはじめ全3タイプの車いす仕様車(2015年夏発売予定)と、サイドリフトアップシート車および助手席リフトアップシート車も用意される。ホンダによれば「ご高齢の方も、障害のある方も、一緒に楽しく出掛けられるように」「介護する人も介護される人も、皆で外に飛び出そう!」という思いが込められているそうだ。

消費税込み価格は、ベーシックな「B」のFF車が228万8,000円(ただしこのグレードは「わくわくゲート」が装備されない)から、「SPADA・Cool Sprit」4WD車の308万1,400円まで。先代と異なり、2列目シートは左右独立の「キャプテンシート」が標準で、8名乗車が可能となる「6:4分割ベンチシート」はメーカーオプションという設定だ。発表会場前にはホンダアクセスの純正アクセサリを組み込んだ「モデューロ」仕様と、無限(M-TEC)がカスタマイズした車両も展示されていた。



ユニークでいかにも便利そうな「わくわくゲート」は是非、販売店で実際にお試しいただきたいと思うが、エンジニアの方によれば「ホンダのクルマですから、走りも是非試して欲しい」とのこと。「低回転では2.4リッター・エンジン並みのトルクを発揮する」1.5リッターVTECターボだけでなく、リアのトレッドを25mm拡大するなど、改良が施されたシャシー、足回りも含めた走りの良さにも大いに自信があるそうだ。詳しい情報は以下のURLから公式サイトをご参照いただきたい。


ホンダ 公式サイト:「ステップ ワゴン」
http://www.honda.co.jp/STEPWGN/





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By Hirokazu Kusakabe

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