常に進化を続けた三菱「ランサーエボリューション」のこれが最終限定モデル!
4月11日・12日に開催された「モータースポーツジャパン2015 フェスティバル イン お台場」の会場で、三菱自動車は「ランサーエボリューション ファイナルエディション」を一般公開した。世界ラリー選手権を戦うため、「ランサー」の4ドア・セダンに高性能ターボ・エンジンと4輪駆動システムを搭載した"ランエボ"の歴史に終止符を打つ最終モデルとして、日本では429万8,400円という価格(消費税込み)で1,000台のみが限定販売される。開発を担当された三菱自動車の方にお話を伺った。


これまで販売されて来た「ランサーエボリューションX」との違いは何でしょう?

「一番大きな違いは、新たに排気バルブにナトリウム封入バルブを採用したことで、エンジンの最高出力が上がっていることです。具体的な数値はまだ発表できないんですが...」

1,000台のためにそれを開発したのですか?

「日本では1,000台ですけれど、世界各国で販売される台数を合わせればもっと多いので(笑)。いや、ナトリウム封入バルブというのは随分前から開発していたんですけど、なかなか投入するタイミングがなかった。ようやく採用できたのが、最後のモデルになってしまったわけですけれど...」

それだけでパワーが上がるものなのですか?

「今までの300psという最高出力は、耐熱性のマージンを見込んでそこで抑えていたわけです。ランサーエボリューションは一般に市販されるクルマですから、お客様に何年も乗っていただけるような信頼性、耐久性を確保しなければなりません。それが今回、ナトリウム封入バルブを採用したことで冷却性能が高まり、もう少し上げても大丈夫ということになりました」

ナトリウム封入バルブという言葉は他車でもよく聞きますが、ランサーエボリューションにはこれまで採用されていなかったのですか?

「ナトリウム封入バルブというもの自体は、エボリューションIX(ナイン)までのモデルにも採用されていたのですが、X(テン)になったとき、エンジンがそれまでの4G63型から新開発の4B11型へ替わりまして、そのときもう使わなくても充分なパワーが出せるということで一度採用を止めたのです。ただ、従来はバルブの支柱の部分にしかナトリウムが入っていなかったんですけど、今回は傘の部分にまで入っているため、より冷却性能が上がり軽量にもなっています」

では最後にこれでもう"やり切った"という感じですか?(笑)

「毎回、完成したときにはやり切ったと思うのですが、ランサーエボリューションというクルマは完成したらすぐにそれを否定して、次に出来ることを探すという姿勢で開発して来ましたので...」

なるほど、この車名は"ランサーのエボリューション・モデル"というだけでなく、常に"エボリューション(進化)"していくという意味もあるわけですね。

「まさにそうですね」

実際にこれまで"ワン"から"テン"まで進化して来たわけですが、ということは既に"イレブン"に関してもやりたいことはあったわけですか?

「アイテムとしては、色々とアイディアを持っていました」

今後はランサー(日本では「ギャランフォルティス」)というベース車から離れて、別のクルマでエボリューション・モデルを造るという予定は?

「可能性としてはあるでしょう。けれど、こういうガソリン・エンジンの高性能モデルとしてのエボリューションは、これで打ち止めとなります」

残念ですね...。でもこのランエボで培われた技術は、他の三菱車にきっと受け継がれていくわけですね?

「そうなります。例えばもう既にアウトランダーにはS-AWC(Super All Wheel Control)の技術が入っていますから、お乗りになれば分かると思うんですけど、例えば高速道路のジャンクションなんかで高速で旋回してもすごく安定していますよ」





エンジン以外で、ファイナルエディションの特徴は?

「従来はオプションとして設定されていたハイパフォーマンスパッケージ(ビルシュタイン製ショックアブソーバー、アイバッハ製コイルスプリング、ブレンボ製ブレーキ、ヨコハマ製245/40R18高性能タイヤ)が標準装備となります。BBS製ホイールもデザインはこれまでと一緒ですが、色が特別にダーククロム塗装となり、真ん中のBBSのロゴもゴールドにしました。あと、この展示車は違うんですけど、今回はルーフをブラックマイカ塗装で塗り分ける2トーンカラーをご用意しましたので、それに合わせてボンネットのアウトレットやフロント・バンパーのセンターをグロスブラックで塗装しました。これによって、前から見るとボディのセンター部分がひとつながりに見え、また重心も低く見えるようになっています」

インテリアは?

「こちらもオプションのレカロ製レザーコンビネーションシートを標準で装備しましたが、ファイナルエディションでは特別にレカロのロゴを赤で刺繍して、ステアリングやシフトノブなどに赤いステッチを入れています。これが引き立つように、ルーフライナーとピラーの内側をブラックにしました。センターコンソールにはシリアル・ナンバーが刻まれたプレートが装着されます」

なるほど。それほどコストを掛けずに効果的に見えることを、デザイナーの方が色々と工夫されたようですね(笑)。

「仰るとおり、限られたリソースで頑張りました(笑)」

ご自身のお薦めのボディ・カラーはどれですか?

「個人的にはファントムブラックパールの2トーンですね。発売当初から専用で用意した拘りのカラーなんです。同じブラックでもルーフはマイカなので、よく見ると塗り分けられていることが分かるし、周囲の明るさによってはブラック一色にも見えます」

1,000台限定はもうすでに売れ切れという噂もありますが。

正式発表は昨日(4月10日)でしたので、それから注文を受け付けているはずですから、今のところどのくらい受注が入ったかはちょっと分からないですけど...。すぐに完売するかも知れないし、発売となる8月になってもまだ残っているかも知れないし。我々としては瞬時に完売して"伝説"となって欲しいですけど(笑)」




これまでAutoblogでは、米国版の翻訳記事で何度もランサーエボリューションについての情報をご紹介して来たように、彼の地ではひょっとしたら日本以上に"Evo"の人気は高い。三菱の方からお聞きした話によると、あちらでは販売店が注文を受けてから車両を手配するのではなく、在庫車両の中から販売するのが一般的だそうで、あるオーナーは道で偶然すれ違った積載車にランサーエボリューションが積まれているのを見付けると、それを販売店まで追い掛けて行って「これをくれ!」と言って手に入れたそうである。

1992年に初代モデルが登場して以来、23年間に及ぶ歴史の中では、メーカーに"リコール隠し"と呼ばれた不祥事もあり、市場で三菱車の存在感が薄れてしまうようなことになっても、ランサーエボリューションだけは常にその進化の姿勢によって、ファンからの支持を失うことは決してなかった。ラリーやレースで数えきれないほどの勝ち星を挙げただけでなく、驚異のパフォーマンス/プライス・レシオの高さから、その何万倍ものクルマ好きに愛された、間違いなく日本が世界に誇れるクルマの1つである。8月より幸運なオーナーの元に届けられる予定のファイナルエディションも、きっと末永く愛され続けることだろう。最後まで"エボリューション"を止めなかった稀代の名車と開発陣の方々に、心から「お疲れ様でした」と言わせていただきたい。


ランサーエボリューション スペシャルサイト
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/evo/special/final_2015/



By Hirokazu Kusakabe

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