YZF-R1

ヤマハ・スーパースポーツのトップエンドモデル「YZF-R1」が、2015年モデルで大きく変わった。今春の大阪&東京モーターサイクルショーでもひときわ注目されていた噂のニューマシンだ。

速さを徹底追求した結果、開発の軸足をサーキットに置いたことで、Moto GPマシン「YZR-M1」からの影響がこれまで以上に多い。"M1"が培ってきたレーシングテクノロジーを全身に受け継いだ、正真正銘のピュアスポーツとして生まれ変わっている。
YZF-R1
まず、スタイリングから見ていこう。言うまでもないだろう、"M1"にそっくりだ! "Speed Racer"をコンセプトに水平基調のデザインとしたカウルは表面積を最小化し、軽量・スリム・コンパクトを実現。フロントマスクは、歴代"R1"のデュアルライトを受け継ぐものの、ヘッドライトの存在を感じさせないレーサールックへと一新。センターダクトをはじめ、中央が高いカウルやスクリーン、幅広のシートなど「YZR-M1」のエッセンスをそのまま採り入れた。
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コンパクトな新エンジンを活かした前面投影面積を小さく抑えたデザイン。空気抵抗を極限まで小さくし、高性能を追求。エンジンの幅を34mm狭めたことで、車幅が25mmスリムになっている。

YZF-R1
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もちろん外観だけではない。新設計のエンジンにもまた「YZR-M1」のテクノロジーが惜しみなく投入されている。吸入空気量を向上し、ポンピングロスの低減を徹底した998cc水冷4ストローク直列4気筒4バルブ・クロスプレーン型クランクシャフトエンジンは、自然吸気としてはトップレベルの200psを発揮。2014年型と比較するとパワーは約18psの上乗せ、エンジン単体重量では約4kg軽量化を果たし、エンジン幅は34mmスリムに仕上がっている。クラッチは14年型より7%小型化され、19%の軽量化を実現した「アシスト&スリッパークラッチ」を採用した。

YZF-R1

吸排気バルブの駆動には、YZF-Rシリーズ初となるロッカーアーム駆動方式を導入。ロッカーアーム摺動部にはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングが施され、低フリクション化することで優れたバルブ追従性を確保した。

YZF-R1

クラッチは「アシスト&スリッパークラッチ」を採用。小径で軽量ながら、高出力に見合ったクラッチ容量を確保できる。2014年型と比べ、19%の軽量化と、約7%の小径化を実現した。

燃料供給システムはスロットルバルブ駆動を「YCC-T」(ヤマハ電子制御スロットル)で制御し、バルブの傘裏を狙って燃料を噴射する2方向・12孔ツインインジェクターを採用。燃焼室での燃焼速度が向上され、優れた出力・トルク特性に貢献する。

YZF-R1

高回転でのスムーズ感をいっそう演出する可変式エアファンネル「YCC-I」(ヤマハ電子制御インテーク)。回転数やスロットル開度に応じファンネル長をロング/ショートに切り替える。

走行風圧をエアクリーナーボックス加圧に積極活用する「フォースド・エア・インテーク」もYZR-M1の技術を反映したもの。ガラス繊維を織込んだ軽量樹脂製ダクトからステアリングパイプ部へと貫通する構造で、新気吸入効率を高める。

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「IMU」(Inertial Measurement Unit)と呼ばれ、3次元的な車両の動きを検知する6軸センサーも新型R1の注目点。ピッチ、ロール、ヨー方向の回転の動きを検出するジャイロセンサーと、前後、上下、左右、各方向の加速度を検出するGセンサー(加速度センサー)を組み合わせたもので、演算されたバンク角、ピッチレート、横滑り加速などの車両姿勢情報をECUへ常時に送る。これもまたMoto GPマシン直系のテクノロジーで、市販二輪車では世界初となる。

ECUにはバンク角を反映した新型「TCS」(トラクションコントロールシステム)をはじめ、旋回をサポートする「SCS」(スライドコントロールシステム=2012年からMotoGPに導入、市販二輪車では初)、ウイリーなどを抑止する「LIF」(リフトコントロールシステム)、鋭いスタートダッシュを実現する「LCS」(ローンチコントロールシステム)、アクセル全開のままでもスムーズにシフトアップできる「QSS」(クイックシフトシステム)といった5種の制御システムを搭載。もちろん、乗り手の選択によって介入レベルの調整、およびON/OFFの設定ができる。

YZF-R1

エンジンハンガー周辺の形状が独特で、シリンダーヘッドを包み込むような形状とした新設計のアルミ製デルタボックスフレームも「YZR-M1」に似ている。

YZF-R1

アルミ製スイングアームは、14年型比15mm短縮され570mmに。上向きトラス形状とすることで、排気系の十分なチャンバー容量確保に貢献。

YZF-R1

インナーチューブ径43mmの倒立式サスペンションは、KYBの最新作である「AOS」(エア・オイル分離加圧式)。もちろんフルアジャスタブル。

YZF-R1

リアショックはKYB製ボトムリンク式モノクロスサスペンション。

YZF-R1

フロントブレーキはφ310mmローター+6ポットを改め、φ320mmディスクと新設計モノブロック・アルミ製4ピストン2パッド対向型キャリパーの組み合わせ。リアブレーキはφ220mmディスクとアルミ1ピストンピンスライド方式キャリパーを採用している。

YZF-R1

ホイールは軽量マグネシウム鋳造製。フロントで530g、リアで340gの軽量化を実現した。

YZF-R1 YZF-R1

サーキットでのパフォーマンスの追求に特化し、ヤマハのレーシングテクノロジーを惜しみなく投入したのが「YZF-R1」だが、さらなる強化パーツを身にまとう上級バージョン「YZF-R1M」も完全限定生産される。ボディデザインは共通だが、カウルやフェンダーをカーボン製にグレードアップ。アルミポリッシュの燃料タンクを装備するなど、独特の迫力と上質さを兼ね備えている。

YZF-R1

オーリンズ製の電子制御サスペンション「ERS」(エレクトリックレーシングサスペンション)を前後に採用。「IMU」や各センサー情報に基づき、走行状況に応じて「SCU」(サスペンションコントロールユニット)が、前後サスペンションの伸・圧減衰力を統合制御して走行を支援。「オートマチック」モードを選べば、刻々と変化する走行状況に合わせ、リアルタイムでセッティングを自動的に最適化してくれる。
また、走行状況を記録するデータロガー機能、200mm幅リアセミハイグリップタイヤなども「YZF-R1M」ならではの装備だ。





■YZF-R1 SPEC
全長×全幅×全高 2,055mm×690mm×1,150mm
シート高 855mm[860mm]
軸間距離 1,405mm
車両重量 199kg[200kg]
原動機種類 水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒数配列 直列4気筒
総排気量 998cc
内径×行程 79×50.9mm
圧縮比 13.0:1
最高出力 147.1kW(200PS)/ 13,500r/min
最大トルク 112.4N・m(11.5kgf・m)/ 11,500r/min
始動方式 セルフ式
燃料タンク容量 17L
燃料供給 フューエルインジェクション
タイヤサイズ(前/後) 120/70ZR17/190/55ZR17[200/55ZR17]
※[ ]内はYZF-R1M
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YZF-R1 1988
初代 1998年
1998年に初期型がデビュー。強力なパワーに加え、それまでのリッターマシンの常識を覆す高い運動性能を持ち、「1000ccスーパースポーツ」というジャンルを切り開いた。エンジンは水冷DOHC5バルブ。

YZF-R1 2000
2代目 2000年
空力特性を向上するため、燃料タンクを含む外装を一新。サイレンサーはカーボンからチタンに。よりスロットルを開けられるよう150ヶ所に及ぶ250点以上ものパーツが変更された。

YZF-R1 2002
3代目 2002年
ヤマハが第2世代と位置づけた02年型。直線を多用したフォルムへとスタイリングを変更したほか、キャブレターだった吸気系は、フューエルインジェクションシステムへと進化した。

YZF-R1 2004
4代目 2004年
74×58mmだったボア×ストロークを、ライバルよりもショートストロークな77×53.6mmに。燃料噴射は2枚のバタフライバルブを持つ新型となり、新設されたラムエア最大加圧時には最高出力180psをマーク。

YZF-R1 2007
5代目 2007年
エンジンを4バルブ化し、完全新設計。電子制御スロットル「YCC-T」や可変ファンネル「YCC-I」、スリッパークラッチを導入。フロントブレーキには、6ピストンキャリパーが採用された。

YZF-R1 2009
6代目 2009年
「YZR-M1」譲りのクロスプレーン型90度位相クランクシャフトを採用。出力特性を3種類から選べる「Dモード」が搭載された。また、国内仕様も発売。フルパワーが182psだったのに対し、145psだった。

YZF-R1 2012
7代目 2012年
介入レベル7段階のトラクションコントロールを搭載し、3段階のDモードと合わせ21通りの設定を選択可能に。空力特性をアッパーカウルをはじめ、トップブリッジやサイレンサーカバーも一新した。

■ヤマハ発動機 公式サイト
http://www.yamaha-motor.co.jp