MAZDA CX-3

いま国産自動車メーカーでもっともノッているのがマツダだろう。積み重ねてきた理論と技術の成果が花開いたということなのだが、傍から見ると、CX-5の登場以来やることなすこと大成功といった感がある。そんなマツダからスカイアクティブ+魂動デザインの第5弾となるコンパクトクロスオーバーSUV=CX-3が発売された。
デミオのフロアパンを使った、言ってみれば派生車種ではあるのだが、決してチャチくも安っぽくもない。見事に独立したCX-3というクルマに仕上がっている。これをもってしても今のマツダの勢いと、軸のぶれない車種展開の巧さが見て取れる。

搭載するエンジンはスカイアクティブDの1・5Lディーゼルターボのみ。2WDと4WDが用意されており、組み合わされるトランスミッションは、それぞれ6速MTと6速ATが用意されている。

MAZDA CX-3

実はCX-3を開発するにあたって決められていたのは「デミオと同じホイールベースにすること」だけだったのだという。ボディサイズは全長4275mm×全幅1765mm×全高1550mm。ホイールベースは2570mmというサイズ。デミオと比べると全長で215mm長く、全幅で70mm広く、車高は55mm高い。たっぷり一回り大きいサイズに仕上げているのだ。だから見た目にも一格上の車格といった佇まい(たたずまい)になっている。

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インテリアの雰囲気はデミオそのもの。ところがこれがまったく違和感がないのだ。デミオで頑張って作り込んだ内装が、CX-3の車格になっても十分に質感の高さを感じさせるのだ。各部にクッション性のあるパッドを使うことで質感だけでなく、実際の触感も良くすることで、インテリアの印象を高級なものにしている。

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走りの性能でも同様だ。数値上は最低地上高が160mmに上げられており、デミオに対して15mmほど高くなっている、ということになるのだが、これは乗降性を考慮した車高の設定を優先したから。高すぎず低すぎず、それでいながらSUVとしての走破性も他確保する、そんなフロア高設定になっている。

MAZDA CX-3

車高はデミオに対して55mm高くなっている。当然重心もそれに伴って高くなっているのだが、マツダはこの重心の変化に合わせてサスペンションにも手を加えている。フロントロアアームは新設計とし、リヤも取り付け位置を高くしている。これによってロールセンターを上げ、操縦性の適正化を図っている。
ダンパー/スプリング、スタビライザーを強化。ブッシュチューニングも変更。さらにフロントキャスターをデミオに比べ立て気味に変更。ステアリングギヤレシオも約7%クイックにしている。

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一回り大柄になったボディに対する補強も怠りない。接着剤使用による接合剛性向上や、フロアトンネル前端にガセット(≒補強板)追加、リヤホイールハウスをつなぐ補強板やリヤハッチゲート周辺の補強を施している。
流用どころかほとんど作り直し、たたき台があるだけ作るのが少し楽...くらいの大幅な変更が施されているのだ。MAZDA CX-3
その結果、車高が高く重心も高くなっているのに、ステアリング操作に対するクルマの動きの精度が高い。すごく素直に走ってくれるのだ。もちろん腰高感もないし、車高が高くなった分タイヤの位置決めがあいまいになっている...なんてこともない。

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CX-3で注目したいのは4WDだ。この試乗会に先立って、北海道で行われたマツダ新世代 AWD車 体感取材会にCX-3のプロトライプモデルが用意されており、試乗することができた。

MAZDA CX-3

その時の印象は4WDの制御がとても緻密で違和感がなく、4輪をスライドさせながらスラロームを行っても、パイロンとの間隔数センチにとらえて走り続けられるくらいクルマが正確に動いてくれた。もちろん路面によってスライドの仕方が異なるのでコントロールは行うが、ちゃんとリヤのスライドの様子まで把握でき、また期待通りのトラクションを得ることができる。アクセル操作に対してもクルマが正確に応えてくれる。

MAZDA CX-3 MAZDA CX-3

リヤデフ直前に電子制御クラッチユニットを配置したFF車ベース用の4WDシステムなのだが、センシングとそれに伴う制御を細かく行えばここまでナチュラルに走れるものなのか、と驚かされた。

MAZDA CX-3

このほど一般道試乗会が行われ、改めてドライ路面で走らせてみたが、2WD⇔4WDの変化がまったく感じられず、場面によって駆動トルク配分も変化しているようなのだが、それさえもわからないほど自然にコントロールされているのが確認できた。
操縦性は、雪上スラロームで感じたとおり非常に素直で、腰高感もなく実によく曲がってくれる。たぶん2WDになるのは、高速道路で巡航しているときなどごく限られた時だけで、大抵の場合は多少なりとも後輪への駆動配分が行われているのだろう。
それを感じたのは、実は2WDに乗った時だった。4WDの乗り味があまりに自然だったのだが、乗り比べてみるとリヤの安定感、安定性は4WDのほうがよい。

MAZDA CX-3 MAZDA CX-3

2WDは、ハンドルを大きく切って曲がろうとした時に、あるいは高速で速めのレーンチェンジをした時などノーズがグイグイ曲がり込んでいく傾向がみられ、不安定というほどではないのだが、リヤに駆動のかからないFFならではの挙動が感じられた。

MAZDA CX-3

MTとATの違いでは、よりダイレクトにエンジンの力が感じられるMT、低回転からたっぷりトルクのあるATといったところでMTはとても魅力的なのだが、低中回転域のトルクを太らせたというエンジンは、高回転の軽い吹き上がりと伸び感よりも実用域での力感が増したこともあって、ATとのマッチングがよくなっているように感じられた。

MAZDA CX-3

このクラスのクロスオーバーSUVは2WDが主流で、CX-3も価格的にも魅力的な2WDの存在は捨てがたいが、4WDの雪上での走りを知ってしまうと、クロスオーバーSUVとして相当に高いパフォーマンスと、その性能の高さを上手にオブラートにくるんで、ごく自然に走れてしまう乗りやすさを備えた4WDモデルを強くお勧めしたくなる。



■マツダ 公式サイト
http://www.mazda.co.jp