マツダは20日正午より、プレサイトにて新型「ロードスター」先行商談の予約受付を開始。同時に価格やスペック等を公開した。また、それに先立ち18日には神奈川県・横浜市にて事前試乗会が行われた。詳しい試乗記は後ほどお馴染みの自動車評論家による記事をお届けするとして、まずは今回発表された情報を、短時間だが試乗させていただいた筆者の印象を交えながらご紹介させていただこう。

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国内での発売は6月頃を予定しているという新型マツダ ロードスターは、1989年に発売された初代「ユーノス ロードスター」以来、縦置きフロントミドシップ・エンジンによる後輪駆動や前後50対50の重量配分、そして開閉式ルーフと2人乗りのシートレイアウトを受け継ぐコンパクトなスポーツカー。これらのハードウェア的な伝統に加え、「人馬一体」と表現される思いのままに操れる操縦感覚や、走りだけに留まらない様々な楽しさといった思想哲学まで含め、初代NA型から先代の3代目NC型まで継承されるロードスターの魅力を「守るために変えていく」ことが開発のテーマであったという。




エンジンは歴代最小排気量となる1.5リッター直噴直列4気筒を採用。それでも最高出力131ps/7,000rpm、最大トルク15.3kgm/4,800rpmと、初代の1.6リッター・ユニットを上回る。なお、米国仕様にはより排気量が大きな2.0リッター・エンジンが搭載される予定で、その違いについてマツダでは「市場に合わせて適切なパワーユニットを選んだ」と説明している。具体的にいえば「アメリカでは、フリーウェイで巨大なコンボイを追い越す必要もあるのでより速さが求められます。日本や欧州では2速や3速を使って走る際の軽快感を重視しました」とのこと。

全長3,915mm × 全幅1,735mm × 全高1,235mmというサイズは、4世代中最もショートで最もワイド。2,310mmのホイールベースは3代目に次ぐ2番目に長い。つまり、前後のオーバーハングをおそらく極限まで切り詰めることが、まず一目で見て分かる開発陣のチャレンジだったと思われる。




そしてもう1つの大きな挑戦は、徹底的な軽量化。今回初めて明らかにされたベースグレード「S」の車両重量は、僅かとは言え期待をさらに上回る(というか下回る)990kgと発表された。6速MTのみの設定で、「マツダコネクト」と呼ばれるカーコネクティビティシステムも搭載されず、エアコンもマニュアル、オートライトシステムやレインセンサーワイパーなどの装備も省略され、上級グレードに用意される多くの快適機能と先進安全機能、燃費向上のためのi-ELOOP(減速エネルギー回生システム)やi-stop(アイドリングストップシステム)も装着不可という、まるで軽量化を突き詰めて走りを磨いたハードコア仕様かと思われるかも知れないが、実はトルクセンシング式スーパーLSDやリアのスタビライザーという走りの性能に関わるパーツも装備されない。剛性に寄与するトンネルブレースバーと静粛性を向上させるボンネットインシュレーターも省略される。その代わり249万4,800円という最安値が付けられた。ロードスターが欲しいが、できるだけ初期出費は控えたいという人向けの、言い方は悪いが廉価仕様だ。さらに言えば、250万円以下、990kgという数字を達成したいだけのために設定したのではないか、と穿った見方もできるだろう。しかし、パワートレインはもちろん全グレード共通で、選べるボディ・カラーに制限もなく、しかもMTのみというあたり、チューニングのベースに最適なモデルとしてマツダが(表向きは廉価版という形を借りて)用意してくれたのではないか、という気もする。



実際に乗ってみると、日常的に使用する上で装備はこれで別に困らない、と思った。シンプルなオーディオシステムはAM/FMラジオのみだが、スピーカーは左右のドアとピラー付け根、合計4つも搭載されているし、USBポートがあるので音楽データは再生可能だ。今どきCDプレーヤーなんて過去の遺物を装備して、せっかくマツダの開発陣がグラム単位で削った重量を増やすなんて勿体ない。スマートフォンをつなげばナビゲーション機能も代用できるだろう。ライトウェイト・スポーツカーに質素なインテリアはむしろストイックな渋い魅力を増す(気分的)効能もある。もちろん実用車の廉価グレードのように、ステアリング・ホイールがウレタンになったり、タコメーターが省略されるなんてことはない。



主力グレードとなるのは「Special Package」という、懐かしい名前が復活。車両重量は1,010kgに増え、価格も270万円となるが、前述のLSD、リアスタビライザー、トンネルブレースバーも装着されるため、走りのダイナミックスはこれが最も高いそうだ。何人かのマツダの方に訊いても、皆さんが個人的にはこれを選ぶとお答えになる、言わば"お薦め仕様"。マツダコネクトは標準装備され(ナビゲーション機能はSDカードによって提供されるオプション)、エアコンもライトもワイパーも"オート"にアップグレードされる。他にもあったらいいなと思う装備は大抵が、標準またはオプションで付く。

この「Special Package」にはパドルシフト付き6速ATの設定もあり、こちらはi-ELOOPとi-stopが標準装備のため(6速MTにもオプションで装備可能)、1,050kgまで重くなる。代わりにLSD、リア・スタビライザー、トンネルブレースバーの3点セットは付かない。価格は280万8,000円。

ダッシュボード・センターに備わるディプレイがカラーになり、エアコンのコントローラーや吹き出し口にシルバーのベゼルが装着されているため、コクピットに座ると、ストイックな「S」よりも眺めが華やかだ。スピーカーは運転席ヘッドレストに2つ増えて合計6個、オプションのBoseサウンドシステムを搭載すれば助手席のヘッドレストと、さらに足元にサブウーハーが追加される。確かに、ルーフを開けた状態でも、それほどボリュームを上げなくても音楽が明瞭に聞こえる...けれど、聴く気になるかどうかは時と場所と人によるだろう。後半で述べるが、新型ロードスターはオーディオ以外のサウンドも素晴らしいのだ。



さらにトップ・グレードとして、シートヒーター付き本革シートが備わる「Leather Package」が用意される。こちらは6速MTが1,020kgで303万4,800円。6速ATは1,060kgとシリーズで最も重く、最も高価な314万2,800円。ただし、充実した装備はほとんど"全部入り"。レーダーセンサーで後方や側方の死角を監視する「ブラインド・スポット・モニタリングシステム(BSM)」や、前方内蔵カメラが道路上のレーンマーカーを検知する「車線逸脱警報システム(LDWS)」、ヘッドライトのハイビームとロービームを自動で切り替える「ハイビーム・コントロールシステム(HBC)」とコーナー先を照射する「アダプティブ・フロントライティング・システム(AFS)」という先進安全機能は全て標準で備わり、Boseサウンドシステム、CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナーも標準装備。その上、ソフトトップはこのグレードのみインシュレーター付きとなる。

前ダブルウィッシュボーン式、後マルチリンク式サスペンションの設定や、ガンメタリック塗装が施された8本スポークのアルミホイール、195/50R16サイズのタイヤは全グレード共通。試乗車にはヨコハマ「ADVAN Sports v105」が装着されていた。ちなみにJC08モード燃費はグレードに関係なく、MTが17.2km/L、ATは18.6km/L。MT車にi-ELOOPとi-stopを装着すれば18.8km/Lまで向上する。



ボディ・カラーは全7色が用意されるが、試乗会で見ることが出来た車両は、お馴染み「ソウルレッドプレミアムメタリック」をはじめ、「陶器のような緻密な硬質感を表現した」というマツダの新色「セラミックメタリック」、そしてソリッドの白「アークティックホワイト」の3色のみだった。他に最近のマツダ車で見られる「ブルーリフレックスマイカ」「メテオグレーマイカ」「ジェットブラックマイカ」「クリスタルホワイトパールマイカ」が選べる。7色のうち3色が白系で、5色がモノトーン系というのはデザイナーの拘りか、それともイエローやグリーンなどの鮮やかな色は、恒例の特別仕様車のために取ってあるのだろうか。

内装はシート表皮がファブリックでもレザーでも、全てブラック基調に赤いアクセントが入る。こちらも伝統のタンや赤などを限定車で期待したいところ。ガラス製リアウィンドウを備えたソフトトップもブラックのみ。相変わらず手動式だが、先代より驚くほど開閉操作が軽くなっている。シートに座ったまま、片手で開閉が可能だ。

後編では街中の一般道で試乗した印象などをご紹介させていただこうと思う。なお、先行商談予約は以下の「マツダ ロードスター」プレサイトにて3月30日正午まで受付中。

http://www.roadster.mazda.co.jp/pre/


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By Hirokazu Kusakabe