フォルクスワーゲン・グループ、年次総会で今後の計画を明らかに
フォルクスワーゲンは12日にベルリンで行われた年次総会で、グループ内の各ブランドも含む今後の計画について明らかにした。

2014年、国際的な経済状況が不安定に中にも拘わらず、フォルクスワーゲン・グループは初めて販売台数1千万台を突破。売上高は前年比2.8%増の2,025億ユーロ、営業利益は8.8%増の127億ユーロと、いずれも史上最高を記録した。

しかし、ロシアの政情不安やブラジルなどの経済危機、変動が激しい為替レート、そして中国を除けば世界的に低い経済成長の中、今後に向けてフォルクスワーゲンでは包括的な効率プログラムを昨年7月から実施しているという。

まず、世界各地にある生産拠点の利用において最適化を図り、その一例として、2016年末より次期型「ティグアン」をメキシコ工場で生産開始する。

また、市場の要求から外れたモデルの生産を止めることで効率化を図る。例えば現在、コンパクトカーの2ドア・モデルはあまり売れなくなっているため、将来「ポロ」は4ドアのみとする。

さらに装備の組み合わせなどを見直す。販売台数に占める割合が5%以下のバリエーションは廃止する。

その一方で収益率の高いオプションは強化する。特別な機能を提供する装備をパッケージとして国際的に展開していく。


続いてフォルクスワーゲン・ブランドが、今後は米国市場でこれまで以上に積極的な攻勢に出ることも発表された。テネシー州チャタヌーガ工場では、2016年末までに新しい中型SUVの生産を開始するという。これは2013年の北米国際自動車ショーで発表された「クロスブルー」の生産型と思われる。続いて2017年にはメキシコで生産する3列シートを備えたロングホイールベースの「ティグアン」を発売する。



次に、グルーブ各ブランドの今後の計画については以下の通り。

シュコダ:横置きエンジン用モジュールキット「MQB」を採用した新型「スパーブ」を市場に導入。

セアト:「イビサ」のリフレッシュを実施。

アウディ:今年の第4四半期に新型「A4」を発表。1月の北米国際自動車ショーで発表した新型「Q7」も市場に導入する。

ポルシェ:最も重要なモデル「911」の改良モデルを発表する。

フォルクスワーゲン:MQBを採用した新型「トゥーラン」を発売。2016年発表を目指して次期型「ティグアン」の開発を進める。

フォルクスワーゲン商用車部門:新型バン「キャディ」と「T6」を導入。

グルーブで、2015年には全部で50車種におよぶ新型車または改良型の導入を予定しているという。

また、MQBをはじめとするモジュールキット戦略はますます強化していき、今後は商用車にも導入する。2015年にMQBを採用する車両は270万台を生産する予定だが、2018年には700万台まで拡大していくとのこと。

モジュールキットはすでに次世代型も開発中で、現在「ゴルフ」と「パサート」が同じラインで製造されているように、今後は他ブランドでも共有できるように育てる計画だという。将来的にはフォルクスワーゲン「トゥアレグ」、ポルシェ「カイエン」、アウディ「Q7」に全て共通の縦置きエンジン用モジュールを適用し、同じラインで製造できるようにするそうだ。

Volkswagen AG


グルーブの電気自動車(EV)およびプラグイン・ハイブリッドカー(PHV)戦略については、短期的な環境意識の流行や原油価格高騰による市場の要求だけに左右されず、世界的なCO2排出削減のために長期的な視野に立ち、これからも強化していくとのこと。現在はEVが「e-up!」「e-Golf」、そしてPHVでは「GTE」の名前が付く「ゴルフ」「パサート」、アウディ「A3 e-tron」、ポルシェの「パナメーラ」と「カイエン」の「S E-Hybrid」モデル等が販売されているが、今後はアウディの「Q7」と「A8」、そしてフォルクスワーゲンの「トゥアレグ」と「フェートン」にPHVを設定する予定だという。また、アウディでは先日の記事でお伝えしたように、航続距離500kmを超えるEVを現在開発中だ。

年次総会のネット中継が行われた東京の会場には、庄司茂社長はじめフォルクスワーゲン グループ ジャパンの方々もお見えになっていたので、日本市場における展開についても質問してみた。

欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、評価の高い新型パサートは、庄司社長によれば「今年6月頃にまずガソリン車を入れる予定です。年末にはディーゼルも導入します」とのこと。日本では販売が見送られてきた高級セダン「フェートン」も、PHVが用意されたら導入する計画があるそうだ。

その他のディーゼル仕様については「現在検討中」。製品広報担当の池畑 浩氏は「例えば、欧州で主流の標準的なゴルフでも、ディーゼルは現在のガソリン仕様より価格が高くなってしまいます。そこにどれだけ需要があるのか。あるいはディーゼルは付加価値の高い上級グレードに用意する、ということも考えられます」と仰る。

同様に一部で期待が大きいマニュアル・トランスミッションも、「本来なら小さなエンジンをMTで乗るというのが欧州っぽいのかも知れませんが、やはりある程度の需要が見込めるモデルということで、GTIのようなスポーツ・モデルからということになると思います」というお話だった。

「up!」の3ペダル・マニュアルを安い価格で入れてくださいと、ついでに個人的な要望もお願いしてみたところ、「確かにあの75馬力のエンジンをマニュアルで操るのは楽しいと思いますよ。そういうクルマ、最近はないですからね。でも、up!の年間販売台数が約8,000台。MTはだいたい2%くらいになるかと思うんです。そうするとわずか160台。たったそれだけの数を、しかも右ハンドルで日本向け仕様を作ってくれと言っても、(ドイツの本社が)なかなか聞いてくれないんです」とのこと。ずっと前から登場が噂されているup!のスポーツ・バージョンに期待するしかないようだ。



2015年もフォルクスワーゲン・グループがますます世界の自動車業界をリードする存在となるのか、それはまだ分からない。当面はモデルチェンジや派生モデルばかりで、まったくの新型車が極めて少ないことが気になるが、ただ、年次総会で言われた「2025年のカー・オブ・ザ・イヤーもフォルクスワーゲン・グルーブのクルマが受賞することを確実にするために、すでに我々は出来る全てのことをやっています」という言葉に、先を見据えた戦略に対する自信が窺えた。PHVやディーゼル、MTも含め、日本にもまだ来ていない興味深いモデルはたくさん控えている。懸念があるとすれば、現在の為替レートでそれらにどのような価格が付けられるか、ということくらいだろうか。


フォルクスワーゲン グループ ジャパン 公式サイト
http://www.volkswagen.co.jp



By Hirokazu Kusakabe

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