マツダは27日、新型クロスオーバーSUV「マツダ CX-3」のプレス向け発表会を東京都内で開催。同日より販売を開始した。

マツダの「SKYACTIV(スカイアクティブ)テクノロジー」と総称されるクルマ作りの最新技術と、「魂動(こどう)」と呼ばれるデザイン・テーマを全面的に採用したコンパクトなクロスオーバーSUV「CX-3」は、すでに2014年11月のLAオートショーで発表され、日本でも東京オートサロンなどの会場で公開されている。だから、やっと発売されたと思われる方も多いだろう。Autoblogでも何度か画像をご紹介して来たが、ようやくお近くの販売店でも実車がご覧になれるはずだ。是非、その絶妙なサイズ感と高い質感、乗降性の良さやもし試乗車があればその走りを、ご確認いただきたいと思う。



写真で見ると「CX-5」との違いが分かりにくいが、実車は明らかに一回り以上小さい。だが、コンパクトカー「デミオ」とブラットフォームを共有しているという予備知識を持って対面すると、堂々とした佇まいに驚かれるかも知れない。全長4,275mm × 全幅1,765mm × 全高1,550mm(アンテナ込み)というサイズは、CX-5より265mm短く、75mm幅が狭く、155mm背が低い。スバルの「XV」や、ホンダの「ヴェゼル」と比べてもさらに少しだけコンパクトだ。クロスオーバーということで引き上げられた最低地上高も、160mmとライバルたちよりやや控え目。エントリー・グレードの「XD」以外では18インチ・ホイールと215/50R18タイヤが標準となることからも、このクルマの性格が想像できるかも知れない。デミオの4WDモデルより25mmだけ高い車高は、未舗装路走行時の余裕と、主に見晴らしの良さや乗り降りのしやすさのため、と捉えることが出来るだろう。

国外市場向けには2.0リッター・ガソリン・エンジンも用意されているが、日本国内仕様は1.5リッター直噴クリーン・ディーゼル・ターボのみ。その代わり全てのトリム・グレードにおいて、駆動方式は前輪駆動と「i-ACTIV AWD」と呼ばれる4輪駆動、トランスミッションも6速ATと6速MTの設定があり、それらの組み合わせが自由に選べる。日本において、"ディーゼルで4輪駆動でMT"が選べる車種は他にない。

その理由について、マツダの営業本部の方に伺ってみたところ「確かに(多くの仕様を揃えることで)販売の効率という面では落ちるかも知れませんが、マツダが大事にしている"操る歓び"、そして北国にお住まいの方には生活で使う上で"マニュアルの4駆"を求めるお客様もいらっしゃいます。そういう声に応えていきたかった」と答えてくださった。ガソリンの2駆を用意すればもっと安価に提供できるのでは? と訊くと、「デミオのガソリンは1.3リッターですけれど、CX-3は2.0リッターですからね。おそらく1.5のディーゼルとそれほど変わらないと思います」とのことだった。ちなみにCX-5では、ディーゼルが販売の8割も占めているそうである。




トランスミッションについて、今度はパワートレイン開発本部の方に訊いてみると、6速ATはデミオのディーディゼルと同一で、アクセラのユニットをベースにしたそうだ。6速MTの方はアクセラの2.0Lユニットをベースしたものを使用し、デミオとは各ギア比が異なる(全体的に低い)。車両重量にして60kg(MT)〜70kg(AT)ほど重くなる4輪駆動システムは、通常は前輪駆動で走行し、前輪の滑りを感知すると後輪に駆動を配分するタイプだが、マツダの「i-ACTIV AWD」は実際に前輪のスリップが感知される前に、スロットル開度やブレーキ油圧、ステアリング角度、ステアリングに掛かるトルク、前後加速度、そして外気温やワイパーのスイッチまでモニタリングし、「常に必要なトルクを計算し後輪に送る"準備"をしています。これには結構自信があるんです(笑)」と仰っていた。

排気量1,498ccの「SKYACTIV-D」ディーゼル・エンジンは、最高出力105ps/4,000rpm、最大トルク27.5kgm/1,600〜2,500rpmを発生。デミオに搭載されているものと「エンジン自体は一緒ですが、制御(ソフトウェア)の設定によってトルクの出方を変えています」とのこと(最大トルク値も2.5kgmほど増大している)。燃費について触れておくと、2WDの6速MT車が25.0km/L、4WDのAT車は21.0km/Lとなる。ハイブリッドのライバル車に引けは取らず、燃料代はさらに安いわけだが、「燃費を上げることは開発者の我々に任せていただいて、乗っているときは運転を楽しんで気持ち良く走っていただきたいと思っています。決して燃費計を睨みながら気を使って走るのではなくてね(笑)。それで燃料を補給するときになって、意外と安く済んだなって思っていただけたら。そのためのクリーン・ディーゼルですから」とマツダのエンジニアは仰る。




開発主査の冨山 道雄氏が「この小さな部品でディーゼル・エンジンに革新を起こします」とスピーチで明言した(上の写真)世界初の新技術「ナチュラル・サウンド・スムーザー」は、すでに先日の発表で大きな反響を呼んでいるが、CX-3では「i-ELOOP」と呼ばれる独自の減速エネルギー回生システムと一緒に「イノベーションパッケージ」というオプションで提供される(税別6万円)。ピストンピンの中に組み込んだダンパーが、燃焼によるピストン系のノック振動を打ち消し、エンジン音を改善するというこの技術は、"小さな部品"とはいえ「コストのことは言えませんが(笑)、かなりの手間が掛かっています」とのこと。「仕組みは単純でも、それを量産して信頼性を確保するまでが非常に大変だった」そうだ。「マツダのSKYACTIV-Dは、従来のディーゼル・エンジンよりかなり静かになっているんですが、さらにディーゼル独特のノック音まで消えてしまうと何となく物足りないという方も中にはいらっしゃいますので、お客様が選べるように」標準装備ではなく、オプションとして設定したという。ただし、現段階でこれを装備できるCX-3は「XD」グレード以外のAT車のみ。デミオなど他車種への採用は「お客様の声を聞いて検討したい」とのこと。一斉に革新を起こすのはどうやら大変らしい。

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リアはデミオと同様にトーションビーム式となる。デミオとプラットフォームやコンポーネントを共有しているということについては「それは事実ですけれど、ほとんどの部品が専用に改良されています」ということで、"デミオがベースのクロスオーバー"と簡単に言われるのは心外だそうだ。




エクステリアとは異なり、デミオとの共通性が色濃く見られるインテリアだが、最も大きな違いはドアトリム。担当された方によると「コンパクトカーのきびきびした印象を与えるように、前から後方に向かって傾斜させたデミオに対し、CX-3は包み込まれる安心感と上質感が感じられるように」デザインしたそうだ。インナーハンドルに金属調のベゼルが設けられているほか、上級グレードでは表革巻のメーターフードが採用されている。エアコン・ルーバーや内装に使われているダークレッドのアクセントは、微妙な色調を決めるために100以上のサンプルが製作されたとか(下の写真)。




ミリ波レーダーを使ったマツダの先進安全技術「i-ACTIVSENSE」は、冨山主査によれば「この段階で提供できる全てのアイテムをご用意した」とのこと。「AT誤発進抑制制御」を除き、"全てのアイテム"はもちろんMT車にも搭載可能。7インチ・ディスプレイを使ったいわゆるインフォテインメント・システム、「マツダコネクト」は全車に標準装備。ナビゲーション機能はこれまで通りSDカードで提供される。「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」と呼ばれるヘッドアップ・ディスプレイは「XD」以外に標準で装備される。

価格は、装備が簡略化され16インチ・ホイールとなるエントリー・グレード「XD」の2WDが237万6,000円から、シート表皮にパーフォレーションレザー/ラックススエードが張られた最上級グレード「XD Touring L Package」4WDの302万4,000円まで。なお、6速ATと6速MTの価格差はない。



マツダの方からお話を聞いたり、資料を読んだり、実車を目にした上での印象は、とにかく、かなり力が入っている、ということ。デミオを使って流行のコンパクト・クロスオーバーを仕立ててみました、という安易な商品企画では決してなく、ラインアップに今までなかった新しいモデルを誕生させるという、意気込みと期待が伝わってくる。気になった方は、以下のリンクから公式サイトをご覧の上、是非お近くの販売店で試乗を。

マツダ 公式サイト
http://www.mazda.co.jp/



By Hirokazu Kusakabe

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