Volkswagen Touareg

ここのところず~っとそうなのだけど、とにかく世界的に人気爆発なのがSUVで、その勢いはとどまることを知らない。最近はその流行がややダウンサイジングに流れ、全体的にサイズが小さいもの=コンパクトSUVがバンバン発売されている傾向にあるのだが、ザ・王道の大型モノだって人気では負けていないのだ。クルマにマルチを求める時代にあって、SUVはまさにオールラウンダーな魅力を兼ね備えた優等生なのだもの、引っ張りだこなことに違いはない。走りが良くて荷物が積めて人もたくさん乗せられる。内装が豪華でシートアレンジも多彩で、しかも極めつけは見た目がカッコイイ。そりゃーSUVが、今最もモテるクルマになるわけだ。

Volkswagen Touareg Volkswagen Touareg

だからこそ各社、趣向を凝らして顧客の獲得に躍起になっているのだが、ニューモデルがガンガン出てくるこのジャンルにおいて、"真新しさ"というのは大きなセールスポイントになっている。ま、平たく言えば『カオ重視』ってことだ。グッドルッキングでなければ、ショッピングリストにさえ載せてもらえないってわけ。クルマが人を惹き付ける大きなファクターのひとつにデザインっていうものが挙げられると思うけど、このSUVに関してはボディサイズ的に見てもそもそもが大顔なだけに、アイコニックであるということがことのほか大事なんではないかと思う。

Volkswagen Touareg

今回その、肝心要のキモとなるデザインを4年ぶりに一新したのがフォルクスワーゲンのトゥアレグだ。同社にとってはフラッグシップモデルとなる、一番大きいSUVである。
一番のトピックスは、このビッグマイナーチェンジを受けたのが、3.6リッターV6 NAエンジンを搭載する『トゥアレグ V6(Touareg V6)』のみだったということ。

Volkswagen Touareg

これまでラインナップされていたハイブリッドは廃止されたという点だ。そもそもフォルクスワーゲンの中では価格が高かった為に販売台数が伸びなかったことがその原因。今回からモデルラインナップはベースモデルとなる『Touareg V6(トゥアレグ ヴィーシックス)』と、それに安全性能とハイグレードなインテリアを搭載した『Touareg V6 Upgrade Package(トゥアレグ ヴィーシックス アップグレード パッケージ)』のふたつとなった。

Volkswagen Touareg Volkswagen Touareg

2003年の日本での発売以来、トゥアレグの辿ってきた歴史は華々しい。トゥアレグが発売された頃、見た目にも押し出し感の強い欧州系輸入SUVのジャンルは今以上ににわかに賑わいを見せていた。注目のニューモデルがガンガン出てきた頃である。メルセデス・ベンツのMクラスBMW X5に続きプラットフォームを共有する同グループ傘下の兄弟車ポルシェ・カイエンと同車が、続いて弟分となるアウディQ7も市場に導入された。このようにセグメント全体が時代に底上げされたような流れを受け、トゥアレグも2005年に6リッターW型12 気筒エンジンを搭載した「Toareg W12 Sport」を発表してみたり、2011年には残念ながら今回モデルラインナップから姿を消したハイブリッドを導入したりと、フラッグシップとして十分に話題性のあるモデルであった。
しかし今回、ビッグマイナーチェンジと位置付けられているものの、その変化はあまりに地味ではないか。

BMW Group MediaPool autdi Q7
volkswagen W12
Toareg W12 Sport

ダウンサイジングターボとデュアルクラッチを普及させた立役者として積極的にエコロジーを訴え、近年ではe-up!e-Golfを推し進めて電化に邁進し、小型車戦力に力を入れる直近のフォルクスワーゲンの、V型エンジンを搭載するヤンチャな長男に対する醒めた感情をまるで可視化したかの様なあからさまさには、ちょっとビックリしてしまった。

volkswagen e-up! volkswagen e-Golf

とはいえ、見た目がカッコよくなったことは単純に嬉しいから、その辺をチェックしてみよう。フェイスリフトという言葉どおりキリっと引き締まって、今時のフォルクスワーゲン顔に生まれ変わった。
ラジエターグリルのクロームパーツはVWマークから左右に4本伸び、従来モデルよりもギラっと感を増している。その4本のクロームモールの端には、これこそ最近のモデチェンには欠かせないLEDのポジションライトを備えたバイキセノンヘッドライトが付いた。これにより左右方向への伸びが強調され、よりワイドに見せる様な迫力を手に入れている。

Volkswagen Touareg

さらにフロントバンパーの下、エアインテークにもクロームモールが3本、そしてその下にも太いクロームモールがドーンと一本。派手である。この一番下の太いヤツは、前後バンパーと左右のドア下に、クルマを一周するかの様にあしらわれている為、視覚的にさらにローに見せるという役割も担っている。右のフォグランプと18インチアルミホイールも新デザインだ。

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質実剛健なフォルクスワーゲンをイメージすると、おののくくらいにゴージャスだった内装はきちんと踏襲されているから安心して欲しい。今見ればややコンサバティブな感じにも思えるが、包み込まれるようなレザーの質感やウッドの装飾は居間のように落ち着くシックさだ。

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実はデザイン以上にユーザーには恩恵があると思われるのが安全装備の追加である。
30km/h 未満での走行中には、自動的にブレーキを作動させて前方障害物への衝突を軽減する"シティエマージェンシーブレーキ"を含むレーダーシステム"Front Assist Plus"(フロント アシスト プラス)、追突された場合、時速 10km/h以下になるまで自動的にブレーキをかけて、追突による二次被害を軽減する"マルチコリジョンブレーキ"に加え、全車速対応型の追従型クルーズコントロール"ACC"が全車に標準装備された。

volkswagen
(フロントアシストプラス)

volkswagen
(マルチコリジョンブレーキ)

volkswagen ACC
(ACC)

また、レーンの逸脱をステアリングの振動で知らせるレーンデパーチャーワーニングと、後方からの車両の接近をドアミラーのインジケーターで知らせるレーンチェンジアシストシステムはTouareg V6 Upgrade Packageに標準装備される。

volkswagen Lane Assist
(レーンデパーチャーワーニング)
volkswagen Side Assist volkswagen Side Assist
レーンチェンジアシストシステム

おそらく通勤の為ではなく、レジャーなどにクルマを駆り出すことは多いであろう大型SUVオーナーにとって、標準装備でこのようなドライバーの安全を支援する機能が付いてくるのはかなりナイス。何故なら、オプション設定だったらこの安全性能を選ばなかったような人こそ、きっとこの機能の恩恵を知るシーンに遭遇するだろうと想像するからだ。とにかく一回使ったら病み付きになること間違いなし、なのだから。

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乗り出せば、トゥアレグならではのやや鷹揚な乗り味はしっかり残されていて、3.6リッターV6エンジンのパワーをやみくもに引き出す!という乗り方よりも、じわ~っとそのパワーを引き出すような、やや緩めのアクセルワークが気分に合っている。
鷹揚なのはステアリングも同じだから、コーナリングではそっとブレーキを踏み足してゆっくりとハンドル操作をし始め、コーナー出口が見えたらロールの残るボディを早めに緩やかなハンドル操作で切り戻して受け止めていくというイメージの、やや先読みするかのような運転を心がけるといい。繰り返すがややダルな操舵フィールなので(そしてそれが魅力でもあるので)、逆らわずにクルマにゆったりと揺られる感じに操作していったほうがクルマの挙動と性格をうまく引き出せるし、気持ちよく速度に乗っていけるだろう。

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それにしても、いくら緩やかな運転を勧めても、正直言えばここのところのダウンサイジングターボに慣れた身に、久々のV6 NAエンジンはとても気持ち良いものだった。なんというか、アクセルの開度に対する加速の扱いやすさはいくらターボがリニアになったからってやはりNAには敵わないのである。あまりの嬉しさに思わずグイっと踏みつけたくなる気持ちを抑えて、ここはジェントルに運転してもらいたい。なにも直線番長を楽しまなくても、このエンジンの楽しさは充分に低い速度域から楽しめるし、そのほうが燃費にも同乗者にも優しいドライブになる。

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そうそう、たとえばSUVの本領発揮できる雪道やアイスバーン、オフロードでのキャンプなんかにおいて、悪路からの脱出にはやはりこのようにパワーの出方がリニアなNAエンジンが最適なのではないかとも感じた。頻繁に悪路を経験するようなシーンでのレジャーを趣味にしている人は、このエンジンの恩恵を存分に享受できると思う。燃費はそりゃJC08モードで9.8と、あんまり良くはないんだけど。

Volkswagen Touareg Volkswagen Touareg

さて実は、ここまでV6 NAエンジンをありがたがるには理由がある。実に個人的な憶測なんだけど、もし次のトゥアレグが発表されたらきっと、フォルクスワーゲンのことだからV6 NAエンジンの搭載を止めちゃうのではないだろうか。次はおそらくもっと小さなエンジンに過給でパワーを足した流行のダウンサイジングターボになるだろう。

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もしかしたらV6搭載モデルは、これが最後になるかも...なんて思うと、にわかにちょっと惜しい気になってしまった。NAエンジンのSUVにこだわる人は、今のうちにコレで味わっておいてほしいのが本音である。予想がハズれたらごめんなさい。

■フォルクスワーゲン 公式サイト
http://www.volkswagen.co.jp/ja.html