【大阪オートメッセ2015】進化したSTI製コンプリートカー「スバル BRZ tS」初公開!
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2月13日から15日まで、大阪市住之江区のインテックス大阪で「大阪オートメッセ 2015」が開催された。出展する自動車メーカーの多くが、1ヶ月前の東京オートサロンに展示した車両を関西のファン向けに並べる中、富士重工業とそのモータースポーツ活動を統括するSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)は、新たな「スバル BRZ tS」のコンセプト・モデルを大阪で初公開。STIの方にお話を聞いて来た。

STIによるコンプリートカー「BRZ tS」というモデルは2013年に発売されています。今回展示されている車両は、それとはまた違っているのですね?

「ベースのBRZ年次改良が施されたので、それに合わせて開発を進めています。あと、前回やれなかったことも色々とやっています」

外観はそれほど変わっていないような...。

「その分、見えないところにかなりお金が掛かっています(笑)」

前回やれなかったこととは?

「まず、専用にチューニングしたビルシュタイン製の倒立式ダンパーを組み込みました。あと、フロント・ブレーキはドリルド・ローターになっています。それから実は、まだ開発中なのであまり見せたくないのですが...」と言ってボンネットを開け「ご覧のように、これまでのフレキシブルタワーバーに替わって、フレキシブルVバーが装着されています」




BRZに標準で装着されているものと、どのような違いがあるのですか?

「これまでSTIが追求して来たように、固めるだけではなく"いなす"という考え方に基づいて開発したもので、間にピロボールが入っています。BRZはWRXに比べると、ストラットタワーとフロント・バルクヘッドまでの距離が遠いでしょ。フレキシブルタワーバーを外してこれを付けてみたら、めちゃくちゃ良かったんですけど、年次改良でベースのBRZが、特にリアの剛性が上がったので、(フレキシブルタワーバーとフレキシブルVバーの)両方とも付けた方がいいのか、いま走り込んでテストしている最中です。市販化されるときには両方付いているかも知れませんから、今回はあまり一般の方にはお見せしたくないのです。あとほら、中は(ボディが)塗っていないのでカッコ悪いでしょ(笑)」



この黄色のボディ・カラーもBRZによく似合っていますね。これは「XV POP STAR」用のカラーですか?

「もともとこのサンライズイエローという色は、今はSTIにいるモリという者(森宏志 氏)が富士重工業にいたときに"スポーツカーに似合う色を!"といって作ったものなんです。GRB型インプレッサ WRX STI spec Cに使われましたが、次のBRZ tSにも採用したいという思いにはかなり強いものがありますね」

専用の塗装色を用意するというのは、結構大変なものなのでしょうか?

「大変です。STIのコンプリートカーは基本的に富士重工業のラインで製造しているので、(塗料の)タンクが空いたタイミングでないと塗ってもらえないんですよ。車体以外にも同色のパーツを準備しなくちゃならないし。そうすると置いておく場所がないとか言われましてね(笑)。でも何とかやりたいですね。モリも"オレが作った色が何で使えないんだ!"って言っていますから(笑)」

ミラーやアンテナは、このイエローに合わせてブラックにしたのですか?

「引き締まって見えるようにね。フロントフェンダーのガーニッシュも、前回はシルバーでしたが、これはブラックになっています」

リアウイングは付いていませんね?

「前回のBRZ tSでは、レカロ製バケットシートとドライカーボン製GTウイング(リアスポイラー)をセットで"GT PACKAGE"として販売した(税別60万円)のですが、どうやらBRZのお客様はあまりGTウイングが好きではないという方も多いみたいで。レカロシートは付けたいけれどウイングはいらないから諦めるという方が結構いらっしゃったみたいです。だから次は、ウイングだけ別にオプションにしたいと考えています。WRXのお客様はまた違うんですけどね。"羽が付いてナンボだろ!"とか、"トランクの蓋はウイングの支柱を付けるためにあるんや!"と仰る方もいますから(笑)」



このレカロシートもコストが掛かっているみたいですね。

「むちゃくちゃ掛かっています。営業に価格設定を出させたら、1脚35万円とか言いましたから。カー用品店に行けばレカロシートは1脚10万円くらいから売っていますけど、これはちゃんとサイドエアバッグも入っています。富士重工業の方から、シートを替えるならサイドエアバッグも付けろって言われるんです。標準のBRZは付いていますから、走行性能が上がっても安全性能が落ちるというのは許せないと」

このレカロシートは前のBRZ tSに用意されていたものと同じですか?

「表皮は替えていますけどね」

最近、トヨタの方でもTRDからコンプリートカーが発売されたりしていますが、スバル BRZ/トヨタ 86の開発は主に富士重工業の方で担当されたと言われています。コンプリートカーの開発でも、トヨタやTRDに協力されているのですか?

「まったくノータッチです。聞くところによるとかなり苦労しているみたいですね」

あと、これはトヨタ側のコンプリートカーでは触れられていないと思うのですが、STIの方には「専用チューニングVDC」とありますね。

「タイヤとブレーキ、足回りを変えれば、当然コーナリングの限界も高まりますし、横G、減速Gも標準車とは違って来ますよね。VDC(ビークル・ダイナミクス・コントロール)は、そういうGをセンサーで感知して作動するわけですから、専用にチューニングしないとせっかく引き上げた運動性能を目一杯引き出すことが出来ません。それで結局、スポーツ走行する人はオフにしてしまうしかなくなるんですけれど、STIではオンでも楽しめるようにそこまで(専用チューンを)やっています」

それってSTIまたは富士重工業の方でやれるのですか?

「サプライヤーのエンジニアに頼んでやってもらうしかないんです。正直言って膨大なコストが掛かります。あれって完全なブラックボックスですから、我々にもどこをどうしているのか教えてもらえません。なので実際に走って確かめるしかない。それには低ミュー路が最適なので、雪の中を走り回っています。だから、STIのコンプリートカーは(ベース車が発売してから)ひと冬越した後じゃないと出ないんです(笑)。これも年次改良後の車両をベースにしたクルマが今頃、北海道で走っています」

いつ頃、発売できそうですか?

「まだ未定ですね。富士重工業のラインとの兼ね合いもありますから」

WRXのコンプリートカーで採用されていたカーボンルーフは、BRZではやらないのですか?

「BRZはルーフ自体の面積が小さいので、コストの割にはWRXほど効果が見込めない、と富士重工業には言われています」

2012年の東京オートサロンに出展されていたカーボンファイバーのボンネットはどうですか?

「あれは実は富士重工業の方で開発していたのを、"付けてみない?"って言われたものなんですが、歩行者安全保護の点で市販車に採用は難しいようですね。STIで衝突試験はできないので、そういうパーツは富士重工業の協力を得ています」

もうずっと待っている人も多いと思うのですけれど、ターボについてはいかがですか?

「ターボは付けるところが無いんですよね。付けるとしたらエンジンの下しかないのですが、それだって(車体の下に)余裕があるわけではないので難しいと思います。上にスーパーチャージャーを付けたりしているところもありますが...。そもそもBRZ/86というクルマはトヨタと最初に相談したときから、"2.0リッター自然吸気で200馬力"とコンセプトを決めて、それに合わせて各部品もぎりぎりまで軽量化しています。過給器を付けたら、間違いなくエンジンをはじめとする色々な部品に負担が掛かり、寿命が短くなる。そういった部品の強化まで考えると、コストがとんでもないことになってしまう。ポルシェならそういうクルマを作っても買ってくれる人がいるんでしょうけど、もともと200万円台のクルマに何倍もの金額を出してまで欲しいという人がどれだけいるか。それよりは自然吸気のまま、走りの質を上げて、サーキットだけでなく公道でも気持ち良く走れるクルマを作った方が、当初のコンセプトからも外れないと思います。ターボや4駆が欲しい方には、WRXがありますよと(笑)」

ありがとうございました。今後の展開を楽しみにしています。



STI製18インチ・ホイールに225/40ZR18サイズのミシュラン パイロットスーパースポーツという組み合わせは前回と同様。トランクリッドにはドライカーボン製ウイングに替わり、リップタイプのスポイラーが装着されている。フロントにもアンダースポイラーが付くが、敢えてサイドはなし。スポーツマフラーも含め、外装のカスタムは既に販売中のパーツを使用していると思われるが、フロント・バンパーはフォグランプの替わりに横長のデイタイムランニングライトを装備している点が目新しい。

カーボンファイバー製パーツも見られず、鮮やかなサンライズイエローを除けば外観は一見控え目に感じられるが、作り込んだ走りはトヨタ陣営のコンプリートカーにも「決して負けない」とSTIの方は自信を見せる。価格は前回より上がりそうだが、ドライカーボン製ウイングは付けず、レカロ製シート込みで400万円程度に収まれば、お買い得とさえ言えるだろう。サンライズイエローのボディ・カラーだけでも実に魅力的。熟成が進んだBRZを、STIがさらに進化させたコンプリートカーが市販化される日は、それほど遠くないと思われる。走り込んだタイヤの熱で雪がすっかり溶けた頃、また新たな発表があるかも知れない。自然吸気/後輪駆動派のスバリストの方々は、楽しみにお待ちいただきたい。

スバル 公式サイト
http://www.subaru.jp/

STI 公式サイト
http://www.sti.jp/



By Hirokazu Kusakabe

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