「マクラーレン・ホンダ」復活の意気込みが伝わる、ホンダF1記者会見
ホンダは10日、2015年より復帰参戦するF1世界選手権の開幕に向け、記者会見を行った。

会場となった東京・青山の本社ビル前には、1988年に16戦中15勝を挙げた「MP4/4」をはじめ、かつてF1で黄金期を築いた「マクラーレン・ホンダ」のマシンがずらりと並び、そのその名前が復活することへの意気込みを窺わせる。1965年に初優勝を果たした「RA272」や、"オール・ホンダ"が復活した2006年の「RA106」と並び、マクラーレンの昨年型マシン「MP4-29」をベースにホンダ製パワーユニットをテストのために搭載した開発車両「MP4-29H/1X1」も展示されていた。なお、会見場内に置かれていた今季用「MP4-30」は"ショーカー"であるため、実戦用とは異なるそうだ。


会見はまず、本田技研工業株式会社の伊東孝伸社長が壇上に立ち、改めてF1参戦について語る。「創業期以来、チャレンジすることはホンダのアイデンティティとしてずっと根付いてきました」という言葉から、1964年に創業者、本田宗一郎氏の「英断」によって最初にF1参戦したときのことを振り返り、そして今回、「4輪最高峰レースであるF1で、私たちの真価を発揮するチャンスが参りました」と力強くその意思を受け継ぐことを表明。続いて今回の復帰参戦の意義について説明する。伊東社長によればそれは2つ。「新しくF1に導入された環境技術の追求、すなわち、究極のエネルギー・マネジメントへのチャレンジは、明日のホンダへの卓越した技術につながると考えて」いること。そして、「過酷なレースは、プロフェッショナルな人材を育む場」となることだ。「F1という極限の世界で、培われた技術、そして人材を通じ、ホンダはイノベーションを興したい。そして何より、さらなる高次元を目指し、勝ち続けることで、ファンの皆さんのホンダに対する期待に応えていきたい。ホンダのコーポレート・スローガンは、"The Power of Dreams"です。夢の力を信じ、夢の実現に向け、強い決意で臨みます」と伊東社長は語る。




続いて壇上には、パートナーであるマクラーレン・チームから、グループCEOであるロン・デニス氏が登場。1980年代初頭にマクラーレンというチームの実権を握り、ホンダとグランプリを席巻したときにもチーム代表を務めていた人物だ。彼はまず、ホンダが最初にF1に参戦した1964年のことを振り返り、当時からホンダは「革新的であり、野心的であり、自らの夢に生き続けていた」と語る。続いてホンダとパートナーを組むことになった1988年、「F1の歴史の中で、最も成功した年」に16戦15勝を挙げ、これは「大きな快挙だった」と述べた。

そして2013年、再びホンダと組むことになり「文化的な違いを乗り越え、お互いの人間同士、そしてエンジニアとしての信頼感を高める努力をして参りました。そのとき、ホンダと一緒に仕事をするということはどういうことかを思い出しました。ホンダは非常に強いコミットメント(責務)を持った会社だと思います。我々が共に直面しているチャレンジは非常に大きなものだと思います。ライバル達は1年先を行っているし、レギュレーションはかつてないほど複雑です。パワーユニットは機械的なダイナミック・パフォーマンスだけでなく、エネルギー回生システム等と上手く連動しなければ最大のパフォーマンスを発揮することが出来ません。一方で、違った文化的背景を持つ企業同士が一緒に働き、信頼感を構築するという、また別のチャレンジもあります。初戦を迎えるに当たり、プレッシャーはますます高まり、ファンやドライバー、スポンサー、メディアの期待感も高まっていると思います。しかし、我々はそのチャレンジに対する準備は出来ています。必ず成功します。ホンダとマクラーレン、1980年代のパートナーシップを是非、再現したい。いずれまた皆さんと、ワールドチャンピオンを祝福する機会が必ず訪れると思います。少し時間が掛かるかも知れませんけれど。短期的にはまず、1勝を挙げるということ。そして開幕戦のオーストラリアでは、最も競争力のある結果をもたらせればと思っています」と語った。




そして2人のドライバーも姿を現した。フェラーリから移籍してきたフェルナンド・アロンソ選手と、2000年代の第3期ホンダF1活動でもドライバーをと務めたジェンソン・バトン選手。いずれも元ワールドチャンピオンだ。

アロンソ選手は「マクラーレン・ホンダという新しい時代の一部となれて嬉しい。(初回のテストを終えた今)このプロジェクトを成功させることはなかなか大変ですが、ホンダ・ファミリーの一員となれたことで非常にエキサイトしています。最高レベルのチームで戦うということにアドレナリンを感じています」と語った。

バトン選手は「こんにちは」と得意の日本語で挨拶。「ホンダと再び一緒に出来ることを嬉しく思っています。本当にマクラーレン・ホンダというのはエキサイティングなパートナーシップだと思います。1980年代当時、少年時代に憧れを持って見ていたチームでした。その新しい時代の一員になれたことを嬉しく思います」と語り、今後のテスト、開幕戦に続くこれからのことを、「楽しみです」と日本語で締め括った。



今月初めに行われた初めてのテストでは、トラブルも発生し多くの走行を重ねられなかったことに対し、期待感ゆえに記者席からも厳しい質問が浴びせられたが、それについては2人のドライバーは「まだ開発の初期段階」と繰り返し、デニスCEOも「山を登り始めたわけではなく、まだ山に登る準備をしている段階」と語っていた。もう少し長い目で見ることが必要だろう。とはいえ、アロンソ選手は「シャシーとパワーユニットに一体感があった」とその印象を語り、さくら市の研究施設を訪れた際に「非常に素晴らしかった。この場所にいるのが嬉しかった」と言っているので、今後は大いに期待できそうだ。

1988年、前回ホンダとマクラーレンが初めて組んだときには、すでにホンダは前年のチャンピオン・エンジンだった。それから1992年にホンダが撤退を決めるまで、5年間で80レースを戦い、44勝を挙げている。この時代を「黄金期」と呼んで間違いはないだろう。だが、初年度が最高の成績であり、最終年には5勝を挙げるに留まった歴史は、第2期ホンダF1が「繁栄から衰退していくまで」と見ることもできる。今回の挑戦ではあまりに大きな過去の栄光により、参戦前から期待が膨らむけれど、おそらく苦しいスタートとなることは目に見えている、と言っていいだろう。だが、そこから頂点を目指し、初優勝・初タイトル獲得と、前回とは逆に「隆盛から繁栄に至る」歴史を見守って行ける楽しみがある。

新生マクラーレン・ホンダのデビュー・レースは3月15日にメルボルンで行われるオーストラリアGP。レースである以上、最初だから「勝てなくても良い」という考えはないはず。メルセデスやフェラーリを相手にどのような戦いを見せてくれるか、大きな期待と長い目で応援しよう。最後に、会見場で放映された2本のビデオをご覧いただきたい。






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