BMW Motorrad S1000R

左右非対称の異形デュアルヘッドライトが生み出す眼光鋭く厳つい面構え、アルミ製ツインスパーフレームを骨格とした筋肉質な車体、見るからに屈強でスタイリッシュ。バイクファンからは「ストリートファイター」などとも呼ばれるネイキッドスタイル、BMW Motorrad のロードスター『S1000R』だ。

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S1000RR』のネイキッドバージョンと聞いて、かなり手強いだろうと気を引き締めて乗ったが、思いのほか扱いやすく、神経質な部分は見当たらない。コーナーが目の前に迫るたびにワクワクする。とにかく、乗っていて楽しい!

S1000R

ベースとなったマシン『S1000RR』は、2010年春にBMW Motorrad 初のスーパースポーツモデルとして日本市場にデビューし、以来レースシーンでも活躍。昨秋の「インターモト 2014モーターサイクルショー」(ドイツ・ケルン)ではフルモデルチェンジを果たした新型を披露し、日本でも2015年2月6日より販売を開始するのは、お伝えしたとおりだ。

BMW Motorrad S1000RR

BMW Motorrad、新型『BMW S1000RR』を2月6日より販売開始
http://jp.autoblog.com/2015/01/06/bmw-motorrad-bmw-s1000rr-2-6/
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今回紹介する『S1000R』は、『S1000RR』のカウルを取り払って、セミアップハンドルとしただけではない。排気量999 ccの並列4気筒エンジンは、カムプロフィールをはじめ排気ポートファンネル形状を見直し、中低回転域でパワーとトルクを向上。車体もネックアングルを寝かし、ホイールベースを延長するなどし、乗り心地をよくしている。

BMW Motorrad S1000R

グリップ位置は低めで上半身が前傾姿勢となるが、決して窮屈ではない。ハンドルは『S1000RR』よりも高くワイドで、ステップは『S1000RR』(〜2014)より前方に14mm、下へ23mm移動。自然に足を下ろしたところにあり、下半身にもゆとりがある。

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シート高の公表値は空車時814mm。先端を絞り込んだシート形状のおかげで、地面へ足を出しやすい。身長165cm以上あれば足着きに不安はないだろう。クッション厚は『S1000RR』よりも厚いが、国産ネイキッドなどと比べれば薄めで、ロングツーリングには不向きなはず。走りを重視したスパルタンなスポーツバイクであることは、ライディングポジションをとれば、すぐにわかる。

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エンジンは低回転域から力強く、ストップ&ゴーを繰り返す市街地でもエキサイティングな走りが楽しめるだろう。トップギヤ6速での100km/h巡航は4200 rpmと少々高めで忙しなく、高速道路を落ち着いてノンビリ走るというのは得意ではないかもしれない。逆に言えば、ライダーが気持ちよくアクセルを開けて走る常用回転域(2000〜7000rpmあたり)で強烈なパワーをいかんなく発揮し、走りがいつだって熱いということだ。

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電子デバイスは「ABS」そして「ASC(オートマチック・スタビリティー・コントロール)」を標準装備するが、上級版の『スポーツパッケージ』では「トラクションコントロールDTC」「シフトアシスト」「クルーズコントロール」を搭載。さらに最上級仕様の『ダイナミックパッケージ』になると最新式の電子調整式サスペンション「DDC(ダイナミック・ダンピング・コントロール)」が追加される。

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※ASC:ウイリーやホイールの空転などを瞬時に検知し、エンジン出力や制動力を制御する。
※DDC:リアサスペンションのストロークセンサーから車体の姿勢を感知した上で、速度やアクセル開度など多くの情報を演算し、前後サスペンションに適切なダンピングを発生させる。

また、ライドモードも標準仕様では「ロード」と「レイン」の2つだけだが、『スポーツパッケージ』になると「ダイナミック」と「ダイナミックプロ」が加わり、全4モードに発展する。切り換えはハンドル右のスイッチでおこない、選択後にクラッチレバーを握れば決定となるから、走行中でも換えることが可能。どのモードで走っているかを確認するには、メーターのディスプレイを見れば一目瞭然だ。

BMW Motorrad S1000R

ライドモードはエンジンの出力特性だけでなく、ABSやトラクションコントロール、電子調整式サスペンションともリンクしていて、「レイン」ではABSやトラコンの介入度が高く、サスも減衰力が弱めの設定。「ロード」と「ダイナミック」ではスロットルレスポンスやトルク感には変化がないものの、「ダイナミック」にするとDDCのダンピング設定が変わり、足まわりがカッチリと締まる。もちろんサーキットでは踏ん張りの効く「ダイナミック」が理想的だが、「ロード」の乗り心地の良さも捨てがたい。前後サスがしなやかに動き、路面からのインフォメーションを得やすいから、公道を走るのなら「ロード」を選ぶ方が多くなるだろう。

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写真を見てわかるとおり、コースは途中から雨ですっかり濡れ、「レイン」が活躍した。スロットルレスポンスが穏やかになり、そしてABSそして電子デバイスによってタイヤの空転を防いでくれるという安心感から、走行を諦めようとは思わなかった。これは公道でも、大きな武器となる。

BMW Motorrad S1000R

それにしてもハンドリングが軽快だった。燃料タンクをアルミ製にするなどして低重心化。マスの集中を徹底した結果、リッタークラスとは思えぬコンパクトな操作感を獲得している。タイトコーナーでは軽さや素直さを感じるが、高速コーナーではしっかりとした安定感があって、もう少し攻めてみようと(ドライ時には)どんどんペースが上がっていく。

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扱いやすいと冒頭で書いたが、加速はどのレンジからだって強烈で、物足りないということは決してなく、トップエンドまで使い切るなんて公道ではまず無理だろう。そもそもウインドプロテクションはないから、高速域では走行風をまともにライダーが食らうこととなり、マシンよりも先に乗り手が音を上げることになる。

BMW Motorrad S1000R

つまり『S1000R』は非常識な速度域ではなく、ワインディングを気持ちよく流すくらいのスピードレンジからもうエキサイティングで、心躍る。これはまさにロードスター。都会に暮らすライダーが、休日に郊外のワインディングロードに出かけていく。そんな使い方がピッタリだ。

S1000R
■SPEC
◎全長×全幅(ミラーを含む)×全高(ミラーを除く):2057×845×1228mm ◎ホイールベース:1439mm ◎シート高:814mm ◎車両重量:207kg(走行可能状態、燃料満タン時) ◎エンジン型式:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ ◎最大出力:156ps/10000rpm ◎最大トルク:112Nm/9250rpm◎排気量:999cc ◎ボア×ストローク:80×49.7mm ◎燃料タンク容量:17.5L ◎フロントタイヤ:120/70ZR17 ◎リアタイヤ:190/55ZR17

■PRICE
169万9000円(消費税8%込み)〜

■BMW Motorrad JAPAN
http://www.bmw-motorrad.jp/jp/ja/index.html