MAZDA ROADSTER

1989年はスポーツカー豊作の年で、ロードスターのほかにGT-RやZ32型のフェアレディZS13型シルビア2代目MR25代目セリカNSX(発表)などが発売されたのだった。
スポーツカーといえばハイパワーといった風潮が強かったし、当時、最高出力が280馬力に規制されていたこともあって、各メーカーこぞって280馬力を目指してエンジン開発が行われていた。そんな中にあって1600ccで120馬力のエンジンを搭載したロードスターは異質だった。

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世界的にもライトウエイト・スポーツは終わった...つまり需要はない、と考えられていた。だから、いまさらロータスエランを彷彿とさせるコンパクトなFRオープン2シーター・ライトウエイト・スポーツなど作っても、だれも売れるなどとは考えていなかった。当のマツダさえ売れるとは思ってもおらず、でも欲しいから作っちゃうもんね(と言ったかどうかは知らないが)とばかり企画し作ってしまったのだった。
もっとも何の脈絡もなかったわけではなく、マツダのアイデンティティでもあるロータリーエンジンを搭載したスポーツカーRX-7FC3S型からのFD3S型RX-7(92年発売)に代わろうという時期で、RX-7を本格的スポーツカーに進化させるのなら、エントリースポーツカーとなるクルマが必要だという考えはあったはずで、このあたりがロードスターの開発を説得するための、かすかな理由づけであったかもしれない。
ともかくロードスターは大ヒットとなり、89年9月に発売されその年だけで9307台を販売。翌年には世界で9万3000台を超える販売を記録した。

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その後ロードスターは25年にわたって販売され、その間2度のフルモデルチェンジを行っている。一つのモデルが約8年と異例に長く売られている。そしていよいよ4代目となるロードスターが発売されることになった。そんな新型ロードスターに、ひと足先に試乗する機会を得たので、報告してみたいと思う。
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最新のマツダのデザインである魂動(こどう)デザインを取り入れたスタイルがまず目を引く。洗練されていて実にカッコいい。事前にちらと見たときには、かっこ良すぎるのではないか、と思ったほど。
クルマをかっこ良くデザインして文句を言われたのではデザイナーの立つ瀬がないが、デザインの完成度が高すぎるとドレスアップの余地がなくなってしまう。その点で新型ロードスターは、ドレスアップをあまり許容しないデザインであるように思う。

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ただ、最新のトレンドを盛り込んだイマ風のかっこよさではなく、一つ一つの面やラインが美しく、文字通り洗練されているので、鮮度を失わず、モデルチェンジサイクルの8年を経過しそうな気はする。
また、ボディサイズが全長3915mm×全幅1730mm×全高1230mm、ホイールベース2315mmとコンパクトで、現行型3代目ロードスターと比べると、全長で105mm短く、全幅は10mm広く、全高で15mm低い。ホイールベースも15mm短くなっている。数字的には一回りというほどではないが、デザインの効果で一回り以上コンパクトになったように見える。特にボンネットが低くなっているため全体にすっきりした印象に仕上がっている。

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ボディサイズだけでなく、車重も3代目から比べると約100kg軽量化したといっており、車両重量は1000kgと公表されている。この軽量差が4代目ロードスターの一つの武器になっている。

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エンジンはスカイアクティブの1・5LのDOHC直噴エンジン。最高出力135ps/7000rpm、最大トルク150Nm/4600rpmを発揮。これに6速MTが組み合わされる。
3代目は2Lで170馬力・19.3kgmだったから、大幅なダウンサイジングでありパワーやトルク的にも、数値的にはだいぶ見劣りする。

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ただ、ロードスター用1.5Lエンジンは、アクセラに搭載されているものをチューニングしており、回転計パーツの強化とともにレブリミットを500回転上げ7500rpmまで引き上げている。
サスペンションは、フロントダブルウィッシュボーン式リヤマルチリンク式を採用。
さて走りの性能で気になっていたのは、エンジンパワー(トルク)とサスペンションセッティングの方向性だった。

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エンジンの排気量は、クルマの加速性能に直結するので、どうしても目が向いてしまうところではある。
それなりに走ればよしとするべきか...などと思って走り出したら、それなりにどころか十分に刺激的なのだ。絶対的な加速性能はさほど強力ではないが、十分活発といえるパワーとトルクがある。一つにはギヤ比の巧みなセッティングがあるのだろう。そしてもう一つ1000kgの車重は明らかに効いている。

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クラッチをつなぐと、あっけないほどスッと走り出し、スルスルと車速を上げていく。そしてエンジンを回すほどにパワーが伸び上っていくように充実し、気持ちよく7500回転のレブリミットまで吹き上がってくれる。アクセラとの組み合わせでは、伸びの良さ、心地よさまでは、明瞭には感じなかったが、ロードスターにはちゃんとある。

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そういえば初代ロードスターのエンジンも似たような出力だった。がさついていて吹き上がりも滑らかとはいい難かったので、スムーズで伸びの良い新型用エンジンとかなりの違いはあるが、身の丈のパワーとトルクという点ではよく似ている。

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適度なビート感を伴って気持ちよくエンジンが回り、回転の上昇とともにトルク感が充実し、高回転になるとトルクに変わって、パワー感が明瞭になり伸び上がっていく。
操縦性はどうか。一番危惧していたのは、よもや速さを指標にしてサスペンションセッティングをしていないか、ということだったが、これこそ釈迦に説法、杞憂であった。
サスペンションは硬く引締まってはおらず、どちらかというとサスペンションストロークをしっかりとって、タイヤを路面にヒタッと接地させるとともに、前後左右のロールの具合からクルマのどの上がりに重心があるかというのがわかりやすい味付け。ゆったり走らせているときには乗り心地の良さを見せてくれる。

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初代ロードスターもロールは大きめで、特にロール初期にグラッとくるような動きが出て、それをひらひら感と呼んでいた。新型はもうちょっとダンパーが効いていて、スーッとは沈むがグラッと感じない。
ダンパーのバルブ精度が高そうな感触で、これがダンパーのピストンスピードの、微低速域から低速、中速、高速域までを上手にコントロールしているのだろう。ボディもかなり剛性が高そうな印象を受けた。例えばドリフトさせた時の滑り出し直後の挙動、スライドからグリップに戻した時の動きのクルマの動きとのずれ、そういったものがほとんど感じられない。

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4代目ロードスターは、予想よりもずっと間口が広く奥行きもある、楽しみ甲斐のあるライトウエイト・スポーツカーだった。まだプロトタイプだが、この方向に変更はないはずだから、相当の期待を持って待っていても裏切られることはないだろう。

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