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排気量50cc以下の二輪、つまり「原付1種」は、バイクデビューしやすい手軽で身近にあるカテゴリー。学科試験を受ければ、比較的簡単に免許が取れるとあって、80年代のバイクブームの頃は16歳になるとこぞって免許を取りに行き、"原チャリ"デビューを果たしたものだ。

また、クルマの普通免許を持っていれば乗れることから、あの頃は若者だけでなく主婦層にも人気があったし、お父さん世代もまた買い物や釣りなどのレジャーに好んで乗って出かけていた。

しかし、30km/h制限や二段階右折など、特有の厄介な制限があることなどから、昨今ではその需要をすっかり軽四輪に奪われているのが現状。原付1種の国内新車市場は、2003年の約54万台規模から年々減少傾向にあり、排出ガス規制の対応による製品価格の上昇や経済不況などの環境要因も重なり、2013年では約23万9000台と市場規模の縮小に歯止めが効かない。

その一方で、生活に役立ちながら楽しみを広げられる「ミニマムコミューター」として根強い人気があり、ホンダでは、特に若い人たちにこのクラスの有用性や魅力を共感してもらうことが、二輪市場の活性化に必要不可欠だと考えている。

HONDA Dunk

2014年2月には、若者層を中心に、通学の環境やスクーターに求めるさまざまな要望を徹底的にリサーチし開発した「Dunk(ダンク)」(税込み208,950円)を発売。ボディからエンジンまで新規に開発し発売する50ccスクーターは、2002年の「トゥデイ」以来12年ぶりのことだった。

HONDA TACT HONDA TACT

そしていま、「タクト」のネーミングが16年ぶりに復活。「Dunk」のパワーユニットと車体パッケージを共用しながら、新世代のスタンダードスクーターとして「タクト」(税込み172,800円)、さらに低シート高仕様の「タクト・ベーシック」(税込み159,840円)をそれぞれラインナップ。

HONDA Giorno HONDA MonkeyKUMAHONDA MonkeyLIMITED HONDA DiioCestaHONDA Dio HONDA BenlyHONDA Cub HONDA LittleCub
ホンダの50ccクラスは「Dunk」と「タクト」のほかにも、「エイプ50」「モンキー」「ズーマー」「ジョルノ」「ディオ」「ディオ チェスタ」「トゥデイ」「スーパーカブ50」「スーパーカブ50プロ」「リトルカブ」「ベンリィ」「ベンリィ プロ」「ジャイロキャノピー」「ジャイロX」と、ラインナップがますます充実。原付1種の人気復活に、ホンダが本腰を入れてきた様相だ。
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タクト開発のコンセプト
・省燃費で力強く扱いやすいエンジン特性
・ゆとりある居住スペースと快適な乗り心地
・機能的で利便性の高い装備仕様
・幅広い年代が許容できる高品位なシンプルデザイン

HONDA TACT
初代(1980年〜)
1980年に発売した「タクト」の初代は、3.2馬力の強制空冷2ストロークエンジンに、簡単に始動ができる「セルスターター」や「自動チョーク機構」、スムーズな走行を実現する「自動変速機」(無段階変速機Vマチック )、さらに日常の保守点検の負担を軽減する「無接点式CDI点火装置」、「自動開閉式燃料コック」など数多くの新技術を組み合わせて採用するなど、扱いやすいスクーター特性を実現。
その結果、発売以来約2年間で72万台の販売台数を記録。81年7月にはサイドトランクを設けたフルカバード タイプの「タクト・フルマーク」を追加し発売している。

HONDA TACT
2代目(1982年〜)
2代目は、より洗練されたデザインに変更し、力強く燃費性能を向上させた新設計エンジン(4馬力)にスムーズに自動変速するトルクセンサー付きVマチックを組み合わせて搭載するなどフルモデルチェンジ。
さらに日常の利便性を高めるために、視認性の高いメーター類や被視認性の高い灯火器など充実機能を装備した。
また、「タクト」に加え、1代目からラインナップに加わった「タクト・フルマーク」「タクト・フルマーク・カスタム」をラインナップに加え、3タイプを同時発売している。

HONDA TACT
3代目(1984年〜)
3代目は、「タクト」「タクト・フルマーク」の2本立てとし、1985年騒音規制(72dB)に適合させ、より静粛性が高く力強いエンジン(5 馬力)を搭載した。
それまでの直線基調のデザインから、より親しみやすいよう曲線、曲面を基調としたデザインに一新。装備面ではフロントパネルの内側に施錠できるインナーボックスを採用するなど、幅広い用途で扱いやすく、高級感あるスクーターとしている。

HONDA TACT
4代目(1987年〜)
1987年発売の4代目は「タクト・フルマーク」として、86年の「原動機付き自転車のヘルメット規制」に伴い、フルフェイスヘルメットを収納できる大容量スペースを確保した『メットイン機構』をシート下のボディに内蔵しながらも、流麗なデザインを両立させた。
さらにエンジンは燃焼効率 と掃気効率に優れた新設計の6ポートシリンダーの採用で、5.8馬力を達成。ヘッドライトには加圧クリプトンガス封入バルブのツインフォーカスヘッドライトを採用し、照射範囲を一段と広げるなど細部の使い勝手や乗り心地も向上させている。

HONDA TACT
5代目(1989年〜)
1989年の5代目はネーミングを「タクト」とし、駐車時のメインスタンド操作をキーを回すだけで簡単に行える画期的な機構として、量産車として世界初の「電動式オートスタンド」(スタンドアップ機構)を搭載。
この機構は、軽量・コンパクト性を求められるスクーターの特性に 合わせた構造にするとともに、少ない消費電力で作動するように開発したもの。毎回の駐車のわずらわしさを大幅に軽減する、使う人の立場に立った機能だった。
さらに、メットインスペースの容量アップ(22L)や大型燃料タンク(4.8L)、新型の高性能6馬力2ストロークエンジン、より快適な走りと乗り心地を生む足まわりなど、スクーターの利便性をさらに広げる数々の機能を充実させながら、洗練された調和のとれた個性的なデザインを実現させている。

HONDA TACT
6代目(1993年〜)
90年代に入ってからの6代目は、「タクト」「タクト・スタンドアップ」「タクト・S」の3タイプをラインナップ。フラッシュサーフェスを基調に、シャープでエッジの効いた洗練されたデザインとし、さらに鮮やかなツーコート(2層)塗装を採用することによって、より質感の高いものとした。
また、従来同様の大容量のヘルメットスペースに加え、5Lの燃料タンク容量を確保。さらにゆったりとしたフロア・スペースを確保するとともに、シート高を720mm に抑えながら新形状のシートを採用することで足つき性を良好なものとしている。
「タクト・S」の前輪には制動フィーリングに優れた油圧式ディスク・ブレーキに、「TLAD」(アンチダイブ機構付きトレーリング・リンク式サスペンション)を装備し、快適で軽快な走りを実現。
さらに「タクト・スタンドアップ」には従来同様、駐車時のスタンド掛けをメインスイッチのキーで容易に行える電動式オートスタンド「スタンドアップ機構」を搭載した。

HONDA TACT
7代目(1998年〜)
1998年にデビューした7代目は、「タクト」「タクト・スタンドアップ」の2機種を設定し、フロントからリアまで流れるような曲面で構成したデザインに一新。高級感と優しさにあふれたフォルムを実現した。
さらに、座り心地の良いロングシートや広々としたフラット形状のフロアの採用で、ゆったりとしたライディングポジションを実現。
また、新開発の空冷2ストローク・単気筒エンジンは、キャブレターに改良を施し、混合気を薄めに設定することで、燃焼過程での有害物質の低減を図るとともに、マフラー内部に酸化触媒(キャタライザー)を設けることで、排出ガス中の「CO、HC、NOx」をそれぞれ50%以上の低減を実現。1998年10月より施行された「二輪車排出ガス規制」(原付1種・50cc 以下)に適合させるなど、環境に優しい性能を達成している。
さらに、マフラーの内部構造を変更し、同年10月より新たに施行される「二輪車騒音規制」にも適合。使い勝手に優れたコンビ・ブレーキ(前・後輪連動ブレーキ)の新採用に加え、「タクト・スタンドアップ」には、さらに操作性を向上させた「スタンドアップ機構」を搭載した。

HONDA TACT HONDA TACT

そして、2015年1月23日。「タクト」(税込み172,800円)と、15mm低いシート高による良好な足着き性を確保し、よりリーズナブルな価格を実現した「タクト・ベーシック」(税込み159,840円)がデビュー。

「タクト」および「ダンク」のプロジェクトリーダー開発責任者を務めた本田技術研究所二輪R&Dセンターの三ツ川 誠 氏は、こう言う。
「ユーザーのさまざまな要望を徹底的にリサーチし、そこでわかったのが押し引きのしやすい取り回しの良さが50ccスクーターには必要ということです。ダンクもそうですが、燃料タンクを床下に置くことで低重心化を実現し、軽さを強調しています」

HONDA TACT

また、同様に「タクト」と「ダンク」のデザインを手がけたチーフデザイナーの大坪 守氏(本田技術研究所二輪R&Dセンター)は「若者たちの感性に自然にリンクするデザインを目指したダンクとは対照的に、タクトではターゲットを若い人だけでなく年配の方にまで広げました。こんな尖ったモノは嫌だとか、丸いのは嫌ということがないよう、どなたでもこれなら良いと思えるようなスタイルとカラー設定にしています」と、説明している。

「タクト」と「ダンク」いずれも試乗したが、新開発の水冷「eSP(イーエスピー)」エンジンは信号待ちのスタートで力強くダッシュし、後続車にすぐに追いつかれるようなことのないパワフルなエンジン。

HONDA TACT

燃費性能も素晴らしく、「タクト・ベーシック」を除けば両車はいずれも「アイドリングストップシステム」を搭載。停車3秒後、自動的にエンジンが停止し、発進時はスロットル操作だけで再始動するというものだが、これがじつに秀逸。タイムラグがなく、スムーズに再スタートできるのだ。

HONDA TACT HONDA TACT

「ここまで来たか」というほど進化し、洗練されたデザインとなった最新式の50ccスクーター。近所の移動手段として、また乗ってみてはいかがだろうか。

HONDA TACT
画像提供:ホンダモーターサイクルジャパン

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